リモート操作ツールは、パソコンやスマートフォンなど、遠隔地のデバイスを簡単に操作できる便利なソリューションです。無料で使えるリモート操作ツールの特徴や選び方について紹介するので、参考にしてみましょう。運用時の注意点も解説します。

リモート操作とは?

リモート操作とは、手元にない端末をインターネット経由で操作することです。日常業務やトラブルの対応、ファイル共有など幅広い用途に活用されており、時間や場所の制約を大幅に減らせるのに加えて、業務生産性の向上にも役立ちます。

リモート操作の仕組み

リモート操作は、操作側の端末から対象の端末に信号を送り、画面情報や入力情報を双方向でやりとりする仕組みです。通常は専用ソフトやブラウザを介して接続し、画面の表示やマウス・キーボード操作を遠隔で反映させます。

通信はインターネットを通じて行われるため、物理的な距離に関係なく操作が可能です。また、接続時には通信の暗号化をはじめとしたセキュリティ対策が組み込まれ、第三者による不正アクセスを防ぐ工夫もされています。

リモート操作の方法

リモート操作の方法は大きく分けて、専用ソフトをインストールする方法と、ブラウザ経由で操作する方法があります。ソフト型は専用アプリを双方にインストールする必要がありますが、高い操作性・機能性を実現できるのが特徴です。

一方、ブラウザ型はインストールが不要で簡単に接続できますが、利用できる機能が制限されることがあります。どちらも初回の接続時に認証やアクセス許可などを設定する必要があり、安全に利用するための準備が必要です。

リモート操作ツールの選び方

リモート操作ツールを選ぶ際には、接続方法や操作性・セキュリティなどに注目しましょう。目的や使用環境に合ったツールを選ぶことで、効率的かつ安全にリモート操作ができる環境を構築できます。

必要な接続・操作方法に対応しているか

まずは、リモート操作ツールを何の目的で使用するか、明確にすることが重要です。個人利用での軽い作業なのか、企業での本格的なテレワーク環境構築なのか、IT管理者によるシステム保守なのかによって、必要な機能や性能が大きく異なります。

また、利用したい端末やOS・ネットワーク環境に対応しているか、きちんと確認する必要があります。パソコン同士の接続だけでなく、スマートフォンやタブレットとの接続も可能か、ファイル転送や画面共有ができるかなども重要なポイントです。

操作性に問題はないか

リモート操作ツールの操作性や機能性は、実際の使用感に直結する重要な要素です。画質の鮮明さや操作の応答速度、ファイル転送機能の有無、マルチディスプレイ対応などを確認する必要があります。さらにインターフェースの分かりやすさや設定の容易さ、多言語対応などの要素も重要です。

特に、ITリテラシーが低めの社員も利用する環境ならば、直感的に操作できるシンプルなデザインが望ましいでしょう。また、モバイルアプリの提供状況や、各種OSとの互換性も確認しておくことで、より柔軟な運用が可能になります。

十分なセキュリティ対策がされているか

外部から社内システムにアクセスするため、リモート操作ツールには強固なセキュリティ機能が欠かせません。二段階認証やワンタイムパスワード、アクセス履歴の監視機能、不正持ち出し対策などが備わっているか必ず確認しましょう。

さらにサービスベンダーの各種セキュリティ認証の取得状況や、セキュリティアップデートの体制なども、重要な評価のポイントです。

無料で使えるリモート操作ツール

コストを抑えてリモートアクセスの環境を構築する場合、無料で利用できるツールが有効な選択肢です。無料で利用できるツールでも基本的な機能は備えており、小規模な利用や試験的な導入には十分な性能を提供しています。

ただし、商用利用が制限されているツールが多いため、利用規約をきちんと確認し、必要に応じて有料版に切り替えましょう。

Chrome リモートデスクトップ

「Chrome リモートデスクトップ」は、Googleが提供する完全無料のリモート操作サービスです。Googleアカウントがあれば、ログイン後に拡張機能を追加し、専用のホストソフトウェアをインストールすれば利用できます。

セキュリティ面では、Googleのクラウドインフラを基盤としており、TLS(Transport Layer Security)による安全な通信が確保されています。Windows・Mac・Linux・ChromeOS間でのクロスプラットフォーム接続に対応し、モバイルアプリも提供されているため、スマートフォンやタブレットからのアクセスも可能です。

ただし、機能は比較的基本的なものに限定されており、高度なファイル転送機能や管理機能は提供されていません。個人利用や簡単なサポート作業には、十分な機能を備えています。

