サイバー攻撃が高度化し続ける現代において、企業や組織が守るべき「攻撃対象領域(アタックサーフェス)」が徐々に広がっています。アタックサーフェスの基本的な定義や重要性、可視化・管理の具体的な手法まで、実践的な観点で詳しく解説します。

アタックサーフェス(Attack Surface)とは?

現在の企業IT環境は、オンプレミスからクラウド、リモートアクセス、SaaSなど多様な要素で構成されており、これに比例して攻撃対象領域(アタックサーフェス)も広がっています。ネットワーク境界という概念が通用しにくくなった今、アタックサーフェスを正確に把握し、継続的に可視化・管理することが不可欠です。

なぜアタックサーフェスの管理が重要なのか?

サイバー攻撃は年々、高度化・巧妙化しており、マルウェア感染だけでなく、標的型攻撃やサプライチェーン攻撃、ゼロデイ攻撃といった被害が頻発しています。組織の防御体制の隙を狙った攻撃が増加しており、従来の境界型防御だけでは対応が困難な状況です。

近年のサイバー攻撃の実態

近年は、マルウェア感染にとどまらず、標的型攻撃やサプライチェーン攻撃、ゼロデイ攻撃といった手法による被害が頻発しています。これらの攻撃は、組織の防御体制の隙を狙って巧妙に仕掛けられるもので、検知を擦り抜けるケースが少なくありません。

加えて、攻撃者はクラウドサービスやVPN、IoTデバイスといった新たな足掛かりを積極的に活用しています。取引先や委託先を経由した攻撃も増加し、従来の境界型防御だけでは対応が困難なのが実態です。こうした状況において、アタックサーフェスの拡大と、管理の重要性が一層高まっています。

攻撃の対象となりやすいIT資産

サイバー攻撃の標的は、単にサーバーやネットワーク機器に限りません。公開されているWebアプリケーションや管理者用のログインページ、クラウド上の設定ミスなども、攻撃の拠点になりかねません。

また、メールサーバーや従業員の認証情報など、攻撃者にとって有効な手掛かりとなる資産は多岐にわたります。特に設定の甘さやパッチの未適用といった人為的なミスが、アタックサーフェスを拡大させる要因として、多くの被害事例で確認されています。

代表的な攻撃ベクトルの例

アタックサーフェスに関連する代表的な攻撃ベクトル(攻撃手段)には、フィッシングメールによる認証情報の搾取、リモートデスクトップ接続の不正利用があります。さらにAPIの脆弱性の悪用や、サポート終了ソフトに対する既知の脆弱性を突いた攻撃も頻出しています。

こうした攻撃は、システムのどこに穴があるのかを事前に調べ上げた上で仕掛けられることが多く、侵入経路を可視化し、脆弱性の所在を常に把握しておくことが重要です。

アタックサーフェスを可視化・管理する方法

アタックサーフェスの可視化・管理は、組織のセキュリティの強化に直結します。まずは全てのIT資産の棚卸しと脆弱性の洗い出しを通じて、攻撃を受ける可能性のある経路を明確にしましょう。

さらに、以下のポイントを押さえた上で、動的に変化する攻撃対象領域を把握し、リスクの低減を図る必要があります。

アタックサーフェス分析(ASA)の導入

アタックサーフェス分析(ASA)は、企業が保有する全IT資産を棚卸し、外部公開部分・設定ミス・既知の脆弱性などを網羅的に洗い出す手法です。一度限りの対策ではなく、システム変更や新規導入のたびに見直しが必要です。

継続的な監視と自動検出ツールの活用

IT環境は日々変化しており、アタックサーフェスも常に変動しているため、継続的な監視体制の構築と、それを支える自動検出ツールの活用が欠かせません。

ツールの活用により外部スキャンや脆弱性の検知、ログ監視などを自動化・効率化することで、人的リソースに依存せず、迅速な対応が可能になります。さらに異常なアクセスや不審な振る舞いを、即座に察知できる仕組みを導入すれば、攻撃の初動段階での検知・封じ込めがしやすくなります。

ゼロトラストに基づいた管理体制の構築

ゼロトラストは「すべてのアクセスを信頼しない」という前提のもと、ユーザーや端末ごとに認証・権限を厳密に制御するセキュリティモデルです。アタックサーフェス管理でも、アクセス制御・多要素認証・最小権限の原則を徹底することで、防御層を強化できます。

アタックサーフェス管理のポイントを理解する

アタックサーフェスは、攻撃者視点で見た「狙いやすいポイントの集合体」といえます。組織のIT資産が複雑化する中、全体像を把握しきれていないことがリスクの温床になりかねません。ASAやASM(Attack Surface Management)といった可視化・監視手法を導入し、ゼロトラストの考え方を取り入れながら、アクセス権の最小化・認証プロセスの強化・運用体制の見直しを進めることで、巧妙化する脅威に備えた堅牢な防御体制を構築できます。

なお、IT資産の棚卸しやユーザーの操作ログを常に可視化しておくことは、アタックサーフェスを管理するうえでの第一歩です。

こうした可視化・管理を日常業務で実践するためには、操作ログや資産情報を一元的に把握できる「Watchy」のようなツールの活用が効果的です。ASAやゼロトラストの実装にもつながり、より堅牢なセキュリティ基盤の構築を後押しします。

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執筆者

Watchy編集部

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