
セキュリティインシデントは、企業の情報資産に深刻な影響を及ぼす可能性があります。原因を正しく理解し、適切な対策を講じることでリスクを最小限に抑えましょう。インシデントの原因と、企業が取るべき対策について解説します。
目次
セキュリティインシデントとは?
セキュリティインシデントとは、企業の情報資産に損害を与える事象を指します。具体的には、機密情報の漏洩、データの改ざん、不正アクセスによるシステム停止などが該当します。
これらは企業の信用や業務運営に深刻な影響を及ぼすため、迅速な対応と再発防止が欠かせません。セキュリティインシデントの発生原因は多岐にわたり、サイバー攻撃のような外的要因に加え、人的ミスや内部不正といった内的要因も存在します。
特に、内部不正やミスは企業内で防げる可能性が高いため、適切な情報管理体制を整えることが重要です。
企業は、潜在的なリスクを正しく認識し、全社的な防止策や従業員教育を徹底することで、セキュリティインシデントを未然に防ぐことが求められます。
代表的なセキュリティインシデント【外部的な要因】
セキュリティインシデントの要因は、外部からの攻撃による外部的要因と、社内環境や仕組みに起因する内部的要因に分類されます。ここでは、外部的要因によって発生するセキュリティインシデントの具体例を詳しく解説します。
不正アクセス
不正アクセスは、許可されていない第三者がシステムやネットワークに侵入し、データを閲覧したり、改ざん・窃取したりする行為の総称です。一般的に脆弱なパスワードやセキュリティ設定の不備により狙われるケースが多いので、基本的なセキュリティ対策は欠かせません。
世界中で不正アクセスによる被害が拡大しており、大企業や行政機関も被害に遭っています。多要素認証やアクセスログの監視などを通じて、外部からの攻撃に備えることが大事です。
マルウェア感染
マルウェアとは、悪意のあるソフトウェアの総称であり、コンピュータウイルスやランサムウェアなどが有名です。社内のシステムがマルウェアに感染すると、データが破壊されたり、勝手に暗号化されてしまったりするので、十分注意しなければいけません。
多くの場合、メールの添付ファイルや不正なWebサイトの利用が感染経路となります。ウイルス対策ソフトの導入や定期的なセキュリティ更新など、基本的な対策を徹底し、社員が不審なメールやWebサイトを開かないように、注意喚起することが大切です。
サービス妨害攻撃(DOS・DDoS)
DoSやDDoSなどのサービス妨害攻撃は、Webサーバーやネットワークに外部から過剰な負荷をかけることで、正当なユーザーの利用を妨げる行為です。
DoSは大量のデータを送り付けて、サーバーのダウンを狙う攻撃です。一方、DDoSは多数のデバイスを使い、一斉にターゲットのサーバーにアクセスすることで、サービスの停止を狙う攻撃として多くの被害をもたらしています。
迷惑メール
迷惑メールは、スパムやフィッシングメールなどの総称です。フィッシングメールは正当な送信者を装い、ユーザーのIDやパスワードを盗む手法で、添付ファイルにマルウェアを仕込んだり、悪意のあるWebサイトに誘導したりする手口が有名です。
安易にメールに記載されたURLにアクセスしたり、添付ファイルを開いてしまったりすると、不正ログインや金銭的被害につながる恐れがあります。実際、有名企業でも社員が不審なメールを開いたのをきっかけに、情報漏洩につながった例があるので注意しなければいけません。
自然災害によるサーバーの破損など
自然災害によるセキュリティインシデントは、火災や地震・洪水などの環境要因により、社内のサーバーやネットワーク機器が物理的に損壊してしまうケースです。こういった事態は予測が難しいため、データの定期的なバックアップに加えて、複数の場所でデータを分散管理するといった対策が求められます。
近年はクラウドストレージが充実しているので、社内でデータを運用するだけでなく、クラウド環境と併用することで、災害時にも迅速にデータを復旧できる体制を構築しましょう。
代表的なセキュリティインシデント(内部的な要因)
次に、内部的な要因で引き起こされるセキュリティインシデントを紹介します。以下のように、社員が業務データを保存した記録媒体を紛失した事件や、メールの誤送信により外部に情報が流出した事例もあるので、十分注意しなければいけません。
記録媒体の紛失や盗難
業務データを保存したUSBメモリやハードディスクの紛失・盗難は、機密情報の漏洩につながります。近年テレワークが一般化しており、モバイル型の記録媒体のみならず、業務用のノートPCなども、社員が社外に持ち出すケースが増えているため注意が必要です。
