企業活動における台帳管理は、社内の備品やIT資産の状況を正確に把握するために不可欠です。適切に管理することで、資産の無駄を削減し、有効活用を促進するだけでなく、法令遵守にも貢献します。台帳管理の手法や効率化のポイントを理解することが重要です。
目次
台帳管理とは何か?
台帳管理とは、企業が保有する資産や備品を一覧化し、所在や利用状況を一元的に把握する仕組みです。
社内のPCやソフトウェアのライセンス、オフィスの什器など、日々の業務で使用する物品は数多くあります。これらを管理せずに放置すると、重複購入や所在が分からないといった問題が生じるため、余計なコスト負担や業務の停滞につながりかねません。
そこで、台帳管理を通じて資産の使用状況を「見える化」すれば、機器の入れ替えや廃棄のタイミングを計画的に判断できるようになります。さらに、きちんと管理された台帳は内部統制の強化や、適切な経営判断をするための基盤としても役立ちます。
台帳管理の目的・必要性
台帳管理の目的は単なる記録にとどまりません。備品の適正利用や法令の順守、業務効率の維持・向上といった観点から、企業活動を支える役割を果たしています。台帳管理の必要性について、ここで整理しておきましょう。
無駄な備品の購入・紛失の防止
台帳で備品や資産を適切に管理することで、重複購入や紛失を防げるようになります。保有している備品の状態を正確に把握できていなければ、無駄な購入により、コストの浪費につながります。また所在不明の資産が増えると、必要なタイミングで使用できず、業務が滞る原因になりかねません。
台帳に基づいて、各資産の保管場所や担当者などを明確にすることで、紛失や重複購入のリスクを軽減し、資産を最大限に活用できるようになります。
コンプライアンス対応・法令順守
近年は、個人情報保護法や会計監査基準の厳格化により、資産の管理責任が企業に強く求められています。特に、IT資産の所在や利用状況を把握できていなければ、セキュリティ上のリスクになるだけではなく、法令違反につながる可能性もあるので注意しましょう。
台帳管理を通じて、誰がどの資産を使用しているのか明確にすることは、監査対応の円滑化にもつながる取り組みです。内部統制を強化し企業の信頼性を高める上でも、適正な台帳管理は欠かせません。
業務効率の継続的な向上
正確な台帳管理により、すぐに使用可能な備品を特定でき、必要なタイミングで必要なものを活用できるようになります。IT機器やソフトウェアの利用状況を把握しておけば、未使用のライセンスを他部署に再配分するなど、リソースの最適化が可能になるでしょう。
また、台帳に基づいて更新時期を計画的に管理することで、故障やトラブルによる突発的な業務停止を防げます。管理の手戻りや余分な作業を減らしつつ、業務効率の向上にもつなげられます。
Excelによる台帳管理の手法
Excelは多くの企業で導入のハードルが低く、初期費用を抑えて台帳を整備できる方法です。関数やフィルター機能を使えば、資産情報を検索・並べ替えしやすく、簡易的なレポート作成にも対応できます。Excelによる基本的な台帳管理の方法を確認しておきましょう。
台帳に設定すべき項目
Excelで台帳を作成する際には、資産名やID・保管場所・担当者・購入日・更新履歴といった項目を、あらかじめ定めることが重要です。こうした情報を体系的に記録しておけば、検索やフィルター機能を活用して、資産の状況をすぐに確認できます。
また、関数を組み合わせて自動で更新時期を算出するなど、効率的な管理が可能です。ただし、項目を増やし過ぎると入力の負担が大きくなり、記録の抜け・漏れを招く可能性があるため、利用目的に応じて必要な情報を厳選することも大切です。
Excelによる台帳管理の課題
Excelは基本的に、初期費用が不要で導入しやすい一方で、利用者が増えると運用に限界が出てくる可能性があります。複数人で同時編集をすると、データの整合性が崩れやすく、入力ミスや重複が発生しやすくなるので注意しましょう。
また、ファイルが増えることでバージョン管理が複雑化し、どれが最新の台帳なのか、分からなくなるリスクもあります。社外へのデータの誤送信や不正アクセスにより、情報漏洩の恐れもあるため、管理を徹底しなければいけません。
より安全かつ効率的な台帳管理を目指すならば、以下のように専用ツールを用いた運用に切り替えることも検討しましょう。
ツールを用いた台帳管理の手法
近年はExcelに代わり、専用のシステムやクラウドサービスなどで、台帳管理をする企業が増えています。これらのツールはアクセス権限の設定や自動更新、監査ログの取得といった機能を備えており、規模が大きい組織にも対応可能です。代表的な手法の特徴や、強みを確認しておきましょう。
専用のソフトウェアを用いた台帳管理
専用のソフトウェアは、企業の資産管理のために設計されているため、よくある入力項目や便利な更新機能が標準で備わっています。バーコードやICタグを利用して、資産を読み取る仕組みを構築できる製品も多く、棚卸しや資産移動の記録などの効率化も可能です。
また、履歴管理やレポート機能なども実装されているため、監査に必要な資料を容易に作成できるのも特徴です。初期コストはかかるものの、長期的な管理の効率性・正確性を考えると、十分に導入する価値があります。
クラウドサービスを活用した台帳管理
クラウド型の台帳管理サービスを活用すれば、インターネットにより場所を選ばずアクセスが可能になり、複数拠点間での資産状況をリアルタイムに共有できます。更新データは即時に反映されるため、入力の重複やバージョン管理の煩雑さも解消できます。
また、セキュリティに関しても、サービスベンダーが最新の対策を講じているため、安全性が高いのも特徴です。スモールスタートで導入できるプランも多く、自社の規模に応じて柔軟に活用できるのが強みです。データのバックアップもベンダーが担保するので、管理部門の負担の軽減にもつながります。
