
近年、企業のIT機器の活用が一般化する中で、デバイス管理の重要性が増しています。適切にデバイスを管理しなければ、情報漏洩や業務効率の低下を招く可能性があります。デバイス管理の基本的な知識や実施方法、注意すべきポイントを押さえておきましょう。
目次
デバイス管理とは何か?
企業が利用するIT機器をきちんと管理することは、業務効率化やセキュリティ対策につながります。特にPC端末以外にも、スマホやタブレットを業務に活用する企業は、徹底したデバイス管理が必要です。まずはデバイス管理に関して、知っておくべき基本事項をみていきましょう。
デバイス管理の対象と範囲
デバイス管理とは、PCやスマホ・タブレットといった、企業で利用するIT機器を適切に制御・保護する取り組みです。管理の対象には、一人ひとりの社員が個人所有する端末や、会社からの貸与品などが含まれています。
さらに、一つひとつの端末において管理の対象となるのは、インストールされているソフトウェアとその更新状況、データの保存場所やセキュリティの設定・アクセス権限などです。これらを詳細に管理することでセキュリティを強化できるのみならず、業務効率の向上にも寄与します。
デバイス管理が求められる理由
デバイス管理が重視される背景としては、クラウドサービスの普及やテレワークの一般化などがあります。社員が場所を選ばず、クラウド上にある業務データにアクセスする機会が増えたことで、情報漏洩のリスクが高まりました。
そこで、デバイスの管理が不十分だと、機密データが流出したり、外部からの攻撃に晒されやすくなったりして、企業の信用が損なわれる可能性があります。機密データの漏洩は損害賠償の恐れや業務の停滞を招く恐れもあるため、徹底したデバイス管理が求められています。
デバイス管理を軽視するリスク
デバイス管理を怠ると、以下のように端末の紛失・盗難による情報の漏洩や、マルウェアの感染、社員による不正利用などを招く可能性があります。代表的なリスクを知っておきましょう。
紛失・盗難による情報の漏洩
社員が外部に持ち出す端末を紛失してしまったり、盗難されたりすると、そこに保存されている機密情報が外部に流出する恐れがあります。特に、パスワード保護やデータの暗号化が施されていない場合、第三者が容易に情報にアクセスできてしまうため、漏洩のリスクが高まるでしょう。
機密情報の流出は、顧客や取引先に被害を及ぼす可能性があり、損害賠償請求に至るケースも考えられます。企業の信用を大きく損なう結果を招きかねないため、十分注意が必要です。
マルウェアへの感染
セキュリティ対策が不十分な端末は、マルウェアに感染しやすくなります。一度感染が広がるとシステム全体に波及し、大規模な損害をもたらす恐れがあるため、迅速な対処が必要です。不特定多数のネットワークに接続する機会が多い端末は、マルウェアの感染リスクが高まるため注意しなければいけません。
特に公共のWi-Fiを利用したり、外部のデバイスに接続したりすることで、悪意のあるソフトウェアが端末に侵入する恐れがあります。社員が業務で使用するネットワークは制限し、信頼できないデバイスの接続はしないように呼びかけましょう。
また、定期的なソフトウェア更新やセキュリティパッチの適用、アンチウイルスソフトの導入など、基本的な対策を欠かさないことも重要です。
社員による不正利用
恣意的かどうかにかかわらず、社員が業務外で端末を使用した結果、情報漏洩につながるリスクも想定しなければいけません。
例えば、許可されていないアプリをインストールしたり、データの共有ソフトを使用したりして、企業の機密情報が外部に流出する可能性があります。個人情報や業務データが不正にアクセスを受け、法的責任を問われる事態に発展する恐れもあるでしょう。
また、社員が自分の個人用端末を業務に利用している場合、セキュリティ対策が不十分だと同様のリスクが生じます。
できる限り社員が仕事で利用する端末と、プライベートのものは分けるようにしましょう。その上でデバイス管理を徹底すれば、情報漏洩のリスクを大幅に低減できます。
デバイス管理の実施方法
