エンドポイントセキュリティとは、PCやスマートフォンなどネットワークの末端にある機器を、サイバー攻撃や情報漏洩から守る対策の総称です。エンドポイントセキュリティにはEPP・EDRなど複数の種類があり、違いを知らずに選ぶと「入れたのに守れていない」状態になりかねません。

IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」 では、組織の脅威1位に「ランサム攻撃による被害」が挙げられています。この記事では、エンドポイントセキュリティの意味・種類・対策方法・選び方を整理します。さらに「何から手を付けるべきか」がわかる始め方4ステップまで、やさしく解説します。自社の現状把握から始めたい方は、Watchyのサービス資料 (無料) もあわせてご覧ください。


この記事では、エンドポイントセキュリティについて次の内容を解説していきます。

  • エンドポイントセキュリティとは?末端の機器を守る対策
  • エンドポイントセキュリティ導入の進め方4ステップ
  • エンドポイントセキュリティが重要になっている3つの背景
  • エンドポイントセキュリティの主な種類
  • エンドポイントセキュリティの主な対策方法
  • アンチウイルスソフトとの違いを解説
  • エンドポイントセキュリティの選び方

用語が多い分野ですが、予備知識がなくても読める順番で構成しています。読み終える頃には、自社に必要な対策とその順番を具体的にイメージできるようになるはずです。

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エンドポイントセキュリティとは?末端の機器を守る対策

エンドポイントセキュリティとは、ネットワーク末端の機器 (エンドポイント) をサイバー攻撃や情報漏洩から守る対策の総称です。 そもそもエンドポイントとは「終点・末端」を意味する言葉で、ネットワークにつながる末端の機器を指します。守る対象は機器本体だけでなく、その中にある業務データや個人情報も含まれます。

エンドポイントに該当する主な機器は次のとおりです。

  • 業務用のPC (デスクトップ・ノート)
  • スマートフォン・タブレット
  • サーバー
  • プリンターやIoT機器などネットワークにつながるその他の機器

従来の対策は、社内ネットワークの出入口を固める「境界型防御」が中心でした。エンドポイントセキュリティは、その内側にある一台一台の機器を守るという発想の対策です。なぜ発想の転換が必要になったのかは、後述の背景で詳しく解説します。

エンドポイントセキュリティ導入の進め方4ステップ

エンドポイントセキュリティは、次の4ステップの順番で進めるのが基本です。 いきなり製品選びから入ると、把握していない端末が守りの穴として残ったり、運用しきれない高機能製品を持て余したりする場合があります。順番を守ることが、遠回りに見えて最短ルートです。

  1. 資産・端末の把握: 社内にどんな機器が何台あるかを台帳で管理する。会社が把握していない端末 (シャドーIT) には、どんなセキュリティ製品も配布できません
  2. 基本の衛生管理: OS・ソフトの更新プログラムを漏れなく適用し、操作ログを取得する体制を作る。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」 で組織向け1位とされたランサム攻撃も、多くは更新を怠った端末の弱点が入口になるとされています
  3. EPPで予防を固める: マルウェアの侵入を未然に防ぐ対策 (アンチウイルス) を全端末に行き渡らせる
  4. EDRで侵入後に備える: 侵入された場合の検知・対応を追加する。アラートを監視する運用体制とセットで検討します

ステップ1と2は、セキュリティ製品を買う前に「今あるものの見える化」から始められる領域です。ここを仕組み化しておくと、ステップ3以降の製品選びも精度が上がります。

ステップ1〜2にあたる資産の把握と操作ログの見える化は、PC1台から始められます。詳しくは Watchyのサービス資料 (無料) をご覧ください。

エンドポイントセキュリティが重要になっている3つの背景

エンドポイントセキュリティという言葉を目にする機会が増えた背景には、次の3つの変化があります。

  • 働き方の多様化で端末が社外に出た
  • サイバー攻撃が高度化している
  • ゼロトラストという考え方が広がっている

働き方の多様化で端末が社外に出た

テレワークやモバイルワークの普及で、業務用の端末が自宅や外出先のネットワークにつながる場面が当たり前になりました。社内ネットワークの出入口だけを固める従来の方法では、社外にある端末を守れません。端末がどこにあっても守れる仕組みとして、エンドポイントセキュリティの重要性が高まりました。クラウドサービスの利用拡大で、業務データ自体が社外にある場面が増えたことも同じ方向の変化です。

