
社員による情報の持ち出しは、業務の効率化を目的とする場合もあれば、不正行為に直結する場合もあります。実態やリスクを把握しなければ、情報漏洩の問題につながりかねません。社員による情報の持ち出し経路や、企業が取るべき対策を知っておきましょう。
目次
情報の持ち出しリスクとは?
情報の持ち出しリスクとは、企業の機密データや個人情報を、社員が意図的・偶発的に社外に持ち出すことで、さまざまな損害をもたらす可能性を指します。まずは、社員による情報持ち出しの実態と、起こり得る被害を確認しておきましょう。
社員による情報持ち出しの実態
社員による情報の持ち出しは、すでに多くの企業で発生しているのが実態で、意図的なものと無意識のものに分けられます。
意図的な持ち出しの典型例は、退職前に顧客情報を持ち出し、競合他社で利用するケースです。これは不正競争防止法に抵触する可能性があり、実際に大きな問題となった事件も少なくありません。
一方、無意識のうちに、社員が情報を持ち出してしまう場合もあります。例えば、業務の利便性を向上させるため、個人の端末やクラウドストレージに業務データを保存するケースが該当します。特に、近年はテレワークの普及により、こういったリスクが増大しているため、徹底した情報管理が必要です。
情報の持ち出しで起こり得る被害
情報が社外へ流出した場合、企業は甚大な被害を受ける恐れがあります。機密情報が競合他社に渡れば、企業の競争力が低下し、売り上げの減少を招くでしょう。さらに顧客データが漏洩すると、取引先との信頼関係が崩れ、長年築いたビジネスが失われる可能性もあります。
それに加えて、法的な賠償責任や罰則が発生し、資金面での打撃を受けるケースもあります。場合によっては情報漏洩が原因で、倒産に追い込まれることもあるでしょう。
持ち出しが一度でも起きれば、連鎖的に被害が拡大するリスクがあり、取り返しのつかない事態に発展しかねません。社内の士気の低下や、ブランドイメージの悪化といった間接的な影響もあります。
主な情報持ち出しの原因や経路
情報が持ち出される原因や経路には、以下のようにいくつかのパターンがあります。代表的なものを知っておき、きちんと対策を立てられるようにしましょう。
外部記憶媒体による持ち出し
USBメモリや外付けハードディスクなど、外部記憶媒体を利用して社員が情報を持ち出すケースは、多くの企業で見られます。会社側も容認していたり、管理者が見つけても何も言わなかったりすることも多く、後から問題になる場合もあります。
事実、社員が業務効率化のために、データを自宅に持ち帰るつもりでUSBなどに保存し、そのまま紛失してしまうケースは決して珍しくありません。また、悪意ある社員が意図的に機密情報を外部記録媒体にコピーし、外部に渡すことも考えられます。
どうしても必要な場面以外では、情報の持ち出しは制限すべきでしょう。外部記録媒体の利用に関しても、明確にルールを設ける必要があります。
モバイルデバイスへの保存
モバイルデバイスへの保存も、情報持ち出しの典型的な手段です。実際、スマホやタブレット端末に業務データを保存する人が増えています。例えば、営業担当者が顧客情報を私用のスマホに転送し、外出先で参照するケースは珍しくないのが実態です。
しかし、これらのデバイスが紛失したりウイルスに感染したりすれば、データが外部に漏れる危険性があります。特に私用のデバイスの場合、企業の管理が行き届かず、セキュリティ対策が不十分なまま使われることが多くあります。
クラウドストレージへのアップロード
クラウドストレージへのアップロードは、近年増えている情報持ち出しの経路です。DropboxやGoogle ドライブなどのサービスにデータをアップロードし、自宅や別の場所からアクセスする人は少なくありません。
しかし、アカウントがハッキングされたり、共有設定を誤ったりすると、外部にデータが流出する危険があります。また、退職後に個人アカウントからデータを利用する事例も報告されており、意図的な持ち出しに発展する可能性もあります。
クラウドサービスは便利である半面、管理が甘ければ大きなリスクをはらむため、企業側で利用ルールを明確に定めることが重要です。
メールによる持ち出しや誤送信
メールによる持ち出しや誤送信も、情報漏洩が発生する原因の一つです。社員が機密情報を含むファイルを個人のメールボックスに送信したり、誤って外部に送ったりするケースが頻発しています。
