
バージョン管理はデータの変更履歴を記録し、必要に応じて過去の状態に戻せる仕組みです。ソフトウエア開発や文書管理などの分野で利用され、作業効率のアップやトラブル回避に寄与します。基本的な考え方やシステムの選び方などを押さえておきましょう。
目次
バージョン管理とは?基本的な考え方
バージョン管理とは、変更履歴を記録して過去の状態と比較したり、以前の内容に戻したりするための仕組みです。まずはバージョン管理の概要と、対象となるファイルを確認しておきましょう。誤操作の修正やチーム作業の効率化が可能となり、多岐にわたる分野で利用されています。
変更履歴やその内容を管理すること
バージョン管理とは、各種ファイルやデータの変更履歴を記録・追跡するプロセスです。特定のタイミングで保存された状態をバージョンとしてまとめて管理し、必要に応じて過去の内容と比較したり、以前の状態に戻したりできます。
誤った変更の修正や不具合の原因の追跡が容易になるため、ソフトウエア開発だけではなく、文書作成やデザイン制作などの分野でも活用されている仕組みです。
バージョン管理は専用のシステムで行うのが一般的
バージョン管理は、専用のシステムを使用するのが一般的です。変更履歴の記録・管理が自動化でき、確認や修正作業を大幅に効率化できます。
個別の手動管理では難しい変更履歴の記録や、複数人による編集の同期に対応しているシステムが多く、プロジェクト全体の履歴を保存し、適宜過去の状態に簡単に戻せるのが特徴です。作業の競合を防止する仕組みも有しており、複数のチームメンバーが同時に作業してもスムーズにデータの統合が可能です。
さらにクラウドベースのバージョン管理システムならば、地理的に離れた場所からでも簡単にアクセスできるので、テレワークやリモートワークでの運用にも適しています。
バージョン管理の対象ファイル
バージョン管理の対象となるファイルは、プログラムのソースコードをはじめ、各種設計図やマニュアル・仕様書・デザインファイルなどさまざまです。基本的に複数人で作業を進めるファイルは、バージョン管理の対象です。
従来、テキストファイルが管理の中心でしたが、近年は画像や動画などのファイルもダイレクトに対応可能なシステムが増えています。複数人での作業において、どのファイルが最新なのか容易に把握できるため、チーム間の情報共有とコミュニケーションの円滑化にも寄与します。
バージョン管理システムの方式
バージョン管理システムには、以下のように集中管理方式と、分散管理方式の2つの主要な方式があります。それぞれ運用方法や特性が異なるので、違いを押さえておきましょう。
集中管理方式
集中管理方式は、全ての変更履歴を中央のサーバーで管理する方式です。ユーザーはサーバーからファイルを取得し、編集後に再びサーバーに情報を送る形になります。サーバーが一元的にデータを管理するため、運用が比較的簡単にできるのがメリットです。
しかし、サーバーがダウンしてしまうと、作業に支障が出るリスクがあります。集中管理方式は、PC端末が現代ほど流通していなかった時代に主流であり、近年は後述する分散管理方式を採用するケースが多くなっています。
分散管理方式
分散管理方式は、ユーザーが各自ローカル環境に変更履歴を保持し、必要に応じて他のユーザーとデータを共有する方式です。
サーバーで一元的にデータを運用する集中管理方式とは異なり、ネットワーク環境がなくても作業が進められる点がメリットです。中央サーバーの障害による影響も軽減できるため、近年主流の方式として広く運用されています。
分散管理方式では、ユーザーがファイルを更新すると、それぞれの端末内の保管場所(リポジトリ)に記録されます。その後、作業に区切りがついた状態で、ローカルに記録した変更履歴をサーバーに反映させる仕組みです。集中管理方式のデメリットを解消し、効率的に作業を進められるのが特徴です。
バージョン管理システムを導入するメリット
バージョン管理システムを導入することで、作業効率の向上やトラブルの迅速な解決が期待できます。変更履歴の可視化や共同作業の円滑化に役立つので、多くの現場で重宝するでしょう。バージョン管理の専用システムを導入するメリットを解説します。
過去のバージョンを復元できる
バージョン管理システムを導入する最大のメリットは、ファイルを簡単に過去の状態に復元できる点です。現状において不具合が発生している場合でも、すぐに以前の正常な状態に戻せるので、迅速に問題の解決を図れます。
システムによっては、特定のバージョンをタグ付けすることで、重要なバージョンを簡単に識別・管理できるのも特徴です。これによりチーム全体の作業効率が向上し、プロジェクト全体の信頼性も高まるでしょう。
さらに、変更内容を時系列で追跡することで、変更が加えられた背景や目的も明確になり、後の作業もよりスムーズに進められるようになります。
