リモート環境を整備したいなら、リモートアクセスを理解することが重要です。安全に導入するための要件や注意点を押さえれば、自社に合った導入方式を検討しやすくなるでしょう。本記事では、リモートアクセスの基本や主な方法、セキュリティ対策を解説します。
目次
リモートアクセスの基本
そもそも、リモートアクセスとはどのような仕組みを指すのでしょうか。意味やメリットなど、まずはリモートアクセスの基本を理解しましょう。
リモートアクセスとは
リモートアクセスとは、オフィス以外の場所で使っているデバイスから、社内ネットワークや業務システムへ安全に接続できる仕組みです。情報を保護しながら通信し、会社のデスクトップ環境や共有フォルダ、業務用アプリケーションにアクセスできます。
自宅・サテライトオフィス・出張先・カフェなど、場所を問わず社内と同じように業務を進められる点が特徴です。必要な資料をすぐに入手できるため、急な対応にも柔軟に備えられます。
リモートアクセスは企業にとって、生産性向上や働き方改革を支える重要な手段の一つといえるでしょう。
リモートアクセスを導入するメリット
リモートアクセスを導入すれば、移動時間の削減や在宅勤務の促進により、業務効率が上がります。出社しなくても社内システムに接続できるため、外出先や自宅でも必要な資料を確認でき、業務を円滑に進めることが可能です。
子育て・介護・体調不良などで出社が難しい状況でも、リモートアクセス環境があれば自宅から通常どおり業務を継続できます。働き方の幅が広がり、従業員のワークライフバランス向上にも役立つでしょう。
社外へデータを持ち出さなくてよいため、紛失や盗難による情報漏洩のリスクを抑えられる点も大きな強みです。オフィスの縮小や交通費削減といったコスト最適化にも貢献し、企業全体の生産性向上に結び付くメリットがあります。
リモートアクセスの主な方法
リモートアクセスの主な接続方式とそれぞれの仕組みを解説します。自社に導入する方法を検討する際の参考にしましょう。
VPN
VPNは、社外端末と社内ネットワークの間に、暗号化された専用通信路を構築する仕組みです。第三者から通信内容を保護しながら、内部システムへ安全に接続できます。
データの送受信には仮想的なトンネルを使うため、盗聴や改ざんのリスクを抑えられます。大規模環境でも接続が安定しやすく、基幹システムや共有サーバーなど広範な社内リソースへアクセスできる点が大きな特徴です。
SSL-VPNやIPsec-VPNなど方式を選べるため、利用端末の数やセキュリティ要件に応じて柔軟に構築できます。一方、通信量が増えると速度低下が起こりやすいため、業務内容に合わせて回線品質やVPN機器の性能を確認しておくことが大切です。
リモートデスクトップ
社内PCの画面を社外に転送し、社外で操作する方式がリモートデスクトップです。実際に処理を行うのは社内PC側であり、社外端末にはデータを保存しないため、情報漏洩リスクを抑えられます。
社外にいても、社内PCにインストールされたアプリケーションや設定をそのまま利用できることから、環境を変えずに業務を進められる点が大きなメリットです。PCだけでなくスマホやタブレットから操作できる製品もあり、柔軟に運用できます。
ただし、社内PCは常に起動している必要があり、回線速度が遅いと操作が重くなる可能性があります。安定した通信を確保できる環境づくりが重要です。
セキュアブラウザ
セキュアブラウザは、ブラウザ内に隔離された領域を設け、その中で業務システムへアクセスする方式です。閲覧履歴・キャッシュ・ダウンロードデータを端末に残さないため、私用デバイスからでも比較的安全に利用できます。
コピー&ペーストの制限やファイル操作の禁止など、アクセス制御を細かく設定できる点も強みです。BYOD環境でも情報漏洩を防ぎながら業務を行えるため、多くの企業で採用されています。
一方、使える機能が限定されており、特定のWebサイトやアプリケーションが正常に動作しない場合があります。実際の業務フローに支障が出ないよう、導入前にしっかりと検証することが大切です。
API
