内部統制は、企業のガバナンスやリスク管理に不可欠な取り組みであり、特にログ管理は不正の兆候を察知し、業務の正当性を証明できる有効な手段です。内部統制におけるログ管理の役割から実践方法、効果的な運用のポイントを押さえておきましょう。

内部統制においてログ管理が重要な理由

内部統制においてログは「行動の記録」であり、不正の抑止や事後検証の根拠として活用されます。業務の透明性を確保し、監査にも対応できる体制を整えるには、ログ管理の仕組みの導入が有効です。まずは、内部統制の目的やログ管理の役割について、基本的なところを解説します。

そもそも内部統制とは?

内部統制とは、企業が健全かつ効率的に事業活動をするために必要な仕組みの総称です。金融庁の定義によれば、「業務の有効性・効率性」「財務報告の信頼性」「法令順守」「資産保全」という、4つの目的を達成するため、組織全体で遂行されるプロセスとされています。

この仕組みは、単なるルールの整備にとどまらず、日々の業務活動に組み込まれていることが重要です。従業員の行動が方針に沿って一貫しているか、業務手続きが適切に運用されているかといった点を継続的に確認し、改善することが内部統制の実効性を支えるポイントです。

※出典:財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準|金融庁

内部統制の目的

内部統制の第一の目的は、業務の有効性や効率性を確保することです。企業が設定した戦略目標の達成に向けて、限られた経営資源を最適に配分し、無駄や重複を排除しつつ、効率的に業務を遂行できる体制を目指します。

第二の目的は財務報告の信頼性の確保で、投資家や債権者などのステークホルダーに対し、正確で適時な財務情報を提供するため、会計処理や財務諸表作成プロセスの適正性を担保します。

第三の目的である資産の保全は、企業の有形・無形資産を不正使用や毀損から守り、適切に管理する取り組みです。さらに第四の法令の順守は、事業活動に関連する法規制や社内規程を守り、コンプライアンス違反によるリスクの回避を目的としています。

これらの目的を達成するため、内部統制は組織構造や業務手続き・情報システムなど、さまざまな観点から、自社に合った体制を構築する必要があります。

内部統制におけるログ管理の役割

ログ管理は内部統制における「見える化」の手段であり、その基盤となる重要な取り組みです。誰がいつ、何をしたかを正確に記録することで、業務の透明性を担保できます。明確に記録が残ることで、内部不正の抑止にもなり、問題が起きた際の証拠としても利用可能です。

また監査時には、収集したログが証跡となり、ルール通り業務が運用されているか、客観的に示すための根拠になります。さまざまなログを適正に収集・管理しておけば、業務の妥当性やシステムの安定性を評価するためのデータとしても活用できます。

内部統制におけるログ管理の実践方法

内部統制を強化するためのログ管理は、単なる記録の蓄積ではなく、対象や手法・運用体制を明確にした上で実施しなければいけません。以下の点を意識して、必要なログを確実に収集・管理できる体制を整えましょう。

ログ管理対象の明確化

まずは、どのシステムや業務プロセスのログを管理対象とするか、明確に定める必要があります。業務における重要性やリスクの高い領域を優先し、アクセスログや操作ログ・エラーログなど、多様なログを網羅的に把握しましょう。

ガイドラインや業界基準を参考にしつつ、必要なログ項目や記録期間、保管方法なども具体的に定義します。管理すべきログを明確にすることで、監査やインシデントの発生時にも、迅速かつ効率的に対応できるようになります。

ログ取得の自動化と改ざん防止措置

ログの取得は人手に頼るのではなく、システムによる自動化が必須です。手動では収集すべきログの漏れや不整合が生じやすく、監査対応としても不十分と見なされる可能性があります。

さらに、記録されたログの信頼性を担保するには、徹底した改ざん防止策を講じなければいけません。アクセス制御や暗号化、定期的なバックアップなどの対策が必要です。ログへの書き込み権限も制限し、許可されたユーザーのみ操作できるようにしておきましょう。

ログの分析手法の確立

収集・蓄積したログを有効活用するには、分析方法や運用ルールの整備も必要です。データの収集からインデックスの作成をはじめ、パターン認識や異常検知・根本原因の分析まで、一連のプロセスを体系的に設計することが重要です。

近年は、AIや機械学習を活用した高度な分析も普及しており、異常な挙動やサイバー攻撃の兆候を早期に察知できます。分析結果は、業務改善やセキュリティの強化、再発防止策の立案などに活用しましょう。

効果的なログ管理のポイント

実効性のあるログ管理には、設計・運用両面での工夫が必要です。以下のポイントを意識して、属人化を避けつつ、セキュリティと業務効率の両立を目指しましょう。

ログの収集・閲覧・分析の権限とルールを整備する

ログデータは業務の実態を映し出す証拠になる一方、情報漏洩のリスクも孕みます。誰がどのログにアクセスするのか、どのように収集・分析するかなどに関して、明確な運用ルールを決めておきましょう。

上記のようにログの閲覧は、必要最小限の人員に限定することが大事です。アクセス履歴も記録しておき、ログの扱いに関する透明性・信頼性を確保する必要があります。

統制とセキュリティを両立するログ設計を行う

内部統制の強化には、セキュリティの観点も忘れてはいけません。ログを詳細に記録すれば、それだけ管理すべき対象が広がります。セキュリティ上の脆弱性を招く恐れがあるため、あらかじめ「何を」「どの程度」「どのように記録するか」を明確にしておきましょう。

過剰なログの取得はシステムに負荷をかける一方で、ログの取得範囲が狭すぎると統制上の空白が生まれてしまいます。また、個人情報や機密情報を含むログに対しては、マスキングや暗号化などの対策も必要です。

ツールの導入で運用を標準化・効率化する

ログ管理を属人的な作業にしないためには、専用ツールの導入が不可欠です。ログ管理ツールには、ログの記録・保存・分析・通知といった機能が一体化されており、管理者の運用負担を大幅に軽減できます。

また、各種設定や権限管理もGUIベースで実行できるので、専門知識のない担当者でもスムーズな運用が可能です。アラート機能やレポート出力機能を備えたツールも多く、異常の早期発見や定期的な監査対応も容易になるでしょう。

ツールの選定に当たっては、自社のIT環境やセキュリティ要件との適合性を、重視する必要があります。さらに既存のシステムとの連携のしやすさや、将来的な拡張も含めて検討しましょう。

内部統制のためのログ管理なら「Watchy」

内部統制においてログ管理は不可欠な要素であり、運用の巧拙が精度を左右します。上記のように、内部統制を強化するとともに、監査やセキュリティ対策に万全を期すには、信頼性の高いログ管理ツールの導入がおすすめです。

数あるツールの中でも、IT資産管理全般に役立つ「Watchy(ウォッチー)」ならば、必要な機能を選んで運用できます。システム全体のログを自動で収集・保存するだけでなく、不正の兆候を検出する分析機能や可視化レポートなど、内部統制の高度化に直結する多彩な機能を選択可能です。

情シスでなくとも簡単に設定・運用できる管理画面も特徴で、初めて本格的にIT資産管理に取り組む企業も使いやすい仕様です。この機会にぜひ、導入をご検討ください。

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執筆者

Watchy編集部

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Watchyは、株式会社スタメンが運営するクラウドサービスです。企業のIT情報統制の課題やバックオフィスの課題を、情報システム担当者が手薄な状況でも、Watchyが解決。設定・運用の手間を最小化しながら、押さえるべきポイントを確実に押さえた企業統制の実現を支援します。

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