ヒューマンエラーによる情報漏洩は、企業の信頼と事業の継続を脅かす重大なリスクです。メールの誤送信やUSBメモリの紛失といった、ささいな不注意が大事件に発展しかねません。実際に生じた被害と情報漏洩の原因を確認し、適切な対策を講じましょう。

ヒューマンエラーが引き起こす情報漏洩の脅威

メールの誤送信や端末の紛失など、日常業務のささいなミスにより、深刻な情報漏洩につながる可能性があります。ヒューマンエラーが発生するリスクをできる限り低減し、安全にシステムやネットワークを活用できる体制の構築が必要です。

情報漏洩の原因の多くはヒューマンエラー

多くの企業は、情報漏洩対策として外部からのサイバー攻撃に注目しがちですが、実際には内部の人的要因によるケースが後を絶ちません。情報漏洩の発生原因を分析すると、多くのケースでヒューマンエラーが関与しています。

詳しくは後述しますが、送信先の確認不足によるメール誤送信、機密情報を保存したままの端末の紛失、誤操作によるセキュリティ設定の変更などが代表的です。これらは一見小さなミスですが、顧客情報や取引先データが外部に流出すれば、損害賠償を請求されたり契約が打ち切られたりするなど重大な結果を招く可能性があります。

外部からの攻撃とは異なり、ヒューマンエラーは日常業務の中で突然発生するため、予防には従業員一人一人の意識の向上と、組織的な対策が欠かせません。

ヒューマンエラーによる情報漏洩の被害事例

ヒューマンエラーの事例として、宛先を間違えたメール送信による個人情報の流出や、社用端末・USBメモリの電車内の置き忘れなどがあります。さらには、クラウドサービスの設定ミスによる公開情報の拡散なども、実際の被害事例として有名です。

いずれも外部からの攻撃ではなく、日常業務でのちょっとした不注意が原因でした。個人情報が第三者に渡ってしまい、企業の信頼の失墜につながったケースもあるので、発生前の予防措置が極めて重要です。

ヒューマンエラーによる情報漏洩の原因

ひと言でヒューマンエラーといっても、その原因は多岐にわたります。日々の業務に潜むささいな気の緩みや思い込みが、重大なインシデントの火種になりかねません。特に発生のリスクが高く、多くの企業が課題として抱えている原因を見ていきましょう。

メールの誤送信

メールの誤送信はヒューマンエラーによる情報漏洩の中でも、特に頻発している原因です。宛先の自動補完機能を過信し、誤ったアドレスに送信してしまうケースや、BCCとCCの設定を誤り、顧客間でアドレスが共有されてしまう場合などがあります。

業務が多忙な中での確認不足や、複数案件を同時進行している状況が、従業員によるミスを誘発します。特に機密情報を含む添付ファイルが含まれる場合、被害が深刻化しやすく、データの回収も困難になる場合がほとんどです。

端末や記録媒体の紛失・置き忘れ

外出先での業務や移動中に発生しやすいのが、端末や記録媒体の紛失・置き忘れです。営業先で使用したUSBメモリを机に置き忘れたり、電車内にノートPCを置いたまま下車したりする事例は、決して少なくありません。

特に持ち出し制限が緩い環境ではリスクが高まり、仮にパスワードで保護していても、解析により情報が流出する恐れがあります。持ち出し時に関するルールの設定や、紛失時に遠隔でデータを消去できる仕組みなどが必要です。

操作ミス・判断ミスによるマルウェア感染

従業員が不審なメールの添付ファイルを開封したり、不正なWebサイトにアクセスしたりすることでマルウェアに感染し、情報漏洩を招く事例も少なくありません。

特に業務関連を装ったフィッシングメールや、巧妙に偽装されたサイトへのアクセスは見分けがつきにくく、判断を誤ると感染が拡大してしまいます。さらに感染した端末を通じて、社内ネットワーク全体に被害が及び、重要データの漏洩や暗号化による業務停止に発展する恐れもあるので、十分注意が必要です。

ヒューマンエラーによる情報漏洩を防ぐには?

ヒューマンエラーは完全にゼロにはできないものの、環境づくりや仕組みにより大幅に減らせます。できる限り情報漏洩のリスクを軽減するために、技術的・人的両面からの対策を徹底しましょう。

情報アクセス権限の厳格化

情報漏洩のリスクを軽減するには、アクセス権限の設定を必要最小限にするのが基本です。全従業員が同じ情報にアクセスできる状態では、誤操作や不正利用の可能性が高まります。部署や役職ごとに権限を分けて、機密性の高いデータは、承認制や二段階認証を必須にするとよいでしょう。

また、退職者や異動者の権限が残ったままになるケースも多いため、権限の定期的な見直しも欠かせません。権限管理をITシステムで自動化し、記録を残すことで、万一の際に原因の特定が容易になります。

セキュリティ教育の継続的実施

単発の研修やマニュアルの配布だけでは、従業員の意識はすぐに薄れてしまいます。ヒューマンエラーの防止には、継続的なセキュリティ教育が必要です。実際に起こった事例や最新の脅威の動向を取り入れた研修、疑似フィッシングメールを使った訓練など、体験型の学習が効果的です。

加えて、新入社員や異動者への初期教育と、全従業員を対象にした定期的な再教育を組み合わせることで、知識の定着とセキュリティ意識の維持に努めましょう。

ITツールによる自動検知・制御

ヒューマンエラーの発生を前提として、システム側で被害の拡大を防ぐ仕組みの導入も必要です。例えば、送信メールの添付ファイルを自動的に暗号化したり、社外への送信時に確認のポップアップを表示したりするなど、安全にメールを送信できる機能を有するツールは多くあります。

また、USBメモリなど外部媒体の利用を制限し、不正な持ち出しを検知・遮断するDLP(Data Loss Prevention)もおすすめのシステムです。こういった技術的対策は、人間による確認の抜け・漏れを補完し、情報漏洩の防止に寄与します。

ヒューマンエラー対策は継続的な取り組みが必要

ヒューマンエラーへの対策は一時的な施策にとどまらず、セキュリティ教育や権限管理、ITシステム導入を不断に継続することが大切です。多様化する業務環境や新たな端末の利用に対応しつつ、定期的に現状を見直し、会社全体で安全意識を育む取り組みを進めましょう。

なお、情報漏洩のリスクを軽減するには、システムに「何が起きたのか」を客観的なデータで特定できる環境の構築も必要です。

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執筆者

Watchy編集部

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