テレワークやハイブリッドワークの普及により、離れた場所から、オフィスのパソコンにアクセスする需要が高まっています。パソコンのリモート操作の方法と、おすすめのリモートアクセスツールを紹介します。選び方のポイントとともに押さえておきましょう。
目次
リモート操作ができるソフトとは?
リモートアクセスツールは、インターネットを通じて遠隔地の端末を操作できるソフトです。離れた場所から、オフィスや自宅のパソコン・ネットワークに安全に接続し操作できるため、業務効率化や柔軟な働き方を目指す多くの企業に注目されています。
リモートアクセスツールの仕組み
リモートアクセスツールは、操作する側の端末と操作対象の端末をネットワーク経由で接続し、画面や入力情報をリアルタイムで転送・共有します。利用者は自分の端末から、その場にいるかのように相手のパソコンを操作でき、ファイル編集やアプリケーションの利用も可能です。
多くのツールでは、データの暗号化や認証機能により、セキュリティを確保しながら安全な接続を提供しています。
リモートデスクトップとの違いは?
リモートデスクトップは、主に同一のネットワーク内やVPN接続下で利用する機能であり、WindowsなどのOSに標準搭載されています。一方、リモート操作ソフト(リモートアクセスツール)は、サードパーティー企業が提供しており、他のパソコンを遠隔操作するためのツールです。
またリモートデスクトップは、基本的に同一OS間での利用が想定されています。対して、リモートアクセスツールは、Windows・Mac・スマートフォンなど、異なるOS間での操作にも対応することができるのも特徴です。
リモートアクセスツールを導入するメリット
リモートアクセスツールを導入することで、出張先や在宅勤務中でも、社内のシステムやファイルに安全にアクセスできます。移動時間の削減や業務効率化に役立ち、緊急時の対応スピードも向上するでしょう。社内IT資源を一元管理できるため、設備やライセンスの重複購入を避けられる点もメリットです。
さらに、緊急時やシステム障害が発生した際にも、IT管理者が迅速にリモートでトラブルシューティングが可能になるため、ダウンタイムの短縮にもつながるでしょう。
リモートアクセスツールの選び方のポイント
リモートアクセスツールを選定する際には、社内のニーズや技術的要件を総合的に評価することが重要です。単に機能の多さや価格の安さだけで判断するのではなく、実際の利用シーンを想定した検証をすることで、最適なソリューションを選択できます。リモートツール選びのポイントを押さえておきましょう。
利用目的や接続環境との整合性
まずは、ツールの利用目的と接続環境の相性を確認する必要があります。外出先から自宅や社内のパソコンにアクセスするだけであれば、基本的な接続機能で十分でしょう。しかし、大規模な業務や複数ユーザーでの利用を想定する場合は、高負荷でも安定した通信が可能なツールを選ぶことが大事です。
また、モバイル回線や公共Wi-Fiからの利用が多い場合は、接続安定性や通信の最適化機能が備わっているかも重要な判断材料です。業務に支障が出ないように、利用シーンを明確にした上で、環境に合った製品・サービスを選びましょう。
機能性や操作性
リモートアクセスツールの機能性や操作性も確認しましょう。画面転送速度や操作のレスポンスをはじめ、仮想キーボード・マウス機能など、日常業務に支障なく使えることがポイントです。実際の操作感は生産性に直結する要素であるため、無料トライアルを活用するのも有効です。
加えて、設定や管理の容易さや複数ユーザーでの利用可否なども、利用環境の規模に合わせて検討する必要があります。
セキュリティ機能の充実度
リモートアクセスは外部から社内のパソコンに接続するため、セキュリティの強度は非常に重要です。近年は多くのリモートアクセスツールで基本的なセキュリティ機能が実装されていますが、それでも不正アクセスのリスクはゼロではありません。
通信の暗号化や多要素認証に加えて、IPアドレス制限・ログ記録機能などの有無は必ずチェックしましょう。また、ツールの開発元が信頼できるかも重要なポイントです。ベンダーによるサポート体制やアップデート頻度が高い製品ならば、万が一のセキュリティインシデントにも対応しやすくなります。
無料で使えるリモートアクセスツール2選
できるだけコストを抑えてリモートアクセスの環境を構築したい組織にとって、無料で利用できるツールは魅力的な選択肢です。ただし、無料版には機能制限や利用制限がある場合が多いため、組織の要件と照らし合わせて慎重に検討しましょう。無料で使える代表的なリモートアクセスツールを紹介します。
