
Pマーク(プライバシーマーク)は、個人情報の管理体制が評価された事業者に対して、付与されるマークであり、取得にあたっては社員教育が必要とされています。Pマークの取得においてどのような教育が必要なのか、また有効な社員教育の方法について併せて解説します。
目次
Pマークで必要とされる社員教育とは?
Pマークの取得には、全社員が個人情報保護に対する意識を高め、適切な行動を取るための教育が求められます。まずは、Pマークの取得にかかる社員教育の重要性と、基本的な要件を押さえておきましょう。
Pマークでは社員教育が必須
Pマークの取得には、社員への継続的な教育が必須とされています。社員一人一人が個人情報保護の意識を持つことが、組織全体のコンプライアンスを支える基盤となるためです。
教育を実施しない場合、Pマークを取得できないだけではなく、内部不正や不注意による情報漏洩のリスクが高まります。さらに、法令違反による罰則や企業イメージの低下を招く恐れもあるので、その観点からもセキュリティに関する教育は必要といえるでしょう。
なお、Pマークを取得するならば、教育を実施した記録の保持も審査の際に求められるため、計画的かつ定期的に実施しなければいけません。
Pマークの教育で求められる必須事項
Pマークの取得にかかる社員教育において、特に重視されるのは、個人情報保護法の基本的な理解や情報管理のルール、さらに実際の業務における具体的な行動指針です。具体的にはPマークの取得にあたり、企業は教育を通じて、従業員に次の項目を認識してもらう必要があります。
- 個人情報保護方針(内部向け個人情報保護方針及び外部向け個人情報保護方針)
- 個人情報保護マネジメントシステムに適合することの重要性及び利点
- 個人情報保護マネジメントシステムに適合するための役割及び責任
- 個人情報保護マネジメントシステムに違反した際に予想される結果
これらは少なくとも年に一回、あるいは必要に応じて適宜実施し、内部規程として文書化する必要があります。
個人情報保護教育の必要性
個人情報の漏洩や不適切な使用は、企業の信用を失うのみならず、被害者から多額の賠償請求をされる恐れもあります。事実、近年は顧客や取引先の情報を漏洩してしまい、大きな問題になる企業が後を絶たない状況です。
業界や職種にかかわらず機密情報を扱う企業は、社員教育を通じて個人情報の重要性と取り扱い方を理解させ、徹底的なリスク対策をする必要があります。さらに、セキュリティに関する社員教育を定期的に実施すれば、法律や規制の変更にも対応しやすくなるでしょう。
Pマークの社内教育の方法とメリット・デメリット
Pマークの取得のために社員教育を実施する場合、以下の方法が考えられます。それぞれメリットやデメリットを理解した上で、自社に合ったやり方を検討しましょう。
eラーニング
eラーニングは、インターネットを活用して個人が自主的に学べる仕組みです。PCやスマホなどのデバイスと、インターネットがあれば学習環境を構築できるのがメリットで、コストを抑えつつ全社員に同じ内容を提供するのに向いています。
しかし、一方で学習の進捗状況を確認したり、個々の理解度を正確に把握したりするのは難しいという課題もあります。そのため、受講者の学習状況を可視化したり、フォローアップを行ったりするための工夫が欠かせません。たとえば、定期的なテストや学習ログの確認を活用することで、理解度や進捗を効果的に把握できるようになります。
社内での特別研修
社内でセキュリティに関する特別研修を実施し、Pマークの取得で求められる内容を学習してもらう方法も有効です。専門知識を有する社員が主導したり、外部から講師を招いたりして、個人情報保護法や情報管理の具体的なルールに関して、必要な事柄を学びます。
実際の業務に即した事例やシミュレーションを交えながら進めることで、社員の理解度を高め、日常業務にも役立つ知識を習得しやすいのがメリットです。
ただし、講師の準備や研修カリキュラムの設計には相応の工数がかかるため、社内のリソースが限られている場合や、全社員を対象にする大規模な研修には不向きな場合があります。
外部講師による研修・セミナー
外部講師を招いた研修は、最新の法令や実務に基づいた、専門的な教育を受けられるのがメリットです。質の高い講師ならば、社員の理解度が大きく向上する可能性があり、専門知識を体系的に学べます。
一方、他の教育方法に比べてコストが高くなる傾向があり、頻繁な実施は難しいケースもあります。外部研修を取り入れる際には、予算や目的に応じて実施内容を精査し、適宜他の教育方法と組み合わせるのがよいでしょう。
Pマークの社員教育の実施プロセス
Pマークの取得に向けて社員教育を実施する際には、以下のプロセスを経るのが一般的です。必要な手順を簡単に解説します。
社員教育の対象者を選定する
まずは、社員教育の対象者を選定しましょう。Pマークの取得には全社員を対象として、最低年一回の教育が求められます。経営者や役員はもちろん、短期雇用のアルバイトであっても教育が必要です。
それに加えて、特に個人情報を取り扱う頻度の高い部署には、重点的な教育が必要な場合もあるでしょう。役職や業務内容によって必要な知識が異なるため、事前に対象者を明確にすることが大事です。
教材を選定・準備する
社員教育の教材は、Pマークの取得に必須の項目を盛り込むのはもちろん、受講する社員の知識レベルや業務内容に合わせて選択します。例えば、管理職向けには法令の順守やリスク管理を重点的に取り上げ、現場社員向けには、具体的な作業手順や日常的な注意点を含めた教材を選ぶのがよいでしょう。
自社で教材を作成する方法もありますが、外部の専門機関が提供する教材を活用する方法もあります。動画やスライド資料などを積極的に取り入れることで、視覚的に理解しやすい教材がおすすめです。
教育の実施
用意した教材を利用して、個人情報保護に関する社員教育を実施します。上記のように、eラーニングや特別研修・外部研修などの方法があるので、自社に合ったものを選択することが大事です。
例えば、時間が限られている場合はeラーニングを選ぶことで、社員が自分のペースで学びやすいでしょう。部門や部署ごとに内容を調整する場合は、個別に研修を実施する必要があります。
理解度テスト・効果測定
社員教育の終了後には、理解度を確認するテストやアンケートを実施しましょう。社員の知識の定着度を測定し、必要に応じて再教育を実施することが大事です。
またアンケートを通じて、教育内容や研修の方法などに関して、社員からの意見を集めましょう。フィードバックを次回の内容に反映させることで、教育プログラムの精度を向上できます。テスト結果もきちんと分析し、部門・部署ごとの傾向や課題を把握することも大切です。
Pマークのための社内教育体制を整える
Pマークの取得には、組織全体で個人情報保護に関する社員教育が必須です。盛り込むべき内容を正確に理解した上で、社員の特性や状況に応じて教育方法を選択しましょう。
また、一度の教育で終わらせるのではなく、継続的な学習も求められます。教育を実施したら必ず効果を測定し、社員からのフィードバックも受けながら改善を重ねる必要があります。内容をブラッシュアップしつつ、自社に合った教育体制を整えましょう。
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著者情報
Watchy 編集部
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