OSやソフトウェアの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が増加する中、OSアップデート管理の重要性が高まっています。OSアップデートの目的やリスクに加えて、具体的な管理の手法や注意点などを押さえておきましょう。安全なシステム運用のポイントを紹介します。
目次
OSのアップデート管理の重要性
組織におけるIT資産を安全かつ安定的に運用するには、OSのアップデート管理が重要です。OSは日々進化しており、適切な管理なしには、最新の脅威や技術変化に対応できなくなります。まずは、OSアップデートの目的を明確にしておきましょう。
OSアップデートの目的
OSのアップデートには、主にセキュリティの強化や機能の改善、互換性の維持といった目的があります。アップデートには、新たに発見された脆弱性を修正するパッチが含まれており、これを適用することで、外部からの攻撃リスクの大幅な低減が可能です。
また、業務効率に関わる不具合の修正や、アプリケーションとの互換性を高める更新も含まれているため、システム運用の安定性にも直結します。こうしたアップデートを怠ると、新たな技術の導入やサービスの連携が難しくなり、結果として業務効率の低下にもつながりかねません。
OSアップデートは、単なる保守作業ではなく、業務の効率性や安定性を支える重要な取り組みでもあります。
OSのアップデートを怠るリスク
OSアップデートを怠ることは、以下のようにシステム全体に、さまざまなリスクをもたらします。特に、近年はサイバー攻撃が高度化しており、脆弱性を放置することは重大なセキュリティ事故につながる恐れがあります。OSアップデートに関わるリスクについて、具体的に確認しておきましょう。
セキュリティリスクが増大する
未更新のOSは、既知の脆弱性を抱えたまま稼働している状態です。この状態では、マルウェアやランサムウェアといった外部からの攻撃に対して無防備となり、情報漏洩や業務停止のリスクが飛躍的に高まります。
特に、サイバー攻撃は既存の脆弱性を狙ったものが多くあります。OSアップデートを怠ることは、いわば脅威への扉を開けたままにしている状態です。
一度でも深刻なセキュリティ事故が発生すれば、顧客の信頼を損なう可能性があり、事業の継続にも悪影響を及ぼす恐れもあります。OSは原則として最新の状態を保つことが、セキュリティ対策の基本です。
システムの不安定化や運用の非効率化
古いOSを使用し続けると、徐々に業務アプリケーションとの互換性が失われたり、新しい機能が利用できなかったりするケースが増えます。エラーやフリーズといったシステムトラブルの発生頻度が高まり、業務の中断や対応工数の増加といった非効率も生じるでしょう。
さらに旧バージョンのOSに依存することで、一部の業務が属人化しやすくなり、担当者が不在になると対応できないケースも出ると考えられます。アップデートを後回しにすることで、かえってトラブル対応に、多くの時間とコストがかかる状況を招きかねません。
ベンダーのサポートを受けられない可能性も
OSの提供元は、各バージョンについて一定期間サポートを提供しますが、期間が過ぎると更新や技術的支援は終了します。OSのサポート期間が終了した場合、ベンダーからのセキュリティパッチや技術サポートが提供されなくなります。
サポートが終了したOSを使い続けると、重大な障害が起きた際に解決の手段が限られてしまい、社内での対応に頼らざるを得なくなるでしょう。
こうした状況はIT部門にとって大きな負担となり、トラブルの長期化や業務停止のリスクを高めてしまいます。また、監査や取引先からの信頼にも影響するため、企業としてのリスク管理体制が問われる可能性もあります。
OSアップデート管理の方法
OSアップデート管理を効果的に実施するには、計画性と確実性が求められます。以下のポイントを意識しつつ、自社の運用ポリシーや業務要件に合った管理体制を構築し、定期的なアップデートの実施と記録を徹底しましょう。
アップデート管理の基本指針の策定
効果的なOSアップデート管理のためには、まず明確な方針を定める必要があります。どの程度の頻度でアップデートを適用するか、自動更新か手動での制御を重視するかなど、判断基準を明確にしておきましょう。
また、緊急性の高いセキュリティパッチは即時適用とし、機能拡張に関わる更新は段階的に適用するなど、種類によって運用方針を分けることも有効です。管理の効率化や属人化防止の観点から、手順や責任者などを文書化しておくことも重要なポイントです。
データのバックアップ
アップデートの実施前には、必ず現在のシステムの状態をバックアップしておきましょう。特にOSの更新では、ドライバーやアプリケーションとの不整合が原因で、起動不能になるリスクもあります。障害が発生しても、速やかに復元できる環境を整えることが重要です。