サイバー攻撃が高度化している

攻撃側の手口も年々巧妙になっています。標的型メールや未知のマルウェアは入口の対策をすり抜けて端末に届くため、末端での防御と検知が欠かせません。ランサムウェアのように侵入後に社内へ被害を広げる攻撃では、最初に感染した端末をいかに早く見つけるかが、被害の大きさを左右するとされています。エンドポイントセキュリティは、この「最初の一台」を守り、見つけるための対策です。

ゼロトラストという考え方が広がっている

セキュリティ設計の前提も「社内=安全」から「何も信頼しない (ゼロトラスト) 」へ移りつつあります。ゼロトラストでは、すべての端末とアクセスが検証・監視の対象になります。そのため、末端の機器の状態を把握し守るエンドポイントセキュリティが土台になります。考え方の転換に合わせて、対策の重心もネットワークの境界から端末そのものへ移ってきました。ゼロトラスト自体の解説は ゼロトラストの解説記事 をご覧ください。

エンドポイントセキュリティの主な種類

エンドポイントセキュリティの製品は、役割の違いで大きく4種類に分けられます。 それぞれ守る局面が異なるため、優劣ではなく組み合わせで考えるのが基本です。

  • EPP: マルウェアの侵入を防ぐ
  • NGAV: AIで未知のマルウェアも防ぐ
  • EDR: 侵入後に検知して対処する
  • DLP: 情報の持ち出しを検知する
種類役割働くタイミング
EPPマルウェアの侵入防止 (予防)感染前
NGAV未知のマルウェアも含めた侵入防止感染前
EDR侵入後の検知・隔離・調査感染後
DLP重要データの持ち出し検知・防止内部からの漏洩時

EPP: マルウェアの侵入を防ぐ

EPP (Endpoint Protection Platform) は、マルウェアの侵入を未然に防ぐエンドポイントセキュリティの基本です。既知のマルウェアの特徴と照合するパターンマッチングを中心に、デバイス制御などの機能を持ちます。いわゆるアンチウイルスソフトの発展形と考えるとわかりやすいでしょう。

NGAV: AIで未知のマルウェアも防ぐ

NGAV (次世代型アンチウイルス) は、EPPを進化させたタイプです。AIや振る舞い分析を使い、パターン照合では見つけられない未知のマルウェアも検出・ブロックします。エンドポイントセキュリティの「予防」の精度を高めたい場合の選択肢になります。

EDR: 侵入後に検知して対処する

EDR (Endpoint Detection and Response) は、侵入されたことを前提に、端末内の不審な動きを検知して対処する仕組みです。端末の隔離や侵入経路の調査まで支援するため、被害の拡大防止に効果を発揮します。エンドポイントセキュリティの中でも運用体制が問われる種類で、詳しくは EDRの解説記事 で扱います。

DLP: 情報の持ち出しを検知する

DLP (Data Loss Prevention) は、外部からの攻撃ではなく、内部からの情報漏洩を防ぐ仕組みです。重要データのコピーや送信、USBメモリへの書き出しといった操作を監視し、ポリシー違反を検知・ブロックします。退職者によるデータ持ち出しなど、人が起こす漏洩への備えとしてエンドポイントセキュリティの一角を担います。

エンドポイントセキュリティの主な対策方法

製品の種類とは別に、実務で押さえるべき対策方法は次の3つに整理できます。 どれか1つではなく、重ねて実施することで多層的な守りになります。

  • マルウェア対策ソフトの導入と更新
  • ハードディスク暗号化とデバイス制御
  • IT資産管理と操作ログの取得

マルウェア対策ソフトの導入と更新

エンドポイントセキュリティの出発点は、全端末へのマルウェア対策ソフトの導入です。重要なのは「入れて終わり」にしないことで、定義ファイルとソフト本体を常に最新へ保つ運用が欠かせません。導入漏れの端末が1台でもあると、そこが攻撃の入口になる場合があります。

ハードディスク暗号化とデバイス制御

端末の紛失・盗難に備える対策です。ハードディスクを暗号化しておけば、機器を失っても中のデータは読み取られにくくなります。あわせてUSBメモリなど外部デバイスの利用を制御すれば、マルウェアの持ち込みと情報の持ち出しの両方を抑えられます。エンドポイントの物理的なリスクに効く、地味ながら重要な層です。

IT資産管理と操作ログの取得

見落とされがちですが、エンドポイントセキュリティの土台になるのがこの対策です。どの端末で誰が何をしているかを把握できなければ、対策の抜け漏れも異変も見つけられません。端末管理の仕組みづくりは UEM (統合エンドポイント管理) の解説記事 も参考になります。操作ログの取得は、EDRの検知やインシデント後の調査、内部からの持ち出し対策すべての前提になります。