Chrome リモート デスクトップ

TeamViewer

「TeamViewer」は、世界中で広く利用されているリモート操作ツールで、個人利用に限り無料で使用できます。設定の簡単さと高い安定性が魅力で、ソフトウェアをインストールするだけで自動的にIDとパスワードが生成され、すぐに接続が可能です。

さらに、高品質な画面転送やファイル転送・音声通話・チャット機能など、豊富な機能を利用できます。セキュリティも非常に強固で、256ビットAES暗号化や二要素認証、ホワイトリスト機能などを備えています。

ただし、商用利用が検出された場合、自動的に接続が制限される場合があるため、ビジネス用途では必ず有料のライセンスを購入しましょう。

TeamViewer - デジタル ワークプレイス プラットフォーム

AnyDesk

「AnyDesk」は軽量で高速な動作が特徴のリモート操作ツールです。画面の遅延が少なく、操作の反応が早いため、作業効率を重視する場合に適しています。無料版でも基本的な遠隔操作やファイル転送に対応しており、複数のOSで利用できます。

また、セキュリティ機能も充実しており、接続時にはTLS 1.2による暗号化や、RSA方式の認証が採用されているのも特徴です。

アクセス許可の設定や端末ごとのホワイトリスト登録も可能で、第三者による不正アクセスを防止できます。軽快な動作と高い安全性を両立しているため、在宅勤務やサポート業務など幅広い用途で活用しやすいツールです。

ただし、無料版は個人的な用途に限定されており、業務利用と見なされると、接続が中断される可能性があります。

高速な遠隔操作とリモートアクセスソリューション|AnyDesk

Zoho Assist

「Zoho Assist」は、クラウドベースのリモートサポートツールで、ヘルプデスクやカスタマーサポートに特化した設計が特徴です。無料プランでは、1セッションにつき15分の時間制限はあるものの、基本的な操作や画面共有に対応しています。簡単なサポート用としてならば、問題なく活用できるでしょう。

セキュリティ面では、TLS(Transport Layer Security)を採用しており、IPアドレス制限やセッション認証機能も提供しています。ただし、無料版では接続時間や機能に制限があるため、本格的な業務利用には有料プランの検討が必要です。

リモートアクセスソフトウェア|無料のリモートサポートソフトウェア|Zoho Assist

無料で使えるリモート操作ツールの注意点

無料で使えるツールは便利ですが、機能やサポートに制限がある場合がほとんどです。セキュリティもある程度は充実していますが、基本的な対策はユーザー自身がする必要があります。リモート操作ツールを利用する際の注意点を整理しておきましょう。

機能が制限されている場合もある

無料版のリモート操作ツールは基本的に、使用できる機能や、接続可能な端末数に制限が設けられています。例えば、ファイル転送の容量や画面共有の時間、商用利用の可否などが制限されており、業務で活用する場合は注意が必要です。上記のように、無料版では商用利用がNGのツールもあります。

一定の制限があることで、リモート操作の効率が低下する可能性もあるため、事前に無料で利用できる条件や機能などをきちんと確認しておきましょう。

セキュリティ対策はユーザー自身の責任となる

無料のリモート操作ツールは、基本的なセキュリティ機能が備わっていても、設定や運用はユーザー側に委ねられています。不適切なパスワードの設定や共有リンクの管理不足などが原因で、情報漏洩などのセキュリティリスクが高まる可能性があるので、十分注意しましょう。

安全に利用するためには、通信の暗号化や二段階認証・アクセス権の管理など、ユーザー自身で基本的な対策を徹底しなければいけません。

十分なサポートを受けられない可能性も

無料版のリモート操作ツールでは、基本的に技術サポートが制限されています。サービスの利用中に問題が発生した場合は、オンラインドキュメントやコミュニティフォーラムでの自己解決が必要です。直接的な技術サポートは、受けられないケースがほとんどです。

特に日本語サポートが限定的なツールでは、トラブルシューティングに時間がかかる可能性があります。サービスの停止や障害が発生した場合の保証も限定的であり、業務に支障を来すリスクもあるので注意が必要です。

重要な業務で使用する場合は、代替手段の準備や、必要に応じて有料サポートの利用を検討しましょう。

用途や環境に適したサービスを導入しよう

リモート操作ツールは、用途や環境に適したものを慎重に選択する必要があります。個人利用であれば Chrome リモートデスクトップの手軽さ、サポート業務には TeamViewer の安定性といったように、それぞれの特徴を理解して選びましょう。

ただし、セキュリティ要件が厳しい企業や、継続的な業務利用を想定している場合は、必要に応じて有料版への移行も視野に入れる必要があります。導入前には必ず試用期間を設けて、実際の環境での動作確認を行いましょう。長期的な運用を見据えた選択が求められます。

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執筆者

Watchy編集部

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