IT資産棚卸とは、社内のパソコンやサーバー、ソフトウェアライセンスといったIT資産を洗い出し、台帳と現物が合っているかを確認する作業です。一般的に、棚卸は年に1~2回、主に期末や半期末の3月、9月、12月に行われます。
「進め方がわからない」「ひとり情シスで時間が取れない」
と悩む管理部門の方も多いのではないでしょうか。
当記事では、IT資産棚卸の対象や目的、具体的な進め方、効率化のコツまでをわかりやすく解説します。情報処理推進機構 (IPA) も、IT資産の正確な把握をセキュリティ対策の基本に位置づけています。まずは無料の管理台帳テンプレートを活用し、棚卸の第一歩を踏み出してみましょう。
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目次
IT資産棚卸とは?
IT資産棚卸とは、IT資産を適切に管理するために、管理台帳の情報と実際の保有状況にズレがないかを照合する業務のことです。
IT資産棚卸の対象になる資産は、大きく「ハードウェア」「ソフトウェア」「ソフトウェアライセンス」の3つに分けられます。
| 資産の種類 | 主な対象 |
|---|---|
| ハードウェア | サーバー、ネットワーク機器、パソコン、スマートフォン、周辺機器 |
| ソフトウェア | OS、ミドルウェア、業務アプリケーション |
| ソフトウェアライセンス | OSやアプリの利用ライセンス、契約数 |
参照:IT資産管理の導入目的とクラウド化のメリットを解説! | Watchy
①ハードウェア
IT資産棚卸の対象になるハードウェアは、サーバーやネットワーク機器のように設置して使う機器と、社員に貸与するパソコン・スマートフォン・タブレットの両方です。さらに、ハードディスクやUSBメモリ、ディスプレイ、プリンターといった周辺機器も対象に含めます。これらは台数が多く異動も発生しやすいため、IT資産棚卸では特に抜け漏れが起きやすい領域です。設置場所や利用者をひもづけて管理しておくと、現物との照合がスムーズになります。
関連ページ:ハードウェア管理 | Watchy | クラウド型情報漏洩対策ツール
②ソフトウェア
棚卸対象になるソフトウェアは、ハードウェアにインストールされているOSやミドルウェア、業務アプリケーションです。IT資産棚卸では、これらを種類別やバージョン別に整理して把握します。バージョンが古いまま放置されたソフトウェアは脆弱性の原因になりやすく、セキュリティ面でもリスクとなります。どの端末にどのソフトウェアが入っているかを台帳でひもづけておくことが大切です。
関連ページ:ソフトウェア管理 | Watchy | クラウド型情報漏洩対策ツール
③ソフトウェアのライセンス
ソフトウェアの管理において重要なのは、OSやミドルウェア、アプリケーションソフトのライセンスを管理することです。OSやアプリケーションのライセンスは、インストールした端末数や利用ユーザー数など、使用条件に見合った数だけ契約している必要があります。契約数を超えて使っていると、ライセンス違反としてコンプライアンス上の問題に発展しかねません。棚卸の際は、ライセンス数と実際の利用状況を突き合わせて確認しましょう。
IT資産棚卸の3つの目的
IT資産棚卸を行う目的は、主に次の3つに整理できます。単なる在庫確認ではなく、会社のIT環境を健全に保つための重要な取り組みです。
- ライセンス違反を防ぐためのコンプライアンスの遵守
- ITコストの適正化
- セキュリティ対策
1. ライセンス違反を防ぐためのコンプライアンスの遵守
IT資産の管理においてコンプライアンス遵守の点から重要なのは、ソフトウェアライセンスの管理です。特にパソコンやタブレットのOSやアプリケーションソフトウェア等については厳格な管理が必要です。
個々のパソコンやタブレット等で使用するOSやアプリケーションソフトウェア等のライセンスを管理していない場合、どのパソコン・タブレットにどのライセンスが紐づいているのか全くわからなくなり、それを放置するとライセンス違反を起こしてしまう事態に陥りかねません。
会社のシステム部門や総務部門等の管理部門など、ライセンスを管理する部署を決定するとともに、ハードウェアやソフトウェアの棚卸作業を定期的に行うことによってライセンス違反を起こさない体制作りを行いましょう。
2. ITコストの適正化
IT資産の棚卸を定期的に実施することにより、業務で使用していないハードウェアや、利用頻度の低いハードウェアを発見できることがあります。
このようなハードウェアを発見すれば、旧機種で使用していないものを廃棄したり、利用頻度の低いものは新規にハードウェアを導入する代わりに必要な業務に転用したりすることができます。
それにより無駄な保守費用の圧縮や、ソフトウェアライセンスの有効活用、新しいハードウェアを購入しなくて済む、といったコストメリットを享受することができます。
3. セキュリティ対策
正確にハードウェアを管理できていないと、OSやソフトウェアのセキュリティパッチの適用状況や、ウィルスチェックソフトのパターンファイルの最新化の状況も管理できないことに繋がりやすくなります。
管理されていないハードウェアが脆弱性を抱えたままでは、不正アクセスの攻撃対象となってしまい、社内システムのセキュリティリスクを高めることになります。
社内システムのセキュリティ対策という観点からもIT資産の棚卸をしっかり行うことが重要です。
【3ステップ】IT資産棚卸の進める流れ
IT資産棚卸を進める流れは、次の3ステップが基本です。順番に進めることで、抜け漏れの少ない棚卸ができます。
- ハードウェアとソフトウェアの管理台帳を作成する
- ソフトウェアライセンスの台帳を整える
- 現物と台帳を照合する
ハードウェアとソフトウェアの管理台帳を作成する
IT資産棚卸の最初のステップは、正確な管理台帳を作成することです。会社で使うハードウェアについて、以下のような項目を記載します。
【台帳に記載する内容】
①資産の種別(サーバー、ネットワーク機器、パソコンなど)
②機器No.