適切なデバイス管理のためには、専用ツールの導入が欠かせません。近年は、MDM(Mobile Device Management)と呼ばれる、モバイルデバイス管理のソフトウェアが数多くリリースされています。ここではMDMの機能やメリット、選び方のポイントを押さえておきましょう。
MDMの導入・運用
MDMは、企業が社員のデバイスを一元的に管理できる仕組みです。遠隔操作で端末の設定変更やデータの削除が可能で、ビジネスシーンで利用する端末を、安全に運用する基盤を構築できます。
テレワークやリモートワークが広がっている近年では、MDMを導入して、社員の端末の管理を図る企業が増えています。社外で利用される端末に対しても、セキュリティ対策を徹底できるほか、紛失・盗難時の迅速なデータ消去やアクセス制限が可能となり、情報漏洩のリスクを低減できます。
MDMの機能やメリット
MDMは端末の追跡やソフトウェアのアップデート管理、セキュリティポリシーの適用など、さまざまな機能が利用可能です。上記のように端末の紛失・盗難時には、リモートワイプ機能により、デバイス内のデータを遠隔操作で削除し、機密情報の漏洩を防げます。
また、端末にインストールされているアプリケーションの状況を監視し、不適切なサービスの使用を制限したり、ポリシー違反を未然に防いだりする役割も果たします。OSの更新やセキュリティパッチの適用も一元化できるので、システム管理者の負担を軽減できるのもメリットです。
MDMを選ぶポイント
導入するMDMを選定する際には、必要な機能が網羅されているか確認しましょう。管理者にとって使いやすいかどうかも重要なポイントです。多機能で直感的な操作が可能なシステムならば、管理者の運用負担を軽減でき、迅速な対応が求められる状況でも、スムーズに対応できます。
また、他のシステムとの連携性や、サービスベンダーのサポート体制もチェックしておきましょう。既存のIT資産管理システムや、各種セキュリティツールと連携できるMDMならば、互いに効率的に運用できるようになり、より強固なセキュリティ体制を構築しやすくなります。
デバイス管理の注意点
社内のデバイス管理を徹底するにあたり、以下の点には注意しなければいけません。社員の所持している端末を過剰に管理し過ぎると、利便性が低下する可能性があります。さらに、シャドーITを招くケースもあるので、セキュリティと利便性のバランスを考慮しましょう。
過剰な管理による利便性の低下
デバイス管理を徹底し過ぎると、逆に利便性が低下する場合があります。必要なアプリケーションの利用まで制限したり、システムにアクセスするまでのプロセスが複雑になり過ぎたりして、使い勝手が悪くなるでしょう。
さらに業務効率も低下する場合もあるので、社員の使い勝手も考慮して、どのようにデバイスを管理するか検討する必要があります。
シャドーITを招く可能性も
過度な管理が社員の自由を制約すると、公式に許可されていない端末や、アプリケーションを利用する「シャドーIT」が発生するリスクもあります。シャドーITとは、企業が把握・管理できていない状態で使用されるIT機器やサービスのことを指します。
社員が勝手に、ITシステムで業務データを管理するようになると、セキュリティポリシーを適用できない環境が生まれ、かえってセキュリティが脆弱になるでしょう。その結果、情報漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。
デバイス管理の重要性を理解する
デバイス管理の徹底は、企業のセキュリティの向上と業務効率化の両立に不可欠です。適切な管理体制を整えることで、情報漏洩や外部からの攻撃のリスクを軽減できるだけでなく、社員が安心して業務に専念できる環境を整備できます。
まずは、自社の環境に合ったMDMの導入を検討しましょう。その上で、社員の利便性も考慮しつつ、最適な運用体制の構築を目指すことが大事です。
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著者情報
Watchy 編集部
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