社内メール監視ソフトは、従業員のメールの通信を管理・分析し、情報漏洩や不正アクセスを防ぐツールです。近年はサイバー攻撃の巧妙化に伴い、多くの企業で導入が進んでいます。社内メール監視ソフトの仕組みや、選び方のポイントを押さえておきましょう。
目次
社内メール監視ソフトとは
社内メール監視ソフトは、企業内で送受信されるメールを自動的に記録・分析し、不正な通信や情報漏洩の兆候を検知するツールです。セキュリティ強化の一環として、多くの企業が導入を進めています。まずは基本的な機能や、仕組みを確認しておきましょう。
基本的な機能と仕組み
社内メール監視ソフトは、送受信メールの内容や添付ファイル、送信先アドレスなどを自動的に解析し、不審なやりとりを検知します。特定のキーワードを検出してアラートを出す機能や、添付ファイルの暗号化・自動削除といった設定も可能です。
また、クラウド型のソフトではリアルタイムで通信を監視し、異常なパターンをAIが判定するものも増えています。これにより内部不正や外部からのサイバー攻撃に対して、早期対応できる体制を整えられます。単なる監視にとどまらず、セキュリティポリシーの順守状況を可視化する仕組みとしても、多くの企業に注目されているツールです。
社内メール監視ソフトを導入するメリット
社内メール監視ソフトの導入には、情報漏洩の防止や不正アクセス対策など、企業のリスクマネジメントに直結する多くのメリットがあります。代表的なものを見ていきましょう。
情報漏洩の抑止
社内メール監視ソフトの最大の目的は、従業員による意図的または過失による情報漏洩を、未然に防ぐことです。例えば、顧客情報や機密データを外部へ送信する行為をリアルタイムで検知し、管理者に通知する機能があります。
また、特定の宛先やドメインへの送信を制限することで、誤送信によるトラブルも回避できます。監視体制の存在を周知することで、従業員の情報管理意識が自然と高まり、不正行為の抑止にもつながるのがメリットです。結果として、企業の信頼性維持やコンプライアンスの強化にも寄与します。
マルウェア感染の防止
外部とのメールのやりとりは、マルウェア感染の主要な経路の一つです。監視ソフトを導入することで、添付ファイルやリンクに潜む悪意のあるプログラムを自動検出し、感染拡大を防ぐことが可能になります。
さらに、AIやウイルス定義データベースと連携できるソフトであれば、未知の脅威に対しても一定の防御力を発揮します。感染が疑われるメールの隔離や削除を自動化することで、IT担当者の負担を軽減しつつ、安全なメール環境を構築できるのもメリットです。
不正アクセスの監視
社内メール監視ソフトは、アカウントの不正利用や、外部からの侵入を早期に発見できるのもメリットです。通常とは異なる時間帯や場所からのアクセス、不審なログインパターンなどを検知することで、アカウント乗っ取りや内部犯行の可能性をいち早く管理者に通知します。
特にクラウドサービスの利用が増えている現代では、IDとパスワードが漏洩するリスクも高まっているため、多要素認証と組み合わせた監視体制の構築が有効です。さらに、送信されたメールの内容と行動パターンを分析することで、なりすましメールやビジネスメール詐欺など、高度な攻撃手法にも対応できます。
社内メール監視ソフトの選び方
社内メール監視ソフトを選ぶ際には、自社の規模や業種、直面しているセキュリティリスクを正確に把握することが重要です。
機能が豊富な製品が必ずしも良いとは限らないため、運用負担やコストとのバランスを考慮しつつ、実際に必要な機能を備えた製品を選定する必要があります。社内メール監視ソフトを選ぶ際に、注目すべきポイントを解説します。
導入コストと規模のバランスで選ぶ
社内メール監視ソフトの導入には、初期費用だけではなく、月額利用料や保守費用などのランニングコストが発生します。
大企業向けの高機能製品は充実した機能が実装されていますが、中小企業にとっては過剰スペックとなるケースも多く、コストに見合わない場合が珍しくありません。まずは、自社の従業員数やメール処理量を把握し、それに適したライセンス体系の製品を選びましょう。
なお、段階的に機能を追加できる拡張性の高い製品を選ぶことで、事業成長に合わせて柔軟にシステムを強化できます。無料トライアルを活用して実際の運用感を確認することも、失敗しないツール選定のポイントです。
