IT資産管理は事業運営に欠かせない業務であり、IT資産の状況を正しく把握するには、ログの収集・管理が重要です。IT資産管理の基本からログの役割、有効なログの活用方法などを解説します。適切なIT資産管理により、セキュリティの強化を図りましょう。

IT資産管理はなぜ重要か?

IT資産管理は、企業が保有するIT資産を効率的に運用し、セキュリティリスクを低減するのに必要な取り組みです。適切な管理により、コスト削減や業務効率化が可能です。まずはIT資産管理の目的について、整理しておきましょう。

IT資産管理の目的

IT資産管理の主な目的は、企業が保有するIT資産を正確に把握し、効率的に運用することです。これにより無駄な投資を防ぎつつ、セキュリティリスクを低減できるのに加えて、コンプライアンス違反の回避にも寄与します。

例えば、現場で稼働していないPCの数を把握することで、無駄な端末の購入を防げます。中小企業を中心に、IT資産の状況をまともに把握しておらず、余計な投資を重ねるケースは決して珍しくありません。

また、IT資産の全体像を把握できていれば、障害発生時の影響範囲を特定しやすくなり、迅速な対応が可能になります。法規制の順守や業務の可視化にもつながります。

IT資産の具体例 

IT資産管理の対象となるものは、主に次の通りです。

  • ハードウエア:PC・スマホ・タブレット端末・プリンター・ネットワーク機器など
  • ソフトウエア:OS・業務アプリケーション・セキュリティソフト・各種開発ツールなど
  • クラウドサービス:SaaS(Google Workspace・Microsoft 365など)、IaaS(AWS・Azureなど)
  • ライセンス契約:ソフトウエアの使用権、サブスクリプション型サービスの契約情報など
  • データ資産:顧客情報・業務データ・各種ログファイル・データベースなど

企業の規模や業種によって、具体的に管理すべきIT資産の種類は異なります。例えば、製造業では生産管理システムやIoTデバイスの管理が重要となり、金融業ではより高度なセキュリティシステムの徹底管理が必要になるでしょう。

どういったIT資産管理に注力するにせよ、資産の全体像を正確に把握し、利用状況を可視化することが大切です。

IT資産管理におけるログの役割

IT資産管理において、ログは重要な役割を果たします。ログとはシステムやアプリケーションの動作記録であり、IT資産の現状を客観的に示す重要な情報源です。ログ管理の必要性とともに、収集すべきログの種類を確認しておきましょう。

ログ管理の必要性

IT資産管理においてログ管理が必要とされる理由は、資産の実態を正確に把握するためです。いくらハードウエア・ソフトウエアの台帳を整備しても、それらがどのように利用されているか把握できなければ、効率的な管理はできません。

そこで、IT資産それぞれのログデータを収集・分析することで、資産の稼働状況や利用頻度、パフォーマンスなどを客観的に評価できます。また、企業の内部統制や監査対応の観点からも、適切なログ管理が求められます。ログが不十分だと、問題発生時に適切な対応ができず、被害が拡大するリスクがあります。

ログの種類と収集方法

IT資産管理で活用されるログには、さまざまな種類があります。効果的な資産管理のためには、これらのログを適切に収集・分析することが重要です。収集すべきログの種類は、主に次の通りです。

  • 操作ログ: ユーザーによるクライアント端末やサーバー上で行った操作を記録したもの
  • アクセスログ: サーバーやネットワーク機器へのアクセス状況を記録したもの。どのユーザーがいつ、どのリソースにアクセスしたか把握できる
  • 通信ログ: ネットワーク上でのデータ通信に関する情報を記録したもの
  • システムログ: OSやアプリケーションから生成されるログで、システムの稼働状況やエラー情報を記録したもの
  • エラーログ: システムやアプリケーションで発生したエラーに関する情報を記録したもの

これらのログを効率的に収集するには、集中型のログ管理システムの導入が効果的です。各システムやデバイスからログを自動的に収集し、一元的に保存・管理することで、必要なデータの検索・分析が容易になります。

ログ管理に注力するメリット

適切なログ管理により、社内のIT資産の運用効率を向上できます。例えば、システムトラブルが発生した際、ログを参照することで原因をすぐに特定し、迅速な復旧対応が可能になります。不正アクセスや情報漏れのリスクも軽減され、セキュリティの強化につながるでしょう。