複数人での同時作業が可能
複数人が同じファイルを編集しても、変更内容が競合しないように管理できるのも、バージョン管理システムのメリットです。誰がどの部分を編集したかを記録することで、責任の所在が明確になります。
また、変更履歴を共有することで、各メンバーが他者の作業内容や進捗を把握しやすい点もメリットです。特定の機能や仕様に関連する変更点も追跡しやすくなるため、プロジェクト全体の透明性が向上し、関係者間の円滑なコミュニケーションにも寄与します。
変更点や問題点の確認が容易になる
バージョン管理システムは、変更履歴を詳細に記録できるため、どの部分がいつ、どのように変更されたかを簡単に確認できます。問題点の特定や修正作業が効率化され、全体の生産性向上につながるのがメリットです。
また、変更内容を追跡することで、どの修正が特定の問題を引き起こしたのかを迅速に判断できるため、問題解決までの時間を短縮できるのも特徴です。プロジェクト全体の変更履歴を分析することで、作業プロセスの改善点も発見しやすくなるでしょう。一人一人の作業効率だけではなく、チーム全体のパフォーマンスの向上にも寄与します。
バージョン管理システムの注意点
バージョン管理システムを効果的に運用するには、適切な運用ルールを設定し、チーム全体で共有しましょう。導入直後は操作に慣れるまで時間がかかるので、適宜操作マニュアルを作成し、全体に共有することが大事です。
また、短期間での大容量のファイルの取り扱いや、多人数での頻繁なアクセスがシステムのパフォーマンスに影響を与える場合もあります。
導入するシステムを選ぶ際には、自社の環境に合わせたスペックのシステムを選ぶのはもちろん、機能の拡張性やサービスベンダーのサポートなどにも注目しましょう。システムを選ぶ際に注目すべき点は後述します。
バージョン管理システムを選ぶ際のポイント
バージョン管理システムを選ぶ際には、以下のように導入形態や操作性、外部ツールとの連携性など、多角的に検討することが大事です。特に注目すべき点を確認しておきましょう。
システムの導入形態を確認する
バージョン管理システムには、オンプレミス型とクラウド型があります。オンプレミス型は社内できちんと運用体制を構築していれば、強固なセキュリティを実現できます。
一方、クラウド型は導入コストやメンテナンスの負担を軽減できるのがメリットです。またスケーラビリティが高く、迅速な拡張が可能ですが、インターネットの接続環境に依存します。それぞれメリットと注意点があるため、自社の事業規模やセキュリティ要件、予算などを総合的に判断して選定することが大切です。
現場で使いやすいシステムか確認する
実際にシステムを利用するスタッフの使い勝手も、重要な選定基準の一つです。使いにくいシステムは操作の習得に時間がかかり、逆に作業の非効率化を招きかねません。直感的に分かりやすいインターフェースか確認し、できるだけ操作に必要な学習コストが低いシステムが望ましいといえるでしょう。
また、必要な機能をすぐに呼び出せるかも重要です。クラウド型のシステムならば、試用版やトライアル版を利用できるサービスも多いので、積極的に活用して操作性を確かめておきましょう。使用できる機能は制限されるものの、一部の機能をフリー版として無料で使えるシステムもあります。
外部システムとの連携のしやすさを確認する
外部のシステムとの連携のしやすさも確認しておきましょう。他のツールとの連携が可能なバージョン管理システムを選ぶことで、プロジェクトの運用効率を大幅に向上できます。例えば、プロジェクト管理ツールやCI/CDツールと連携できるシステムを選べば、開発の進捗状況やコードの品質チェックの効率化、テストの自動化などが可能です。
加えて、APIやプラグインを活用することで、将来的なシステム追加やカスタマイズの負担も軽減でき、運用の柔軟性が高まります。クラウドサービスと連携できるシステムも多いので、事前に確認しておきましょう。
フォルダ操作ログの管理なら「Watchy」もおすすめ
バージョン管理システムの運用を考えているならば、フォルダ管理が可能な「Watchy」の導入も検討してみましょう。ファイルの作成・削除・名称変更などのフォルダの変更履歴と、誰が変更したのかのログを取得できます。社内の重要ファイルに関する操作に対してアラートも可能です。
必要な機能を必要な分だけ導入できるのが特徴で、誰でも簡単に設定・運用できる管理画面や、シンプルかつ低コストで利用できる料金プランも魅力です。情報管理の安全性が向上するので、ぜひ導入をご検討ください。
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著者情報
Watchy 編集部
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