③品名(用途の内容がわかるように記載)
④OS(Operating System)
⑤設置場所
⑥取得日
⑦使用ソフトウェア
⑧保守契約の有無など
上記のような項目が書かれた資産台帳を作成し、ハードウェア等の導入や廃棄、設置場所の移動などがあった場合に適切にメンテナンスを行います。
2. ソフトウェアライセンスの台帳を整える
次に、ソフトウェアライセンスの台帳を整えます。IT資産棚卸では、ライセンス名・ライセンス数・契約内容・購入元・取得日・利用機器の番号・保守契約の有無などを管理しましょう。どの機器にどのライセンスが使われているかをハードウェア台帳とひもづけておくと、過不足を把握しやすくなります。
【台帳に記載する内容】
①ソフトウェアライセンスの名称
②ライセンス数
③契約内容(どのような内容でライセンスを導入しているか)
④購入元
⑤取得日
⑥ソフトウェアライセンスを使用している機器No.(ハードウェアの機器No.と紐付けできるようにする)
⑦保守契約の有無
ソフトウェアライセンスの管理で重要なのは、どの機器にどのソフトウェアライセンスが使用されているかを管理するとともに、そのソフトウェアライセンスが正式な契約に基づいて使用されているかどうかを管理することです。ハードウェア機器の導入や廃棄がある度に台帳のメンテナンスを行い、管理に漏れが発生しないようにしましょう。
3. 現物と台帳の照合
ハードウェアやソフトウェアライセンスについて台帳の作成が完了したら、現物と台帳との照合作業を行います。まずハードウェアについて、台帳に記載された順に台帳と現物との照合を行って行きます。照合が済んだらハードウェア現物に機器管理シールなどを貼って、各機器から見て台帳の記載内容と紐付けられるようにしましょう。
IT資産も正確に管理するためにも、照合作業は定期的に実施することが求められます。半年に1度など、会社で使用するIT資産の数によって適した周期で照合作業を行って、現物が確かに存在することを確認します。合わせて長期間使用されていないハードウェアについては他の業務への転用や廃棄を検討するなど、IT資産の有効活用のための見直しを行うのもよいでしょう。
ソフトウェアライセンスについては、ハードウェアの台帳との照合作業が終了した後に、ハードウェアの廃棄に従って台帳からの削除を行うほか、ハードウェアの台帳記載に漏れがあった場合に該当ハードウェア分のライセンスの追加記載を行います。
IT資産棚卸を行う際の注意点3選
それではIT資産の棚卸を行う際の注意点はどのような点でしょうか?主なポイントを3点説明します。
台帳記載ルールの徹底
IT資産の棚卸を行うためには、ハードウェア等の導入時や廃棄時、または設置場所変更時等に確実に台帳記載を行うことが重要です。
これを確実に行わないと、現物と台帳との照合作業に支障をきたしてしまうためです。
IT資産の棚卸を確実に行えるようにするために、台帳への記載も確実に行うようにしましょう。そのためには、ダブルチェックを行うなど、社内の台帳更新に関するルールの周知と徹底が必要です。
定期的な実施
現物と台帳との照合作業は定期的に実施することが必要です。
不定期に行うと、前回からの期間が短い場合はまだよいですが、間隔が空いてしまうと照合作業の結果差異が見つかった場合に原因を究明する作業が大変重いものになってしまいます。
照合作業を定期的に行うことをルール化することによって、照合作業を習慣化することができ、習慣化することによって台帳更新作業の重要性を社内でより共有できるようになります。
また、照合作業を定期的に決まった時期に行うことによって作業をスケジュール化することができ、要員確保をしやすくなることもメリットとなります。
作業の効率化
現物と台帳との照合作業を定期的に行えるようにするには、照合作業を可能な限り効率化することが必要です。
照合作業は本来業務である会社の業務と並行して行うことになる訳ですから、可能な限り省力化することで会社の業務の負担にならないようにしましょう。
特に情報システムの担当者が社内に実質一人しかいない「ひとり情シス」の場合、過度な業務負担になってしまう恐れがあります。
理想は作業手順を省力化することによって、照合作業を特定の社員ではなく、だれでも出来るようにすることです。
IT資産棚卸を効率化するコツ