アンチウイルスソフトとの違いを解説

アンチウイルスソフトは、エンドポイントセキュリティの一部です。 両者は対立する概念ではなく、範囲の広さが違います。アンチウイルスは「マルウェアの侵入を防ぐ」機能を指します。一方エンドポイントセキュリティは、侵入後の対応 (EDR) や情報持ち出しの検知 (DLP) まで含む広い考え方です。

  • アンチウイルスソフト: 予防に特化した1つの機能・製品
  • エンドポイントセキュリティ: 予防+検知・対応+漏洩対策まで含む対策全体の呼び名

「アンチウイルスを入れているから大丈夫」と言えないのは、予防をすり抜けた後の備えが含まれていないためです。予防 (EPP) と侵入後対応 (EDR) の役割分担は、EPPとEDRの違いの解説記事 で詳しく整理しています。

エンドポイントセキュリティの選び方

エンドポイントセキュリティ製品を選ぶ際は、次の3つの観点で確認しましょう。 機能の多さではなく、自社で運用しきれるかを軸にするのがポイントです。

  • 検知方式と検知精度を確認する
  • 既存環境との相性を確認する
  • 運用コストとサポート体制を確認する

検知方式と検知精度を確認する

製品によって、パターンマッチング中心か、AI・振る舞い検知まで備えるかが異なります。第三者機関の評価やテスト結果を参考に、検知精度と誤検知の少なさを確認しましょう。エンドポイントセキュリティは検知が誤りだらけだと運用が回らなくなるため、精度は実務上の生命線です。

既存環境との相性を確認する

自社のOS構成や既存のIT資産管理ツールと連携できるかを確認します。対応OSが合わなければ導入できない端末が残り、守りの穴になります。エンドポイントの台帳情報と連動できる製品なら、導入漏れの検出も容易になるでしょう。

運用コストとサポート体制を確認する

ライセンス費用だけでなく、アラート対応や監視にかかる人的コストまで含めて比較します。特にEDRは導入後の運用負荷が大きいため、サポートや運用代行 (MDR) の有無が現実的な判断材料になります。具体的な製品ごとの比較は、EDR製品の比較記事 で詳しく解説しています。

よくある質問

エンドポイントセキュリティに関連して、あわせて検索されることが多い疑問をまとめました。

  • エンドポイントプロテクションとは何ですか?
  • スマートフォンもエンドポイントセキュリティの対象ですか?
  • ゼロトラストとエンドポイントセキュリティの関係を教えてください。
  • 無料のアンチウイルスソフトだけでは不十分ですか?

エンドポイントプロテクションとは何ですか?

エンドポイントプロテクションは、EPPとほぼ同じ意味で使われる言葉です。エンドポイント (末端の機器) へのマルウェア侵入を未然に防ぐ製品・機能を指します。

スマートフォンもエンドポイントセキュリティの対象ですか?

対象です。業務で使うスマートフォンやタブレットもエンドポイントに含まれ、MDM (モバイルデバイス管理) などの仕組みで管理・保護します。

ゼロトラストとエンドポイントセキュリティの関係を教えてください。

ゼロトラストは「何も信頼しない」を前提とする設計思想で、エンドポイントセキュリティはその土台にあたる実践部分です。すべての端末を検証・監視するには、端末の状態把握と保護が欠かせません。

無料のアンチウイルスソフトだけでは不十分ですか?

企業利用では不十分な場合が多いです。無料製品は一括管理や導入漏れの検出、侵入後の対応機能を持たないことが多いためです。まず資産把握とログ取得の体制を整えた上で、法人向けの対策を検討しましょう。

まとめ

エンドポイントセキュリティとは、PCやスマートフォンなど末端の機器を、サイバー攻撃と情報漏洩から守る対策の総称です。当記事のポイントを振り返ります。

  • 種類はEPP (予防) ・NGAV (未知の脅威の予防) ・EDR (侵入後対応) ・DLP (持ち出し検知) の4つで、組み合わせて使う
  • アンチウイルスソフトはエンドポイントセキュリティの一部で、予防をすり抜けた後の備えは別に必要
  • 進め方は「資産・端末の把握 → 基本の衛生管理 → EPP → EDR」の4ステップ。製品選びより先に現状の見える化から始める

最初の一歩は、自社にどんな端末が何台あり、どう使われているかの把握です。Watchyは資産管理・操作ログなどを1機能単位 (PC1台あたり月額50円から) で選べるため、全機能の一斉導入を待たずに小さく始められます。まずは 無料トライアル で、ステップ1の現状把握から試してみてはいかがでしょうか。

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執筆者

Watchy編集部

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