IT資産管理における脆弱性対策は、組織のセキュリティを守るために不可欠な取り組みです。サイバー攻撃の標的となるリスクを最小限に抑えるために、脆弱性が生まれる原因と、具体的な対策を知っておきましょう。脆弱性対策におすすめのツールも紹介します。
目次
IT資産管理に求められる脆弱性対策とは?
IT資産管理における脆弱性対策は、サイバー攻撃や情報漏洩などのリスクを、未然に防ぐための重要な施策です。まずは脆弱性とは何か、企業にもたらすセキュリティ上のリスクとともに、基本的なところを理解しましょう。
そもそも脆弱性とは?
脆弱性とは、システムやソフトウェア、ネットワークなどに存在する、セキュリティ上の弱点や欠陥を指します。これらの脆弱性は、外部からの不正アクセスや、マルウェア感染などのサイバー攻撃の入り口となる恐れがあります。
プログラムの設計ミスや設定の不備、ソフトウェアのバージョンが古いまま放置されている状態などは、脆弱性の代表例です。クラウド環境やSaaSの普及が進む近年では、あらゆるIT資産がネットワークにつながる状況が一般化しており、注意すべき脆弱性の範囲が広まっています。
脆弱性管理の重要性
脆弱性の管理を怠ると、サイバー攻撃のリスクが飛躍的に高まります。攻撃者は既知の脆弱性を狙って組織のシステムに侵入するケースが多く、情報漏洩や業務の停止といった重大な被害をもたらす可能性があります。
さらに、脆弱性を放置していることが外部に判明すれば、組織の信頼性や評価の低下にもつながりかねません。従って、脆弱性管理は単なるIT部門の業務ではなく、組織全体のリスクマネジメントの一環として非常に重要です。
IT資産の脆弱性がもたらすリスク
IT資産の脆弱性がもたらすリスクは多岐にわたります。最も深刻なのは、上記のように機密情報の漏洩や、サービス停止などの直接的な被害です。加えて、取引先や顧客からの信頼喪失、法的責任の発生、社会的信用の失墜といった間接的なリスクも無視できません。
特に近年は、サプライチェーン全体に影響が及ぶケースも増えており、一つの脆弱性が組織全体の事業の継続に大きな影響を与える恐れがあります。こうしたリスクを低減するためにも、徹底した脆弱性対策が必要です。
IT資産の脆弱性が生まれる原因
IT資産における脆弱性は、複数の要因が複雑に絡み合って生じます。脆弱性対策の効果を高めるためには、これらの発生原因を正確に理解し、それぞれに適した対策を講じることが重要です。脆弱性が生まれる代表的な原因を確認しておきましょう。
システムの開発・設計ミス
システム開発や設計段階でのミスは、脆弱性の大きな原因となります。例えば、入力値の検証不足や認証・認可の不備、エラーハンドリングの不適切さなどが挙げられます。
こうしたミスは、開発現場でのセキュリティ意識の低さや、十分なテスト工程が確保されていないことに起因するケースがほとんどです。ソフトウェアの開発企業は、設計段階からセキュリティを意識し、セキュアコーディングや脆弱性診断を積極的に取り入れる必要があります。
OSやミドルウェアなどの問題
OSやミドルウェア、各種ソフトウェア自体に存在する既知・未知の脆弱性も、IT資産の大きなリスク要因です。これらはベンダーから、定期的にセキュリティアップデートやパッチが提供されますが、適用が遅れると攻撃の標的となる可能性があります。
特に、サポートが終了したソフトウェアを使い続けている場合、修正パッチが提供されず、脆弱性が放置されるケースが少なくありません。使用している全てのソフトウェアについて、常に最新の情報を把握し、適切なメンテナンスをすることが大事です。
マルウェアやサイバー攻撃の影響
外部からのマルウェアや標的型攻撃によって、脆弱性が悪用されるケースも後を絶ちません。攻撃者は既知の脆弱性だけでなく、未発見の脆弱性を狙って侵入を試みることもあります。一度侵入されると、IT資産が不正に操作されたり、社内ネットワーク全体が乗っ取られたりする恐れもあります。
さらに、サイバー攻撃は日々進化し続けており、防御の網の目をすり抜ける手法も巧妙化しています。単に既存の対策を維持するだけでは不十分で、マルウェアの具体的な振る舞いや、攻撃トレンドに関する情報収集が必要です。
IT資産管理として必要な脆弱性対策
効果的なIT資産管理には、体系的で継続的な脆弱性対策が不可欠です。多様化・高度化するサイバー脅威に対応するためには、単発的な取り組みではなく、組織全体での総合的なアプローチが求められます。以下の点を意識しつつ、脆弱性対策を徹底しましょう。
情報収集の徹底
脆弱性対策は、正確かつ迅速な情報収集から始まります。OSやソフトウェアのベンダーから発信される情報や、公的機関の脆弱性データベース、セキュリティ専門企業のレポートなどを、日常的にチェックしましょう。
特に、ゼロデイ脆弱性などの緊急性が高い情報に関しては、早期に察知できる体制を築くことが重要です。収集した情報を単にストックするのではなく、自社のIT資産と照らし合わせて、どのリスクに直面しているのか、即座に判断できる仕組みも必要です。
定期的な脆弱性診断を欠かさない
定期的な脆弱性診断は、IT資産の安全性を把握する上で欠かせません。診断によりシステム内部に潜む脆弱性や構成ミスを把握でき、適切な是正措置につなげられます。特に、外部公開しているWebアプリケーションやクラウド環境では、外部からの視点で診断をする必要があります。
近年はAIを活用した診断ツールも登場しており、網羅性と精度の両立が可能になりつつあります。ただし、診断は一度きりで済むものではなく、システムの更新や構成変更の度に実施する必要があります。計画的に脆弱性の診断をスケジュールに組み込み、継続的な改善が可能な体制にしておきましょう。
ソフトウェア・OSのバージョン管理
ソフトウェアやOSのバージョン管理は、脆弱性対策の基本です。多くの脆弱性は既に修正パッチが提供されていますが、適用が遅れたことで攻撃を受ける事例は、決して少なくありません。
バージョンが古いままの環境では、サポート切れによってセキュリティの更新も打ち切られるため、重大なリスクを抱えることになります。社内のIT資産が増えるほどバージョン管理は難しくなりますが、資産管理ツールを活用すれば、各ソフトウェアの状態を一元的に可視化できます。この機会に導入を検討してみましょう。
IT資産の管理プロセスの最適化
IT資産管理のプロセスを最適化することも重要です。脆弱性対策は一時的な取り組みではなく、組織の日常業務に組み込み、継続的なプロセスとして確立する必要があります。
最適な管理プロセスを構築すれば、脆弱性の発見から対応までの時間が短縮でき、セキュリティリスクを効果的に低減できます。資産の棚卸しやインベントリ管理を徹底し、どの資産がどのような状態にあるか、常に把握できる体制を構築しましょう。
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IT資産管理における脆弱性対策は、現代企業の情報セキュリティ戦略において、不可欠な取り組みです。脆弱性が適切に管理されていない場合、データの漏洩やシステム障害など、事業に深刻な影響をもたらすリスクが高まります。
情報収集を徹底するとともに、定期的な脆弱性診断を欠かさないようにしましょう。加えて、ソフトウェアやOSのバージョン管理や、IT資産の管理プロセスの最適化も欠かせません。効率的なIT資産管理のために、適切なツールの導入も検討しましょう。
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Watchy編集部
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