ログの可視化は、システムの状態やユーザーの行動を視覚的に捉えるための手段であり、セキュリティ対策や業務改善に役立ちます。これを実現するログ可視化ツールは、膨大なログデータをグラフやダッシュボードで整理・表示することで、直感的に情報を把握できるようにします。ログの可視化によって得られる主な特徴やメリットを理解しておきましょう。
目次
ログ可視化ツールの特徴
ログ可視化ツールは、企業内のさまざまなシステムや、デバイスから収集される操作履歴(ログ)を視覚的に整理し、分かりやすく表示できるソフトウェアです。単純にログを表示するだけではなく、データの相関関係を明らかにして、異常を検出する高度な機能を備えています。
まずはログとは何か、基本的なところを確認するとともに、ログ可視化ツールでできることを整理しておきましょう。
そもそも「ログ」とは?
ログとは、コンピューターやネットワーク機器、各種システムが自動的に記録する「操作履歴」や「通信記録」を指します。PCの操作履歴やファイルアクセス記録、ネットワークの通信履歴などが該当します。
これらのログは、日々の業務やシステム運用の証跡となるだけではなく、不正アクセスやトラブル発生時の原因追跡、業務効率化の分析材料としても活用されます。膨大な量のログはそのままでは分析が困難なため、可視化ツールによる整理・分析が欠かせません。
ログの可視化が必要な理由
ログの可視化が求められる背景には、IT環境の複雑化やサイバー攻撃の高度化、業務の多様化があります。ログがテキストデータのままでは、異常や不正の兆候を見逃しやすく、迅速な対応が難しいため、グラフやチャートで直感的に状況を把握できる可視化が必要です。
ログの可視化により、トラフィックの傾向やセキュリティリスク、システムの異常などを早期に発見できます。
ログ可視化ツールに実装されている機能
多くのログ可視化ツールには、ダッシュボード表示や検索・フィルタ機能をはじめ、さまざまな便利機能が実装されています。ダッシュボードでは重要な指標やアラート状況を一画面で確認でき、検索機能により膨大なログから、必要な情報を迅速に抽出できるのも特徴です。
さらに、異常や不正をリアルタイムで検知し通知するアラート機能や、定期的なレポート作成機能も充実しており、現場担当者から経営層まで幅広く活用されています。ただし、システムによって利用できる機能は異なるので、事前によく確認しておきましょう。
ログ可視化ツールを導入するメリット
ログ可視化ツールの導入により、企業はセキュリティの強化やコスト削減など、さまざまなメリットを享受できます。代表的なものを確認しておきましょう。
障害や異常の早期発見が可能になる
ログを可視化することで、システム障害やセキュリティ異常の兆候を、リアルタイムで把握できるようになります。通常と異なるアクセスや不審な操作が発生した場合、アラートの通知により即座に対応が可能です。
これによりトラブルの拡大を未然に防ぎ、システムの安定運用を実現します。特にサイバー攻撃や内部不正など、従来は見逃されがちだったリスクにも、迅速に対応できるのは大きな強みです。
運用・監視業務を効率化できる
従来、膨大なログデータの分析や異常検知には多大な工数がかかっていましたが、可視化ツールの導入により、必要な情報を瞬時に抽出・分析できるようになります。
ダッシュボードやレポート機能を活用することで、運用担当者の負担を大幅に軽減し、日常的な監視業務や定期的な監査作業の効率化が可能です。結果として、より戦略的な業務やセキュリティの強化に、貴重な人的リソースを集中できるようになります。
社員の勤務実態を把握しやすくなる
ログ可視化ツールは、社員のPC操作やアプリ利用履歴、Webアクセス履歴なども可視化できるため、勤務実態や業務プロセスの見える化が可能です。
テレワークの環境下でも労務管理や生産性分析が容易になり、不正行為や業務の停滞や偏り対流の把握、働き方改革の推進にも役立ちます。業務改善や適切な評価制度の構築にもつながるため、多くの企業で導入が進んでいます。
ログ可視化ツールの選び方
ログ可視化ツールを選定する際には、自社の目的や業務内容に合ったログの種類に対応しているか、よく確認することが大切です。加えて、リアルタイム分析やアラート通知が可能か、操作性やUIが分かりやすいか、導入・運用コストが予算に合うかなどに注目しましょう。