例えば、取引先とのやりとり中に、顧客リストを添付したメールを間違った宛先に送信してしまうといったケースは、決して珍しくありません。また、意図的にデータを自宅に送るためにメールを利用する人もいます。
特にスタートアップや中小企業では、メールの暗号化や送信制限などの措置がされていない場合も多く、一度のミスが大規模な情報漏洩につながる恐れがあります。
不正アクセスによるデータの漏洩
悪意のある第三者による不正アクセスも、情報持ち出しの経路として考えられます。事実、外部の攻撃者が社員のアカウントを乗っ取り、システム内のデータをダウンロードする事例が増えています。
特にフィッシング詐欺の被害が多く、パスワードを盗まれたことをきっかけに、機密情報が抜き取られた事件も起こっているので注意が必要です。一方、内部関係者が意図的にシステムに侵入し、データを持ち出すケースもあるため、アクセスログの監視や権限管理の強化が求められます。
情報の持ち出しを防ぐための対策
社員による情報の持ち出しを防ぐには、以下のように情報の運用ルールの見直しや、セキュリティ対策の徹底が必要です。さらに多要素認証によるアカウント管理や、不正アクセスを素早く検知できるシステムの導入も効果的です。それぞれ見ていきましょう。
情報の運用ルールの見直し
情報の運用ルールを見直すことは、持ち出し防止の基本的な対策です。情報管理に関するルールを見直し、社内で明確に周知することが重要です。情報の持ち出しが許可されるケースと禁止されるケースを明確にし、違反時の対応を定めておくことでリスクを低減できます。
また、どのデータが機密情報に該当するかを明確にした上で、きちんとアクセス権限を設定しましょう。例えば、顧客情報や財務データにアクセス権限を限定し、権限のない社員が閲覧・利用できないようにすると効果的です。
また、USBなどの外部記憶媒体や、クラウドサービスの使用を制限するポリシーを設け、違反した場合の罰則も明示するのもよいでしょう。
セキュリティ教育の徹底
社員教育を徹底することで、セキュリティ意識を高めることも重要です。定期的なトレーニングセッションを通じて、情報の適切な取り扱い方法やセキュリティポリシーの内容、情報漏洩が企業に与える影響などについて、社員の理解を深める必要があります。
特にフィッシングメールの見分け方や、私用デバイスでのデータ保存が危険である理由を教えることが大切です。実際のインシデント事例を用いたケーススタディや、模擬攻撃訓練なども取り入れることで、より実践的な教育が可能です。
多要素認証によるアカウント管理
多要素認証(MFA)の導入は、不正アクセスによる情報漏洩を防ぐ効果的な方法です。重要なシステムやデータへのアクセスには、必ず多要素認証を設定しましょう。
さらにパスワードだけではなく、指紋認証やワンタイムパスワード・セキュリティトークンなど、複数の認証要素を組み合わせることで、アカウントのセキュリティを大幅に向上できます。
当然、定期的なパスワード変更や、強力なパスワードポリシーの適用など、基本的なアカウント管理も徹底する必要があります。
不正アクセスや異常を検知できるシステムの導入
アクセスログを監視し、異常なデータの持ち出しを検知できるシステムを導入することで、不正行為を未然に防ぐことが可能です。ログ管理システムやセキュリティソフトを使えば、誰かがデータを不正にコピーしたり、外部に送信したりする行為をリアルタイムで発見できます。
また、特定の時間帯や大量のデータ移動を検知した際、アラートを受けられるようにすれば、迅速に対応できる体制を整えられます。近年は低コストで導入できる、クラウド型のログ管理システムも多くあるので、導入を検討してみましょう。
強固な情報管理体制の構築で持ち出しを防止
情報の持ち出しリスクに対処するには、技術的対策と組織的対策を組み合わせた、包括的なアプローチが必要です。厳格な情報管理ポリシーを策定し、社員のセキュリティ教育を徹底しましょう。
さらに最新のログ管理ツールを導入すれば、不正アクセスや異常なデータ移動をリアルタイムで監視でき、迅速な対応が可能になります。例えば、アクセスログの管理とIT資産管理が可能な「Watchy」ならば、自社に必要な機能を必要な分だけ、選択して導入が可能です。
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著者情報
Watchy 編集部
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