社内システムへの不正なアクセスや、予期せぬ機密データの漏洩を防ぐためには、適切なパスワードの管理が欠かせません。パスワード管理の基本的な考え方とともに、安全に管理するための方法や、注意すべきポイントなどを押さえておきましょう。

社内パスワード管理の重要性

近年、サイバー攻撃の手口は巧妙化しており、脆弱なパスワードやその使い回しが原因で、多くの情報漏洩事件が発生しています。

一度でも不正アクセスを許してしまうと、顧客情報や機密データが流出し、企業の社会的信用の失墜を招き、莫大な損害賠償責任を負う可能性があります。

特に、複数の社員が同じシステムにアクセスする環境では、一人のパスワード管理の甘さが、組織全体のリスクになりかねません。さらに近年は、退職者のアカウント管理の不十分さも、脅威を招くケースがあります。

こうした事態を防ぐためには、社内でパスワードの管理を徹底し、社員一人一人がきちんとルールを順守する体制の構築が求められます。強力なパスワードの設定に加えて、権限管理の最適化や専用ツールの活用など、組織として多層的な対策を講じなければいけません。

安全な社内パスワード管理の方法

社内パスワードを安全に管理するには、技術的な対策に加えて、適切な運用ルールの整備が欠かせません。

以下のように、まずは使用するパスワードの強度を高める必要があります。その上で、認証システムの導入やアクセス権限の適切な設定など、多層的なセキュリティ対策が必要です。それぞれのポイントを確認していきましょう。

強力なパスワードの設定と使い分け

パスワードの強度を高めるには、十分な文字数と複雑さが必要です。最低でも12文字以上とし、英大文字・小文字・数字・記号を組み合わせ、容易に推測されないようにしましょう。誕生日や社名・人名など、そのまま使うのは避けなければいけません。

また、同じパスワードを複数のアカウントで使うと、一つの情報が漏れただけで、全てのシステムに影響が及ぶ危険性があります。システムごとに異なるパスワードを設定し、特に重要度の高い管理者権限のアカウントには、より強固なパスワードを割り当てましょう。

なお、定期的なパスワード変更も有効ですが、頻繁すぎる変更は、逆に推測されやすいパスワードへの変更を招く可能性があります。定期的な変更よりも、使い回しのない固有の強固なパスワードを設定することが重要です。

パスワードの安全な保管

パスワードを紙やメモ帳に書き留めたり、ブラウザにそのまま保存したりする方法は、情報漏洩を招きかねないリスクのある行為です。

誰でも閲覧可能な状態でパスワードを管理していると、たとえ複雑なパスワードを設定しても意味がありません。パスワードは、必ず暗号化された状態で保管する必要があります。

企業向けのパスワード管理ツールを利用すれば、高度な暗号化技術により、パスワードを安全に保存できます。さらにマスターパスワードを使って、複数のパスワードを管理できるため、管理の効率化・簡略化を図れるのでおすすめです。

シングルサインオン(SSO)や二要素認証での補強

シングルサインオン(SSO)は、複数のシステムに一つの認証でアクセスできる仕組みで、パスワード管理の手間を減らし、使い回しによるリスクを低減できます。社員が覚えるべきパスワードの数を減らし、管理負担を軽減しつつ、セキュリティの向上が可能です。

ただし、SSOのアカウントが侵害されると、全てのシステムにアクセスされてしまうリスクもあるため、二要素認証(2FA)との併用が必要です。

二要素認証を導入することで、万が一パスワードが漏洩した場合でも、追加の認証ステップが不正アクセスを防ぎます。特に、管理者アカウントや、機密情報にアクセスできるシステムには、必ず二要素認証を導入しておきましょう。

アクセス権限の最小化

社員の所属部署や役職に応じて、適切にアクセス権限を設定することで、内部不正や情報漏洩のリスクを低減できます。基本的には業務の遂行に求められる最小限のアクセス権限を、必要な社員のみに付与するようにしましょう。

全システムへのアクセス権を与えてしまうと、万が一アカウントが侵害された場合、被害範囲が広がってしまう恐れがあります。また、人事異動や社員の退職の際には、速やかに権限の変更や削除をすることも重要です。

特に管理者権限を持つアカウントは通常業務では使用せず、システム管理など必要な作業時のみ使用するといったように、厳格な運用ルールを定めておきましょう。

パスワードの管理なら専用ツールがおすすめ

上記のように、パスワード管理ツールを導入することで、複雑で使い分けが必要なパスワードを安全に保管し、共有や更新の手間も軽減できます。

暗号化による安全なパスワードの保管と、アクセス権限やログ管理機能を備えており、社内のパスワード運用を効率化できるので、この機会に利用を検討してみましょう。

誰がどのシステムにアクセスしているかを一元管理でき、退職者のアカウント削除や権限変更もスムーズになります。

ツールを導入する際には、自社の規模や業務形態に合っているか確認するとともに、社内システムとの互換性や、ベンダーのサポート体制なども調べておきましょう。

社内パスワードの管理を徹底しよう

社内パスワードの安全な管理は、情報資産を守るための基本的な取り組みです。強力なパスワードの設定と安全な保管体制の構築、二要素認証やSSOの導入など、多層的な対策を組み合わせることで、不正アクセスのリスクを低減しましょう。

さらに、専用ツールを活用することで、パスワード管理の効率化と、セキュリティの強化の両立が可能です。自社の環境やニーズに合ったツールを導入するとともに、社員への運用ルールの周知や教育も徹底する必要があります。

経営層から現場の一人一人の社員まで、組織全体でパスワード管理の重要性を共有し、安全にシステムを運用できる環境をつくりましょう。

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執筆者

Watchy編集部

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