社内メールの監視はどこまで必要?適切な頻度や注意点について解説

社内メールの監視は情報漏洩やコンプライアンス違反を防ぐため、多くの企業が実施していますが、従業員のプライバシーの尊重とのバランスが重要です。メールの監視が必要とされる理由から、適切な監視頻度の設定方法、実施する際の注意点まで詳しく解説します。

社内メールの監視は必要?

社内メールの監視は、企業の信頼性を守り、内部統制を強化するために欠かせません。主な目的は、不正行為や情報漏洩の防止、業務の改善などです。まずは、それぞれの観点から監視の必要性について確認しておきましょう。

不正行為の防止のため

従業員による不正行為は、企業にとって深刻なリスクとなります。例えば、機密情報を外部に漏らしたり、取引先との癒着が発生したりするケースは、社内メールを通じて実行されるケースも少なくありません。

監視を徹底することで、不正の兆候を早期に察知し、重大なトラブルを未然に防ぐことが可能になります。ただし、全従業員のメールを無制限にチェックするのではなく、特定のキーワードや不審な送信先を抽出して確認するなど、目的を明確にした上で実施することが重要です。

情報漏洩の防止とコンプライアンスのため

企業が扱う顧客データや取引情報などの機密情報は、外部に漏れると社会的な信用の失墜や、損害賠償請求などの事態に至る恐れがあります。社内メールの監視は、従業員によるメールの誤送信や、不正な情報の持ち出しのリスクを低減するための重要な施策です。

また、企業が法令や社内規定に沿って情報を管理している姿勢を示す上でも、一定の監視が求められます。メールの監視は単なるチェック作業ではなく、企業のコンプライアンス体制を支える仕組みの一部として、きちんと位置付けることが大切です。

業務効率やコミュニケーション改善のため

社内メールの内容を分析することで、業務上のボトルネックや、コミュニケーション上の課題を把握できるケースもあります。例えば、特定の部署間で連絡が滞っている場合や、同じ問い合わせが繰り返されている場合には、業務プロセスやマニュアルの改善につなげることが可能です。

監視結果を業務改善に生かすことで、単なるリスク対策にとどまらず、組織全体の生産性向上にも寄与します。ただし、目的が明確でない分析や過度な監視は、従業員の信頼を損なう要因にもなりかねません。企業文化や業務特性を踏まえた上で、適切な範囲で実施することが求められます。

社内メールの監視頻度はどれぐらい?

メール監視の頻度は企業のリスク状況や業種、組織規模によって異なりますが、過度な監視は従業員の信頼を損なう可能性があります。適切なバランスを見極めるようにしましょう。以下のように、監視方法には常時監視と定期監視があり、それぞれの特性を理解した上で、自社に適した頻度を設定する必要があります。

常時監視と定期監視の違い

常時監視は、リアルタイムで全てのメール通信を自動的にチェックする方法です。不正行為や情報漏洩を即座に検知できるというメリットがある一方、プライバシー侵害の懸念が大きく、システム導入コストも高くなります。

一方、定期監視は一定期間ごとにサンプル抽出やログ確認をするもので、常時監視に比べて手間やコストがかかりません。より現実的な運用方法といえるでしょう。多くの企業では、リスクが高い部署のみを重点的に監視したり、特定の条件に該当するメールを抽出したりする形で運用しています。

どちらの方法を採用するにしても、従業員に対して監視の目的や範囲を明示し、透明性を保つことが重要です。

リスクに応じた監視頻度の設定

全ての企業が同じ頻度で監視をしているわけではなく、そのタイミングには違いがあります。個人情報や機密データを多く扱う金融・医療業界では、より高頻度の監視が求められる場合があります。一方で、リスクが比較的低い業種では、月次や四半期単位のチェックでも十分です。

監視頻度を決める際は、過去のトラブル発生率や社内の情報管理体制を基に判断するとよいでしょう。監視結果を定期的にレビューし、必要に応じて体制を見直すことも重要です。固定的なルールにとらわれず、リスクの変化に応じて柔軟に監視レベルを調整する姿勢が求められます。

社内メールを監視する際の注意点

社内メールの監視をする際には、従業員のプライバシー保護と企業の安全管理とのバランスを慎重に取る必要があります。監視の目的や方法を社内規定として明確にして、従業員に周知することが大事です。

監視対象の範囲は必要最小限にとどめ、取得したデータの利用目的も明確にしましょう。監視データを不当に使用すれば、労働問題や法的トラブルに発展する恐れがあります。監視ツールを導入する場合は、セキュリティやログ保存期間などの運用ルールも、きちんと定めておく必要があります。

メールの監視は適切な方法と頻度で

社内メールの監視は、リスクマネジメントや業務改善に役立つ一方で、従業員の信頼を損ねかねないため注意しなければいけません。目的を明確にした上で、監視範囲や頻度を適切に設定することで、企業の安全性と監視の透明性を両立させることが大事です。

監視は「従業員を疑うため」ではなく、「企業と従業員を守るため」に実施する意識を持つことが重要です。定期的な運用体制の見直しや情報共有を通じて、より健全で信頼される職場環境の構築を目指しましょう。

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執筆者

Watchy編集部

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