防ぐべきリスクや脅威を基準として選ぶ
自社が直面しているセキュリティリスクを明確にすることも、最適な監視ソフト選定の第一歩です。最も警戒すべき脅威を明確にした上で、それに特化した機能を持つ製品を選定しましょう。
例えば、情報漏洩のリスクが高い業種では、送信制御や添付ファイル検査機能などを重視すべきでしょう。逆に、外部からのサイバー攻撃が懸念される場合は、AIによる不正アクセス検知機能を備えたソフトが有効です。
複数の脅威に対応する総合的なソリューションもありますが、優先順位を明確にすることで、適切な投資判断が可能になります。
セキュリティ・サポート体制で選ぶ
社内メール監視ソフトは導入して終わりではなく、継続的な運用と定期的なアップデートが必要です。従ってベンダーのサポート体制も、ツールの選定における重要な判断基準となります。日本語でのサポート提供の有無や対応時間帯、問い合わせ方法の選択肢、平均的な応答時間などを事前に確認しましょう。
また、製品のアップデート頻度や新たな脅威への対応スピードも重要です。サイバー攻撃の手法は日々進化しているため、脅威情報を迅速に製品に反映できるベンダーを選ぶことで、できる限り最新の防御体制を維持することが大事です。
おすすめの社内メール監視ソフト
それでは、多くの企業で導入実績のある代表的な社内メール監視ソフトを紹介します。それぞれの特徴を理解し、自社の環境や目的に合ったものを検討しましょう。
NetFlow Analyzer
NetFlow Analyzerはネットワーク全体の通信状況を可視化できるツールで、メールに使われるプロトコルの通信量・通信元などの詳細な分析が可能です。AIを活用した不審通信検出機能により、サイバー攻撃や情報漏洩の兆候を早期に察知できるのが特徴です。
ネットワーク機器から出力されるフローデータを自動で収集・整理する仕組みも備えており、セキュリティ担当者の分析業務を効率化します。多拠点環境にも対応しており、リモートワークの普及にも適した柔軟なソリューションとして人気があります。
NetFlow・sFlow対応フローコレクター NetFlow Analyzer
OneOfficeメールソリューション
株式会社TOKAIコミュニケーションズが提供するOneOfficeメールソリューションは、社内のメール運用を包括的に支援するサービスです。迷惑メールやスパムのフィルタリングに加えて、送信制御や添付ファイルの自動暗号化など、情報漏洩対策を強化する機能を多数備えています。
既存のオンプレミス環境や他社クラウドとの連携が可能で、企業規模や業種を問わず柔軟に導入できる点も魅力です。国内のデータセンターで運用されているため、信頼性とサポート体制の高さにも定評があります。
メールセキュリティ対策のお悩みを解決‐OneOfficeメールソリューション
IRONSCALES
IRONSCALESは、進化するフィッシング攻撃に対応するための、自己学習型AIメールセキュリティプラットフォームです。従業員一人一人のメールの利用傾向を学習し、なりすましやビジネスメール詐欺(BEC)など、高度な脅威を検出・隔離します。
報告機能や自動修復機能を備えており、管理者の負担を軽減できるほか、フィッシングシミュレーションや、セキュリティ意識向上のための訓練機能も提供しています。Microsoft 365やGoogle Workspaceとの連携にも対応しており、組織全体の継続的なメールセキュリティの強化が可能です。
IRONSCALES: 自己学習型/AIベースのメールセキュリティプラットフォーム
監視ソフトで安全なメール環境を構築する
社内メール監視ソフトは、情報漏洩・マルウェア感染・不正アクセスといった、多様なリスクに対抗できるソリューションです。日常業務の中で発生し得る情報漏洩や、不正アクセスのリスクを早期に検知し、重大な被害を未然に防げるようになります。
導入時に当たってはコストだけではなく、自社の業務特性やセキュリティリスクに合わせた機能を利用できるか、事前によく調べておきましょう。さらに、ベンダーの運用体制やサポート面も含めて検討することで、長期的に安定したセキュリティ環境の構築につながります。
Watchy編集部
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