システム同士をAPIで接続し、必要なデータだけを安全に取得する仕組みがAPI方式です。クラウドサーバーで提供されるアプリケーションと直接連携できるため、通信が効率的で動作が軽い点が特徴です。
既存システムと統合しやすく、業務アプリケーションを柔軟に構築できることから、外部サービスとの連携が多い企業に向いています。
通信回線の影響を受けにくく操作性が高い半面、クラウド側で障害が発生すると利用できなくなるリスクがあります。サービス提供元の信頼性やバックアップ体制も確認しながら、導入を検討しましょう。
リモートアクセスに必要なセキュリティ対策
リモートアクセスの各接続方式には、仕組みとしてのセキュリティ対策が組み込まれていますが、それとは別に企業側も独自の対策を講じておく必要があります。リモートアクセスに必要なセキュリティ対策を見ていきましょう。
情報セキュリティポリシーの策定
情報セキュリティポリシーとは、企業が守るべき情報資産をどう扱うかを定めた基本方針です。アクセス範囲・利用端末・運用ルールなどを文書化して明確にする役割があります。
リモートワーク環境では、業務端末の管理方法やデータ持ち出しの禁止、認証手順などを具体的に定めることで、従業員が同じ基準で安全に業務を行える状態を整えられます。想定されるリスクを洗い出し、実現可能な対策内容へ落とし込むことが重要です。
情報セキュリティの脅威は常に変化するため、情報セキュリティポリシーは一度つくって終わりではなく、定期的に見直して最新のリスクに対応できる状態を維持する必要があります。
取り扱う情報の選定
リモートワークで取り扱う情報は重要度に応じて分類し、利用できる範囲や閲覧レベルをあらかじめ明確に定めることが大切です。
顧客情報・契約内容・独自ノウハウといった外部流出による影響が大きい情報は、持ち出し禁止やリモートアクセス不可とするなど、リスクに応じた厳格な制御が求められます。アクセス権限も情報ごとに細かく設定し、必要な人だけが必要な範囲で参照できる状態を整えれば、内部不正や誤操作による漏洩を防ぎやすくなるでしょう。
また、ファイル転送の無効化や閲覧履歴を残さない方式の利用など、ネットワーク側の技術的対策を組み合わせることでも安全性を高められます。リモートとオフィスの特性を踏まえ、情報ごとに適切な扱い方を決めて運用しましょう。
従業員の教育
セキュリティルールを整備しても、従業員が内容を理解し実践できなければ、十分な効果は得られません。誤操作やパスワード管理の不備、家族との端末共有など、日常の行動に潜むヒューマンエラーが情報漏洩の原因となるケースもあります。
このような事態を避けるためには、従業員教育を継続的に行い、リスクの種類や対策の必要性、漏洩発生時の影響を具体的に伝えることが大切です。口頭説明だけでは定着しにくいため、定期的な研修やオンライン講習、事例紹介を取り入れ、最新の脅威や事故例を学べる機会を用意しましょう。
全員が共通認識を持つことで、組織全体のセキュリティ意識を底上げでき、リモートアクセスの安全な運用につながります。
リモートアクセスを安全に活用しよう
リモートアクセスにはいくつかの接続方式があります。それぞれの特徴を理解し、自社に合った方法を選ぶことが重要です。
情報セキュリティポリシーの策定や情報の分類、従業員教育といった企業側の対策も徹底し、安全性が確保されたリモート環境を整備しましょう。
Watchy編集部
従業員が安心して働ける環境を提供するための、IT資産管理、情報漏洩対策、労務管理に関するコンテンツを発信しています。
Watchyは、株式会社スタメンが運営するクラウドサービスです。企業のIT情報統制の課題やバックオフィスの課題を、情報システム担当者が手薄な状況でも、Watchyが解決。設定・運用の手間を最小化しながら、押さえるべきポイントを確実に押さえた企業統制の実現を支援します。
【株式会社スタメンについて】 東京証券取引所グロース市場上場。Watchy、TUNAGなど、人と組織の課題解決を実現するSaaSを展開。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びプライバシーマークを取得。