また、SIEM系やIT資産管理系、業務分析系などツールのタイプによって得意分野が異なります。現場の課題や経営層のニーズも踏まえて、環境やニーズに合った製品を選ぶことが重要です。
ログ可視化ツールおすすめ3選
企業のログ可視化ニーズに応える優れたツールとして、国内外の多くの製品が提供されています。ここでは、特に日本企業での導入実績が豊富で、機能性と使いやすさのバランスが取れた三つのツールを厳選して紹介します。
SKYSEA Client View - Sky株式会社
「SKYSEA Client View」はIT資産管理と情報漏洩対策に強みを持つ、ログ管理・可視化ツールです。PC操作ログやUSB接続履歴、アプリケーション利用状況など、端末操作のさまざまな記録を収集し、分かりやすいレポート形式で出力できるのが特徴です。
ログを単なる履歴として保存するだけではなく、視覚的に把握しやすいグラフや時系列の一覧表などで表示できます。管理者の作業負荷を軽減しつつ、システムの状況を正確に把握できるようになります。オンプレミス版とクラウド版、どちらのバージョンも導入可能です。
SKYSEA Client View(オンプレミス版)|ITセキュリティ対策とリスクの発見を支援
EventLog Analyzer - ゾーホージャパン株式会社
「EventLog Analyzer」は、世界的なITソリューションベンダーである、ゾーホーグループが提供するログ分析ツールです。WindowsイベントログやSyslog・アプリケーションログなど、複数の形式に対応しており、ネットワーク全体の可視化とスムーズな脅威検知が可能です。
また、高度なログ検索機能と自動レポート作成機能により、監査・分析業務の効率化を実現できます。内部不正の兆候を検出する、ユーザー行動の分析機能も搭載されており、企業の情報セキュリティ対策としても信頼性の高い製品です。
統合ログ管理を今すぐ簡単に始められるツール EventLog Analyzer
AssetView - 株式会社ハンモック
「AssetView」は、IT資産管理とログ可視化を一体化したツールです。PC操作やWebアクセスなどのログ収集・可視化に加えて、IT資産の棚卸しやライセンス管理が可能です。
ユーザーがいつどのファイルを操作したか、どのWebサイトを閲覧したかといった詳細な記録を基に、管理者がリスクのある行動を素早く把握できます。セキュリティ対策や内部統制、業務効率化を同時に実現したい企業におすすめです。クラウド型・オンプレミス型の両方に対応しています。
AssetView【IT資産管理ツール・情報資産管理ソフト】
ログ可視化ツールを導入・運用する際の注意点
ログ可視化ツールは便利で強力な半面、導入や運用には慎重さが求められます。目的や対象とするログの種類を明確にしないままツールを選定すると、機能の過不足が生じ、期待した効果を得られないケースもあるので注意しましょう。
また、ログには個人情報や機密情報が含まれる場合もあるため、取り扱いや保存方法に関して、法令やガイドラインを順守する必要があります。特に社員の業務ログを収集する際には、プライバシーとのバランスを取りつつ、適切な範囲で行うことが重要です。
ログの可視化とIT資産管理なら「Watchy」もおすすめ
ログ可視化はセキュリティ対策だけでなく、業務効率化やリスクマネジメントの強化にも直結する重要な施策です。適切なツール選びと運用体制の構築により、日常のIT運用における課題を早期に発見・解決できるだけでなく、組織全体の情報資産を守る体制を強化できます。
数あるログ可視化ツールの中でも、徹底したIT資産管理が可能な「Watchy」ならば、PCやソフトウェアの利用状況を把握できるだけでなく、操作ログやセキュリティリスクの兆候も可視化できます。特に、情シス不在・リソース不足の中小企業にとっては、「専門知識不要で簡単に始められる」「必要な機能だけを選べる」点がWatchyの大きな強みです。必要な機能を選んで導入できるため、コストを抑えつつ、自社の運用環境や管理体制に合わせた柔軟な活用が可能です。この機会にぜひ、導入をご検討ください。
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Watchy編集部
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