WatchyによるIT資産管理
「Watchy」はIT資産管理・ログ管理に特化したサービスで、社内のソフトウェアライセンスやハードウェアの利用状況を自動で収集し、一元的な管理が可能です。台帳を手作業で更新する必要がなくなるため、情報の正確性を飛躍的に向上できます。
操作もシンプルで使いやすく、特別なスキルを持たない社員でも簡単に利用できるのも特徴です。さらに、必要な機能を必要な分だけ契約できる、柔軟な料金体系を採用しているため、低価格で運用をスタートできます。この機会にぜひ、導入をご検討ください。
Watchy(ウォッチー) - クラウド型IT資産管理・ログ管理ツール
台帳管理ツールを導入するメリット
台帳管理ツールを導入することにより、従来のExcelによる運用では難しかった正確性や効率性を高められます。資産の「見える化」により、業務全体の信頼性や透明性も向上します。台帳管理ツールを導入・運用するメリットを整理しておきましょう。
リアルタイムで状況を把握できる
専用の台帳管理ツールを活用すれば、資産の増減や利用状況をリアルタイムに確認できます。Excelのように手作業で更新を待つ必要がなく、常に最新の情報が全社員に共有されるため、意思決定の効率化・迅速化に役立ちます。
また、急な資産の故障や移動の必要性が発生した場合でも、即座に状況を把握して対応が可能です。情報の鮮度が高い状態を維持できるため、未然に資産の過不足やトラブルを防ぎ、業務の停滞を最小限に抑えられます。
情報漏洩リスクの低減
台帳管理ツールはアクセス権限を細かく設定できるため、基本的に社員全員が無制限に閲覧・編集できるExcelと比べて、安全性が高いのもメリットです。またログの自動記録により、不正アクセスや誤操作があった場合でも容易に追跡できます。
特にクラウド型のツールならば、サービスベンダーが最新のセキュリティ対策を施しており、データの暗号化やバックアップも任せられます。資産情報の漏洩リスクを低減できるほか、管理者はセキュリティ対応にかかる負担を軽減でき、運用コストの削減にもつながります。
法令順守と内部統制の強化
台帳管理ツールでは、監査ログや報告機能が標準搭載されており、社内外の監査にもスムーズに対応できます。法令の順守はもちろん、内部統制の強化にも寄与し、企業の信頼性をより高める仕組みを整えられるのもメリットです。
また、定期的な更新通知や自動記録機能によって、担当者がうっかり記録を忘れるリスクを最小限に抑えられます。整備されたデータが常に監査証跡として活用できるため、不正の抑止やリスクマネジメントの強化にも役立つでしょう。
台帳管理を効率化するポイント
効率的な台帳管理のためには、ツールの導入だけではなく、運用ルールや管理項目の整備も欠かせません。標準化と明確化を進めることで、長期的に安定した管理体制を構築できます。台帳管理を効率化するポイントを確認しておきましょう。
管理項目の標準化・明確化
管理項目が部署ごとに異なると、全社的な資産の把握が困難になります。共通の基準を設けて、「資産名」「ID」「担当者」といった最低限必要な項目を、標準化することが大事です。これにより情報のばらつきを防ぎ、資産の検索・分析がしやすくなります。
また、部署ごとの追加項目はカスタムフィールドとして扱うことで、部署固有の情報も記録できます。組織全体で統一された基準を維持しつつ、各部署の実務に即した柔軟な管理を実現しましょう。
データ更新の仕組みの整備
どれほど詳細な台帳を作成しても、情報が古ければ意味がありません。更新が滞らないように、定期的な見直しや更新フローを仕組み化することが大切です。
例えば、資産の購入や廃棄が発生したタイミングで、必ず入力するルールを徹底したり、自動的に更新を促す仕組みを導入したりするのが有効です。常に最新情報を維持できる環境を整えることが、運用を効率化するための第一歩です。
常に鮮度の高いデータを蓄積・管理できるようにすれば、経営判断にも生かせる有用なデータベースとして活用できます。
運用ルールの策定と権限管理の徹底
台帳管理は属人的になりやすいため、担当者任せにせず、組織的なルールとして運用しましょう。誰が入力・承認をするのか明確にしておき、アクセス権限も細かく設定すれば、不正な利用や誤操作の防止につながります。
また、定期的にルールを見直し、実態に合った形に改善を繰り返すことも大切です。運用ルールや権限の変更は即座に全社員に周知し、管理に関わる社員にきちんと順守させる必要があります。
台帳管理により社内の資産を適切に管理する
台帳管理は、単なる資産リストの作成にとどまらず、資産の適正運用と企業の信頼性の向上に直結する重要な取り組みです。適切な管理により、無駄な支出を削減できるのに加えて、法令順守の徹底や業務効率の向上にも寄与します。
Excelによる管理は手軽な一方で、さまざまな点で限界もあります。積極的に専用ツールやクラウドサービスを活用することで、より安全な管理体制を構築しましょう。ツールの導入に加えて、管理項目の標準化や運用ルールの徹底といった、社内体制の整備も不可欠です。
IT資産の台帳管理が可能なツールは多くありますが、その中でも「Watchy」ならば、煩雑になりやすいソフトウェアライセンスや、資産の利用状況を効率的に収集し、最新の状態に反映できます。
未使用ライセンスの把握や不正利用の検知が容易になり、コストの削減とコンプライアンスの強化が可能です。必要な機能に絞って導入できるので、初めて本格的なIT資産管理に取り組む企業にもおすすめです。この機会に導入をご検討ください。無料のトライアル版もご利用いただけます。
Watchy(ウォッチー) - クラウド型IT資産管理・ログ管理ツール

Watchy編集部
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