リモートデスクトップは、自宅や外出先から社内PCにアクセスできる便利な仕組みです。しかし設定やネットワーク環境の問題により、突然つながらなくなる場合も少なくありません。リモートデスクトップに接続できない主な原因と、具体的な対処法を解説します。

リモートデスクトップに接続できない原因は?

リモートデスクトップが使えなくなる原因は、設定ミスから通信環境、認証トラブルまでさまざまです。まずは、どのような要因が接続を妨げているのか、正しく把握することが重要です。よくある原因をみていきましょう。

設定が有効になっていない

リモートデスクトップを利用するには、接続先のPCでリモート接続を許可する設定が必要です。初期状態では無効になっていることが多く、設定を有効化しないまま接続を試みると「ネットワークエラー」や「アクセスできません」といったメッセージが表示されます。

特に、Windowsでは「システム」のプロパティから、「リモートデスクトップを有効にする」にチェックを入れておく必要があります。また、企業環境では管理者によって、リモート接続が制限されているケースもあるため、ポリシー設定やセキュリティ方針を確認することも大切です。

ネットワーク環境に問題がある

リモートデスクトップはリアルタイムで映像を転送する仕組みのため、通信速度や回線の安定性が大きく影響します。遅延や途切れが頻発すると、操作が反映されない、画面が固まるといった症状が起こります。

また、Wi-Fiが不安定な環境やVPN経由で接続している場合、ルーターや中継機の設定が影響しているケースも少なくありません。企業ネットワークでは、セキュリティ上の理由で外部からのRDP通信(3389ポート)が制限されていることもあり、ネットワーク管理者の確認が必要です。

IPアドレスやホスト名の指定ミス

接続先を指定する際に、誤ったIPアドレスやホスト名を入力しているケースも少なくありません。特に、DHCPによって自動的にIPアドレスが変更される環境では、以前のアドレスを指定しても接続できないことがあります。

また、ホスト名で指定している場合、DNSの設定に誤りがあると名前解決ができず接続が失敗します。固定IPを設定するか、接続先PCの最新情報を確認して正しいアドレスを指定することが重要です。

アカウントや認証の問題

リモートデスクトップでは、ユーザー認証が正しく行われないと接続が拒否されます。パスワードの変更後に古い認証情報を使用していたり、接続権限が与えられていないユーザーでログインを試みたりすると、エラーが発生するので注意が必要です。

さらに、ドメイン環境下では認証サーバーとの通信が必要なため、ネットワークの一時的な不具合でも認証に失敗するケースもあります。アカウントの有効状態やアクセス許可設定を見直すことで、問題が解消される場合もあるので、まずは管理者権限でアカウント設定やグループポリシーの内容を確認しましょう。

リモートデスクトップ接続エラーの対処法

リモートデスクトップで接続エラーが発生した際には、原因を特定して適切な対処をする必要があります。実践的なトラブルシューティングの手順として、基本的な確認事項から設定の変更まで、具体的な対処法を解説します。

接続先の電源を確認する

接続エラーが起こったら、まずは接続先のパソコンの電源状態をチェックしましょう。リモートデスクトップはコンピューターが起動している状態でなければ接続できず、スリープやシャットダウン状態では通信が確立しません。

遠隔地にある接続先の場合、現地での確認が困難なこともありますが、可能であれば電話などで電源状態を確認してもらうことが重要です。なお、Wake-on-LAN機能などを活用すれば、ネットワーク経由での遠隔起動も可能になりますが、事前のBIOS設定とマジックパケット送信の仕組みを整えておく必要があります。

リモートデスクトップ機能の有効化を確認する

社内ネットワークでリモートデスクトップを利用している場合、接続先の端末で機能が有効化されているか確認しましょう。Windows環境では、グループポリシーやActive Directoryによって設定が制御されているケースが多く、個別端末の設定だけでは有効にならないことがあります。

対象デバイスに対して「リモートデスクトップの許可」ポリシーが適用されているか、またRDPポート(TCP 3389)のリッスン状態などを確認しておくとよいでしょう。加えて、対象ユーザーが「リモート デスクトップ ユーザー」グループに所属しているか、適切な権限が付与されているかも重要なポイントです。

ファイアウォールの設定を見直す

ファイアウォールが通信をブロックしているケースも多く見られます。Windows Defenderファイアウォールでは、デフォルトでRDPのポート(TCP 3389)がブロックされている場合があるので、確かめてみるとよいでしょう。

また、セキュリティソフトを併用している場合は、ソフト側でも通信制限がかかっていないか確認し、必要に応じて例外設定を行うことで接続が安定します。

アカウント情報を再確認する

接続時にユーザー名やパスワードの入力ミスがあると、当然接続は拒否されます。特に、ドメイン名付きのアカウントを使用する場合、表記方法を誤ると認証が通らないことがあるので注意が必要です。

パスワードを最近変更した場合は、新しい情報が正しく保存されているかも確認しましょう。また、同じアカウントを複数のデバイスで使用している場合、セキュリティ制限により接続が制限されることもあります。不要なセッションを切断してから、再度接続してみましょう。

まずは原因の切り分けと基本設定の見直しを

リモートデスクトップの接続トラブルは、ほとんどが設定やネットワーク環境の見落としから発生します。焦って複雑な対策を試す前に、電源・機能設定・通信経路・認証情報といった、基本的な項目を順に確認しましょう。

特に社内ネットワークでは、ポリシー設定やアクセス制限により、意図せず接続が遮断されているケースもあります。再発防止のためには、設定変更後の検証やログの確認を怠らず、安定した環境を維持することが重要です。

低コスト&簡単運用 必要な機能だけを導入!だから低コストに始められる 低コスト&簡単運用 必要な機能だけを導入!だから低コストに始められる
編集部のイメージ画像
執筆者

Watchy編集部

従業員が安心して働ける環境を提供するための、IT資産管理、情報漏洩対策、労務管理に関するコンテンツを発信しています。

Watchyは、株式会社スタメンが運営するクラウドサービスです。企業のIT情報統制の課題やバックオフィスの課題を、情報システム担当者が手薄な状況でも、Watchyが解決。設定・運用の手間を最小化しながら、押さえるべきポイントを確実に押さえた企業統制の実現を支援します。

【株式会社スタメンについて】 東京証券取引所グロース市場上場。Watchy、TUNAGなど、人と組織の課題解決を実現するSaaSを展開。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びプライバシーマークを取得。