リモートデスクトップは、離れた場所からパソコンを操作できる便利な仕組みです。テレワークの普及に伴い、社内のPCを自宅や外出先から利用するケースも増えています。リモートデスクトップの基本的な仕組みや接続方法、注意点を押さえておきましょう。

リモートデスクトップの接続方法

リモートデスクトップの接続は、Windows標準の機能を使う方法から、スマートフォンやタブレットでアクセスする方法などがあります。まずは、リモートデスクトップの基本的な仕組みから理解しておきましょう。

リモートデスクトップの仕組み

リモートデスクトップは、操作対象のコンピューター(ホスト)と、操作をする側の端末(クライアント)をネットワークで接続し、ホストの画面情報をクライアントへ転送する仕組みです。

クライアント側で入力したマウスやキーボードの操作は、リアルタイムでホストPCに反映され、まるで目の前で操作しているかのように利用できます。通信の中心には、画像転送や入力データの送信を担うプロトコル(RDPやVNCなど)があり、スムーズな操作を実現できるのが特徴です。

リモートデスクトップ接続のメリット

リモートデスクトップ接続は、場所を問わず必要なファイルや、アプリケーションにアクセスできるのがメリットです。自宅や外出先から会社の端末に接続すれば、オフィスにいるときと同じ環境で作業を継続できます。

また、システム管理者にとっては、複数のサーバーやコンピュータを同じ場所から管理できるため、効率的な運用が可能です。高性能なコンピュータにリモート接続すれば、手元の低スペックな端末からでも、ある程度は負荷の高い作業を実行できるのも特徴です。

リモートデスクトップ接続の方法

リモートデスクトップへの接続方法は、使用する端末やツールによって異なります。Windows標準の機能を使えば、追加のソフトウェアなしで接続できますが、スマートフォンやタブレットからアクセスする場合は専用アプリが必要です。また、ブラウザ経由での接続やサードパーティ製ツールを利用する選択肢もあります。

Windows標準機能を使った接続

Windowsには「リモートデスクトップ接続」という標準機能が搭載されており、特別なソフトを導入しなくてもリモートアクセスの環境を構築できます。

接続したいPC側で「リモートデスクトップを有効にする」を設定し、接続元のPCからホスト名またはIPアドレスを入力すれば、操作が可能です。MicrosoftアカウントやPINによる認証を利用することで安全な接続を確保でき、VPNを通じて社外からアクセスすることも可能です。

AndroidやiOSデバイスから接続する方法

スマートフォンやタブレットでも、リモートデスクトップを利用できます。Microsoftが提供する「Windows App」を使えば、Windows PCへの接続が可能です。アプリをインストールした後、接続先のPC情報を登録し、認証情報を入力すると画面をそのまま操作できます。

モバイル環境では画面サイズや入力操作の制限はあるものの、簡単な確認作業や出先での急な対応などに役立つでしょう。ただし、モバイル通信を使う場合は、通信量やセキュリティに注意が必要です。

ブラウザ経由で接続する方法

専用アプリを使わずに、Webブラウザからリモートデスクトップ接続する方法もあります。代表的なのは、Google Chromeの「Chrome Remote Desktop」です。Chromeに拡張機能を追加し、Googleアカウントで設定すれば、どのデバイスからでもブラウザ経由でPCを操作できます。

導入が簡単で、ソフトのインストールやネットワーク設定を、最小限に抑えられるのがブラウザを利用するメリットです。ただし、通信はインターネットを経由するため、必ず強固なパスワードと2段階認証などの設定が推奨されます。

専用ツールやサードパーティ製のアプリによる接続

業務用途では、より高機能なリモートデスクトップツールの利用も一般的です。例えば、「TeamViewer」や「AnyDesk」などは、個人利用から企業向けまで幅広く使われているツールです。

これらは高速な画面転送やファイル共有、チャット機能などを備えており、遠隔サポートや共同作業にも向いています。導入は比較的容易ですが、無料版と有料版で機能差があるため、利用目的に応じて、最適なツールを選定することが大事です。

リモートデスクトップ接続の注意点

リモートデスクトップは便利な技術ですが、以下のようにセキュリティ面での対策を怠ると、不正アクセスのリスクが高まります。また、ホストPCの電源管理やネットワーク環境の安定性も重要な要素です。安全・快適にリモートデスクトップを利用するために、注意すべきポイントを解説します。

セキュリティリスクの対策が必要

リモートデスクトップ接続はインターネットを介するため、不正アクセスや情報漏洩のリスクがあります。特に、パスワードの使い回しや通信の暗号化不足は危険です。対策としては、強固な認証方式を採用し、可能であればVPN経由で接続することが推奨されます。

また、OSやソフトウェアの更新を怠らず、常に最新の状態を保つことが重要です。アクセス権限を最小限に設定するなど、運用面の工夫もセキュリティを高めるポイントです。

ホストPCの電源を入れておく必要がある

リモートデスクトップでは、接続先のPC(ホスト)が稼働していなければ操作できません。スリープ状態や電源オフではアクセスできないため、事前に電源設定を確認しておくことが大切です。

業務で利用する場合は、社内ネットワーク内でWake-on-LAN機能を利用して、遠隔で電源を入れる方法もあります。ただし、設定やネットワーク環境によっては利用できないこともあるため、事前の動作確認が欠かせません。

ネットワーク環境の影響を受ける

リモートデスクトップはリアルタイムで映像を転送するため、通信速度や回線の安定性が大きく影響します。遅延や途切れが頻発すると、操作や作業の効率が著しく低下するので注意が必要です。

光回線や企業VPNのような安定した通信環境を確保し、できるだけ有線接続を利用するようにしましょう。無線接続の場合は、電波干渉や距離によって速度が低下することがあるため、ルーターの設置位置や通信帯域を見直すことが大事です。

代表的なリモートデスクトップツール

リモートデスクトップ接続を可能にするツールは多くあります。Windows標準機能のほか、「Chrome Remote Desktop」「TeamViewer」「AnyDesk」「Splashtop」などが代表的です。業務用ではセキュリティ機能が強化された有料ツールもおすすめで、アクセス管理や通信暗号化などの機能が充実しています。

一方で、個人利用では無料で使えるサービスも多く、簡単な遠隔操作やサポートに向いています。導入前には対応しているOSや通信方式、ベンダーのサポート体制などをきちんと比較・検討し、環境やニーズに合ったサービスを導入しましょう。

安全なリモートデスクトップの環境を構築しよう

リモートデスクトップは、遠隔地からパソコンを操作できる便利な技術です。しかし、便利さの裏にはセキュリティリスクや、通信環境など考慮すべき点もあります。導入の際には、接続方法の違いや設定のポイントを理解し、安全対策を徹底しなければいけません。

特に、パスワードの管理や通信の暗号化、アクセス権限の制御など、運用面での工夫が必要です。さらに信頼できるツールを選び、安定したネットワーク環境を整えることで、安全かつ快適なリモートワーク環境を構築しましょう。

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執筆者

Watchy編集部

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