事実、社員がノートPCを電車に置き忘れてしまい、重大なインシデントに発展した事例もあります。記録媒体の持ち出しに関して、厳密なルールを設けるのはもちろん、保存するデータはきちんと暗号化しておきましょう。
メールの誤送信
メールの送信ミスや添付ファイルの誤送信なども、企業にとって重大なセキュリティインシデントにつながる可能性があります。送信先を誤るだけではなく、たとえ宛先が正しくても添付ファイルを間違えるケースもあり、機密情報が意図しない相手に渡るリスクがあります。
電子メールによるインシデントの発生を防止するため、送信前の確認プロセスの強化が必要です。複数人でのチェックを取り入れるほか、誤送信を防ぐための専用ソフトウェアや、管理システムの導入なども有効です。
内部犯による情報の持ち出し
悪意を持った内部者が情報を盗み出す事例も、近年増加しており、企業にとって大きなリスクとなっています。たとえ所属企業に損害を与える意図がなくても、転職先での利用を目的として、社員が顧客情報や業務データを持ち出すケースも発生しています。
機密データへのアクセス権限は必要最低限に絞り、離職した社員のアクセス権限はすぐに無効化するようにしましょう。さらに、ログ監視や異常検知システムを導入して、不正な操作を早期に発見できる体制の構築も必要です。
セキュリティインシデントを防ぐための対策
セキュリティインシデントの発生を防ぐには、以下のポイントを意識する必要があります。自社のセキュリティ体制をきちんと見直し、IT資産を徹底管理できる仕組みを構築しましょう。セキュリティに関する社員教育も必須です。
セキュリティ体制の見直し・整備
まずは、組織全体のセキュリティ体制を見直し、インシデントに対応できる環境を整えることが重要です。どのようなセキュリティリスクがあるかを把握し、それぞれ適切な対策を講じる必要があります。
各部門・部署でリスクアセスメントを実施し、脆弱性のある箇所を特定した上で、セキュリティポリシーを策定しましょう。外部の専門家によるセキュリティ診断の導入や、ISO27001などの認証取得を目指すことで、組織全体のセキュリティレベルの向上を図るのもおすすめです。
さらに、セキュリティポリシーを設定したら、うまく運用できているか定期的に確認・監査する仕組みも欠かせません。問題がある場合は迅速に解消を目指しつつ、予期せぬインシデントにも迅速に対応できる体制の構築を目指しましょう。
以下、Watchyではセキュリティポリシーを策定するときのポイントやサンプル例文を提供しています。興味のある方は、ダウンロードしてみてください。
IT資産の徹底管理
業務で使用しているIT資産の徹底管理により、必要な人員が必要なタイミングでのみ、システムにアクセスできる環境を整えましょう。定期的に使用中のハードウェア・ソフトウェアの一覧を確認し、不要なIT資産は停止・無効化することも大切です。
また、社員のアクセス権限を厳密に管理し、役職や業務内容に応じて最小限の権限を付与することで、不正利用や操作ミスなどによる情報漏洩の防止につながります。
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社員へのセキュリティ教育
セキュリティインシデントは、人的ミスにより引き起こされるケースも多くあります。全ての社員がリスクを正しく把握し、安全にシステムを利用するために、定期的なセキュリティ教育が欠かせません。
教育を通じてメールの誤送信やパスワードの管理ミスなど、社員の行動が組織全体のセキュリティに影響を与えることを、認識してもらう必要があります。
さらに起こり得るインシデントに対して、具体的な事例を交えた対策や、最新の脅威ついての情報も共有しましょう。実践的なトレーニングや、シミュレーションを取り入れると効果的です。
インシデントに備えて異常検知ツールの活用も検討しよう
セキュリティインシデントを防ぐには、どういった原因で問題が引き起こされるかを理解し、きちんと対策を立てておかなければいけません。全社的にセキュリティ体制を見直し、IT資産の管理を徹底しましょう。定期的な社員教育も必要です。
ただし、いくら対策を重ねても、インシデントを完全に防ぐのは困難です。できる限り発生を抑えるために、異常検知ツールの活用を含む多層的な対策を検討しましょう。
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著者情報
Watchy 編集部
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