TeamViewer
「TeamViewer」は、個人利用なら無料で使えるリモートアクセスツールです。WindowsやMac・Linuxに加えて、iOSやAndroidにも対応しており、異なるデバイス間で接続できます。IDとパスワードだけで簡単に接続でき、初心者にも扱いやすいため、世界的に広く利用されています。
遠隔サポートやファイル転送・マルチセッションにも対応しており、有料版ではさらに高機能・高セキュリティな運用も可能です。
TeamViewer - デジタル ワークプレイス プラットフォーム
AnyDesk
「AnyDesk」は、高速かつ軽量な動作が特徴のリモートアクセスツールで、こちらも個人利用は無料です。Windows・Mac・Linux・モバイル端末など幅広いプラットフォームに対応し、ポータブル版を使えばインストール不要で利用できます。
また独自の通信プロトコルにより、低帯域環境でも滑らかな画面表示と、低遅延操作を実現できるのが特徴です。簡単なファイル転送やクリップボード共有にも対応しており、遠隔サポートや自宅のパソコンへのアクセスなど、幅広いシーンで活躍します。
高速な遠隔操作とリモートアクセスソリューション|AnyDesk
おすすめのリモートアクセスツール3選
有料のリモートアクセスツールは、企業利用に特化した高度な機能とサポートを利用できます。代表的なツールを押さえておきましょう。
RemoteView
「RemoteView」は、クラウド経由でパソコンやサーバーにアクセスできる法人向けツールです。ブラウザから利用できるため、専用アプリのインストールが不要で、社外パソコンや出張先からも簡単にアクセスできます。
画面録画や操作ログの取得、端末ごとのアクセス権限設定など、管理機能が充実しているのが特徴です。高度な暗号化や操作ログ管理など、企業向けセキュリティ機能も充実しています。
Splashtop Business
「Splashtop Business」は、高画質かつ低遅延な接続性能で知られるリモートアクセスツールです。HD品質の映像や音声転送に対応し、クリエイティブ業務や遠隔会議にも適しています。
特に画面転送の品質や音声同期が高く評価されており、複数端末から同時にアクセスできるのも特徴です。価格設定も比較的リーズナブルで、複数台の端末に接続できるプランも用意されています。
Splashtop Business シリーズ | テレワーク導入を最短距離で
MagicConnect
「MagicConnect」は、高いセキュリティ対策を誇る日本発のリモートアクセスサービスで、USBキーによる認証やIPアドレス制限をはじめ、細かなアクセス権限管理が可能です。
社外から社内システムへのアクセスに特化しており、金融機関や公共機関など高セキュリティを求める組織での導入実績も豊富です。詳細なアクセスログとレポート機能により、コンプライアンス要件への対応も可能で、手厚いサポート体制も提供されています。
信頼と実績のリモートアクセス MagicConnect(マジックコネクト)|NTTテクノクロス
正しいソフト選びで安全なリモート操作環境を実現
リモートアクセスツールは、場所に縛られない業務環境づくりに役立ちます。利用目的やセキュリティ要件に合った製品を選定すれば、情報漏洩リスクを抑えつつ、柔軟なワークスタイルの実現と業務効率化が可能です。
導入するツールを選ぶ際には、利用目的や接続環境に加えて、利用できる機能やセキュリティ性能などを事前に調べておき、ニーズに合致した製品を選ぶ必要があります。ツールを正しく運用し、場所に縛られない柔軟で効率的な働き方を実現できれば、組織全体の競争力の向上につながるでしょう。

Watchy編集部
従業員が安心して働ける環境を提供するための、IT資産管理、情報漏洩対策、労務管理に関するコンテンツを発信しています。
Watchyは、株式会社スタメンが運営するクラウドサービスです。企業のIT情報統制の課題やバックオフィスの課題を、情報システム担当者が手薄な状況でも、Watchyが解決。設定・運用の手間を最小化しながら、押さえるべきポイントを確実に押さえた企業統制の実現を支援します。
【株式会社スタメンについて】 東京証券取引所グロース市場上場。Watchy、TUNAGなど、人と組織の課題解決を実現するSaaSを展開。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びプライバシーマークを取得。