バックアップの範囲は、OS本体だけではなく、設定ファイルや業務データまで含めるのが理想です。また、バックアップが正常に取得・保存されているかどうかも、事前に確認しておきましょう。
事前検証(テストの実施)
アップデートの影響を最小限に抑えるには、テスト環境における事前検証が不可欠です。新しいOSバージョンが、自社の業務システムや周辺機器と問題なく連携できるか、あらかじめ確認しておきましょう。テストの実施により、その後のトラブル発生のリスクを大幅に減らせます。
特に、カスタマイズしたアプリケーションを利用している場合や、特殊な構成のネットワークで運用しているケースは要注意です。ささいな変更でも、重大な障害につながる可能性があります。事前検証を徹底し、確実な判断材料を得た上で、本番環境への適用を判断することが大事です。
段階的なロールアウト
大規模な環境では、全端末に一斉にアップデートを適用するよりも、部門ごとやシステム単位で段階的にアップデートを進める方が現実的です。段階的に適用することで、予期せぬ不具合が発生した場合も影響を限定的に抑えられるため、迅速な対処が可能です。
また、先行アップデートを実施した部門でのフィードバックを基にして、他の部門に展開する際の調整もしやすくなるでしょう。ロールアウトの体制をあらかじめ設計しておけば、システム全体の安定性を確保しつつ、安全にアップデートを進められます。
アップデートを自動化・効率化できるツールの活用
近年は、OSアップデートの自動化・効率化を支援する、さまざまなツールが充実しています。ツールをうまく活用することで、アップデートの配信や適用状況の把握が容易になり、人的ミスや作業負荷の軽減が可能です。
特に、多数の端末やサーバーを管理する場合は、専用の管理ツールを導入がおすすめです。セキュリティパッチの迅速な展開や、適用漏れの防止につながります。
例えば、IT資産管理とシステムのログ管理が可能な「Watchy(ウォッチー)」には、デバイス更新が実装されています。Windows Updateの更新状況を簡単に確認・管理でき、未更新プログラムの一括更新や選択更新も可能です。更新の手間を省きつつ管理効率を向上させるとともに、脆弱性を軽減できる機能です。
OSのアップデートをする際の注意点
OSアップデートを実施する際には、まずアップデートの内容や影響範囲を事前に確認し、必要に応じて関係者に周知する必要があります。また、アップデート作業は業務への影響が最小限となる時間帯に実施し、作業中は進捗状況やエラーの有無を逐一確認することも重要です。
アップデートの適用後はシステムが正常に動作するか必ず確認し、問題があれば迅速にロールバックや復旧作業ができるようにしておきましょう。加えて、アップデートの適用履歴や作業記録を残しておけば、トラブル発生時の原因究明や再発防止に役立ちます。
こういった注意点を意識することで、OSアップデートによるリスクを最小限に抑え、安全なシステムの運用につながります。
OSのアップデート管理により安全にシステムを運用する
OSアップデートの適切な管理は、セキュリティの確保と業務の安定運用に直結します。アップデートを怠れば、深刻なリスクを招く恐れがある一方で、戦略的に取り組むことでIT基盤の強化につながります。
計画的な指針の策定と事前検証、バックアップの徹底などを意識しつつ、適切な手順を踏むことで、アップデートに伴うリスクを最小限に抑えましょう。効率的にアップデートができるツールの導入もおすすめです。
IT資産管理に加えて、システムのログ管理ができる「Watchy」ならば、上記のようにデバイス更新機能も備えています。ハードウェア・ソフトウェアの効率的な管理が可能で、業務効率化や脆弱性対策に有効です。この機会にぜひ、導入をご検討ください。
Watchy(ウォッチー) - クラウド型IT資産管理・ログ管理ツール

Watchy編集部
従業員が安心して働ける環境を提供するための、IT資産管理、情報漏洩対策、労務管理に関するコンテンツを発信しています。
Watchyは、株式会社スタメンが運営するクラウドサービスです。企業のIT情報統制の課題やバックオフィスの課題を、情報システム担当者が手薄な状況でも、Watchyが解決。設定・運用の手間を最小化しながら、押さえるべきポイントを確実に押さえた企業統制の実現を支援します。
【株式会社スタメンについて】 東京証券取引所グロース市場上場。Watchy、TUNAGなど、人と組織の課題解決を実現するSaaSを展開。情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)及びプライバシーマークを取得。