業務や日常的に使うパスワードを、エクセルで管理している人は少なくありません。しかし、エクセルでの管理には多くのリスクが潜んでおり、情報漏洩の原因となる恐れがあります。エクセル管理の危険性と、安全にパスワードを管理するための方法を解説します。

エクセルによるパスワード管理は危険?

エクセルは手軽にデータを整理できるため、パスワードを一元管理する用途でも使われがちです。しかし、本来エクセルはセキュリティ対策を目的としたツールではありません。たとえファイルにパスワードを設定しても、解析ソフトを使えば短時間で解除される可能性があります。

さらにファイルの共有や保存の過程で、意図せず第三者にパスワード情報が漏れてしまうリスクもあり、重要な認証情報を守るには不十分です。汎用的な情報を取り扱うには有用なツールですが、パスワードをはじめとした機密情報の管理は避けた方がよいでしょう。

エクセルによるパスワード管理が抱えるリスク

上記のように、エクセルでのパスワード管理はセキュリティ上のリスクがあるものの、多くの企業がエクセルで機密情報を管理しているのが実態です。エクセルによるパスワード管理の問題点を確認しておきましょう。

暗号化が不十分で解析されやすい

エクセルのパスワード保護機能は、強固な暗号化技術とは言えません。特に古いバージョンのエクセルでは暗号化方式が弱く、無料の解析ツールでも簡単に解除できてしまうケースがあります。

さらに、ファイルのパスワードを短く設定していたり、推測されやすい文字列を使っていたりすると、第三者による不正アクセスのリスクが一層高まります。パスワードを守るはずのファイル自体が脆弱である以上、基本的に機密情報を保存する用途には適していません。

共有やバックアップ時に情報漏洩の恐れがある

エクセルファイルは、メールやクラウドストレージで簡単に共有できる半面、その利便性が情報漏洩の原因になることもあります。共有リンクを誤って外部に公開したり、ファイルを誤送信したりすれば、他人が中身を閲覧できてしまいます。

また、USBメモリや外付けHDDなどにバックアップを取る場合も、紛失や盗難による漏洩リスクを考慮しなければいけません。

管理が煩雑でヒューマンエラーが起きやすい

エクセルでは、アカウントやパスワードを手動で更新する必要があり、数が増えるほど管理が複雑になります。誤って古い情報を残したり入力ミスをしたりすることで、正しいパスワードが分からなくなる場合も少なくありません。

また、同じファイルを複数人で扱うと、上書きや重複管理による混乱も発生しがちです。こうしたヒューマンエラーは、時間的なロスだけではなく、セキュリティインシデントのきっかけになる恐れもあります。

エクセルに代わる有効なパスワードの管理方法は?

安全なパスワード管理には、専用ツールや暗号化技術を活用するのがおすすめです。特に、クラウド対応のパスワード管理ツールは、高度な暗号化技術によってデータを保護し、端末やブラウザ間で安全に同期できます。

専用のパスワード管理ツールを活用する

専用のパスワード管理ツールは、エクセルでは実現できない高度なセキュリティ機能を標準装備しています。各サービスのID・パスワードを一元的に暗号化して保存し、必要時に自動入力が可能です。複雑なパスワードを記憶する必要がなくなり、セキュリティと利便性を両立できます。

さらに多要素認証(MFA)と組み合わせることで、安全性の飛躍的な向上が可能です。ツールによっては自動パスワード生成機能や漏洩検知機能もあり、不正アクセスへの早期対応にも役立ちます。企業における標準的なセキュリティ対策の一つとして、この機会にパスワード管理ツールの導入を検討してみましょう。

おすすめのパスワード管理ツール

代表的なパスワード管理ツールとしては、「1Password」「LastPass」「Bitwarden」などが挙げられます。これらのツールはいずれも高水準の暗号化技術を採用しており、複数デバイス間で安全に同期が可能です。

さらに、企業向けプランではチーム管理機能やアクセス権限の設定もできるため、業務での利用にも適しています。無料版から試すことができる製品も多いので、まずは使い勝手を確認してみるとよいでしょう。

セキュリティ対策の基本は正しいパスワード管理から

エクセルでのパスワード管理は手軽な一方で、情報漏洩や不正アクセスのリスクがあります。重要なデータを守るには、暗号化が強固な専用ツールを活用し、定期的なパスワード更新や多要素認証(MFA)の設定など、基本的なセキュリティ対策を徹底しましょう。

社内でのパスワード共有ルールを明確にして、不要な情報は小まめに削除することも大切です。日頃からセキュリティの意識を高めることで、万が一のトラブルを未然に防げるようになります。

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執筆者

Watchy編集部

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