IT資産棚卸を効率化するコツは、次の3つです。棚卸は通常業務と並行して行うため、いかに負担を減らせるかが続けやすさを左右します。
複数の担当者で分担して進める
IT資産棚卸を効率化するには、特定の担当者に任せきりにせず、複数の担当者で分担して進めることが効果的です。
作業手順を整理して標準化すれば、誰でも照合作業に参加できるようになります。人員を分けて一気に進めることで、棚卸にかかる期間を短縮できます。
担当者が一人に偏らない体制は、属人化の防止にもつながります。
IT資産管理ツールを利用する
手作業やエクセルだけでのIT資産棚卸には限界があり、資産の規模が大きくなるほど管理が難しくなります。
そこでおすすめなのが、専用のIT資産管理ツールの導入です。IT資産管理ツールには、資産の管理や棚卸に必要な機能に加え、保守契約の管理やライセンスの可視化などができるものもあります。
ツールを活用すれば、現物と台帳の照合作業を大幅に減らすことができます。
関連記事:IT資産管理ツール10選を比較!無料トライアルの有無や価格、機能の観点から
台帳の記載ルールを徹底する
IT資産棚卸を正確に行うには、台帳の記載ルールを社内で徹底することが欠かせません。機器の導入時・廃棄時・設置場所の変更時に、確実に台帳へ反映する運用を決めておきます。
ダブルチェックの仕組みを取り入れると、記載漏れや誤りを防ぎやすくなります。日々の更新ルールが守られていれば、棚卸時の照合もスムーズに進みます。
無料で利用できるIT資産管理ツール
無料でIT資産管理を行う方法として、ExcelやGoogleスプレッドシートを活用することが有効です。特に、ExcelやGoogleスプレッドシートは、多くの企業や個人がすでに慣れ親しんでいるツールであり、基本的な資産管理台帳を無料で作成・運用できます。
以下のURLから、Excelのファイルをダウンロードできますので、ぜひご利用ください。
特に、Excelやスプレッドシートはカスタマイズの自由度が高く、企業の業務内容に応じて柔軟に対応できるため、基本的な資産管理に十分活用できます。
一方で、ヒューマンエラーが起こりやすく、データの整合性を保つことが難しいため、管理ミスや更新ミスが発生するリスクがあります。
それでも、コストを抑えながら基本的な管理を行いたい場合には、ExcelやGoogleスプレッドシートは有効な選択肢です。
関連記事:無料のおすすめIT資産管理ツール!今すぐ使えるサンプルや導入する際の選び方まで紹介
よくある質問
ここでは、IT資産棚卸に関してよく寄せられる質問をまとめました。疑問の解消にお役立てください。
ITにおける棚卸しとは何ですか?
ITにおける棚卸しとは、社内のIT資産を洗い出し、台帳と現物が一致しているかを確認する作業です。会計上の在庫確認と同じ考え方で、IT資産の所在と状態を正確に把握する目的で行います。
IT資産にはどのような種類があるか教えてください。
IT資産は、主にハードウェア・ソフトウェア・ソフトウェアライセンスの3種類に分けられます。パソコンやサーバーなどの機器に加え、OSやアプリ、その利用ライセンスまでが対象です。
パソコンの棚卸資産とは何ですか?
会計上、販売目的で保有する在庫を棚卸資産と呼びます。業務で使うパソコンは通常は固定資産にあたりますが、IT資産棚卸では資産管理の対象として台帳で管理します。
IT資産管理はどこまで対応すべきか教えてください。
自社が保有・リースするハードウェアと、そこにインストールされたソフトウェア・ライセンスまでが基本の範囲です。セキュリティやコスト管理の目的に合わせて、管理範囲を調整するとよいでしょう。
まとめ
当コラムでは、IT資産の棚卸の目的や実施方法、実施にあたっての注意点、およびIT資産棚卸作業を効率化する手段についてご説明してきました。
IT機器やソフトウェアの利用数が増加するに連れて、会社のIT資産管理もより重要になってきます。特にセキュリティ管理やコンプライアンス遵守等の観点から、より適切なIT資産管理が求められるようになることが予想されますので、IT資産棚卸が可能な体制作りがまだ整っていない場合は、早期に対応可能な体制作りを行うことが大切になるでしょう。
Watchy編集部
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