さらに、ログ管理は企業のコンプライアンス対応にも欠かせません。近年は多くの業界・職種において、監査や法規制の順守が求められており、適切なログの保管が義務付けられています。ログがきちんと管理されていれば、監査対応もスムーズになり、企業の信頼性の向上にも寄与します。

IT資産管理におけるログの活用方法

収集したログデータは単に保存するだけではなく、積極的に分析・活用することで、IT資産管理の精度を高められます。ここでは、ログデータの有効な活用方法を押さえておきましょう。

IT資産の利用状況の可視化

ログの活用によりIT資産の利用状況を把握することは、業務の効率化とコスト削減に直結します。例えば、あるソフトウエアをライセンス契約しているものの、実際にはほとんど利用されていない場合、契約を見直すことで無駄な費用を削減できます。

また、特定の時間帯にサーバーやネットワークの負荷が集中していることが分かれば、リソースの最適化やシステム拡張の検討が可能になるでしょう。

さらに、社員PCの利用状況を分析することで、テレワーク時の業務効率を把握したり、業務改善のヒントを得たりすることも可能です。こういったデータを基にすれば、より効果的なIT資産の運用体制を構築できます。

内部統制・セキュリティ強化

ログ管理は、内部統制の強化やセキュリティ対策に貢献します。アクセスログを分析することで、不正アクセスや情報漏洩の兆候を早期に発見し、迅速な対応が可能になります。ユーザーの行動履歴を追跡すれば、内部不正の防止や検出につながるでしょう。

また、システムの変更履歴を記録することで、意図しない変更や不正な設定の変更を防止できます。こういった取り組みにより、社内の情報資産を守り、セキュリティインシデントのリスクを大幅に低減することが可能です。

コンプライアンスの順守

IT資産管理におけるログの活用は、コンプライアンス順守の面でも重要です。個人情報保護法をはじめとしたセキュリティに関する法規制では、IT資産の適切な管理と、それを証明するための記録の保持が求められています。

ログを適切に管理することで、ソフトウエアのライセンスの適正利用や、個人情報の適切な取り扱いなど、さまざまな要件にスムーズに対応できます。また監査の際には、ログを証拠として提示することで、法的リスクを低減するとともに、企業の信頼性を高められるのもポイントです。

システムトラブルの早期復旧

ログ管理は、システムトラブルが発生した際の早期復旧にも役立ちます。例えば、サーバーの応答が急に遅くなった場合、ログを確認することで、どのプロセスが異常に負荷をかけているのかスムーズに特定できます。

また、ある時間帯にエラーが集中している場合、その時間帯のユーザーのアクセス状況を分析すれば、負荷を分散するための対策を講じられるでしょう。過去のログを活用すれば、同様のトラブルを防ぐための予防策の検討も可能です。

IT資産管理におけるログ活用のポイント

ログを効果的に活用するには、まず収集範囲を明確に定義しましょう。全てのログを無秩序に集めると、管理コストが増えるのみならず、必要な情報が見つけにくくなります。業務やセキュリティに関連性の高いログを中心に、きちんと優先順位を付けて収集することが大事です。

また、ログの保存期間と保存方法の最適化も必要です。法令や社内規定で定められた期間はもちろん、トラブルシューティングや傾向分析に必要な期間を考慮して、保存期間を設定する必要があります。膨大なログデータから、効率的に有用な情報を抽出するため、適宜管理体制の見直しを行いましょう。

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IT資産管理は多くの企業にとって必須の取り組みであり、IT資産を効率的に運用し、セキュリティリスクを低減できます。さまざまな施策の中でも、とりわけログ管理は近年注目されており、不正アクセスの防止やトラブル発生時の迅速な原因究明、コンプライアンス対応の強化に欠かせない要素です。

しかし、膨大なログを手動で管理するのは現実的ではありません。適切なツールを活用することで、より効率的かつ確実な運用が可能になります。クラウド型のIT資産管理・ログ管理システムの「Watchy」ならば、必要な機能のみ選んで導入が可能です。

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著者情報

Watchy 編集部

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