「ISMSの認証は意味がないのではないか」という疑問を抱える中小企業経営層やIT担当者もいるのではないでしょうか。ISMSの導入はコストや運用負担が懸念される一方で、情報漏洩防止やIT資産管理の強化に効果的です。本記事では、ISMSの真の価値と導入による具体的なメリット、さらに中小企業がISMSを最大限に活用する方法について詳しく解説します。

ISMSとは何か

情報漏洩やサイバー攻撃のリスクが深刻化する現代において、企業の情報資産を守るためのセキュリティ対策は最重要課題です。しかし、「実際にどこまでのセキュリティを求められるのか」「どのような具体的な対策が必要なのか」などの基準は一概には言えず、中小企業経営層やIT担当者を困らせる要因になっています。

そんな時に役立つのがISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)です。まずはISMSが何か、その概要や基本知識を見ていきましょう。

ISMSの定義と目的

ISMSは情報資産の特定やリスク評価、管理策の導入、運用状況の監視、改善活動までを一連のプロセスとして明確化する情報セキュリティ管理の枠組みのことです。

ISMSでは、どの情報が重要かを特定し、それに対するリスクを評価します。その上で、情報を守るためのルールや対策を決め、それがしっかり実施されているかを監視します。そして、必要に応じてルールや運用方法を改善していく仕組みです。

ISMSの目的は、情報が漏洩するリスクを最小限に抑えながら、業務で有効に活用できる環境を整えることです。従業員ごとにアクセスできる情報を制限したり、万が一の事態に備えて迅速な対応策を用意したりします。ISMSは、情報を守りつつ活用するためのバランスを重視した管理方法といえます。

ISMSと他のセキュリティ認証との違い

ISMSの他にも、セキュリティ認証はいくつもあります。ここでは、日本特有のプライバシーマーク(Pマーク)と比較して、両者の違いと相互補完の関係を説明します。

Pマークは主に個人情報保護に特化しており、企業が個人情報を適切に取り扱う体制を整えることを目的としています。

一方で、ISMSは個人情報に限らず、会社が保有するあらゆる情報資産を対象に、リスク管理や運用の仕組みを構築します。

両者はそれぞれ異なる側面を補完し合う関係にあります。例えば、Pマークを取得することで個人情報保護の取り組みが強化されますが、それだけでは業務データや機密情報といったその他の情報資産に対するセキュリティ体制が十分とはいえません。そこで、ISMSを導入することで、これらの情報資産全体を保護する包括的な対策を実現できます。

結果として、Pマークは個人情報保護に特化した「深さ」を、ISMSは企業全体の情報資産を守る「広さ」を提供します。両方を組み合わせて運用することで、組織のセキュリティ体制を多角的かつ効果的に強化することができます。

ISMSを導入する意味はないのか?

ISMSは情報を守る仕組みとして有用ですが、実際に効果を得るには適切な運用が欠かせません。運用が形式的になってしまったり、担当者の知識不足で十分に活用できない場合、ISMSが「意味がない」と感じられてしまうこともあります。

ISMSの導入が本当に意味がないのかを、知っておくことが重要です。

形だけの運用では意味はない

ISMSを導入しても、実際に使われていなければ効果はありません。例えばルールや手順があるだけで、現場でその内容が守られていない場合、情報漏洩のリスクは減りません。

これでは、「ISMSは意味がない」と感じてしまうのも無理はありません。ISMSを効果的に活用するには、現場で働く人たちが理解しやすいルールを作り、それを実際の業務で無理なく守れるようにすることが重要です。

また、ルールを定期的に見直し、現場の状況に合わせて改善していくことが必要になります。こうすることで、ISMSは単なる形だけの仕組みではなく、実際に役立つものになります。

担当者のセキュリティ知識がなければ活用できない

ISMSを効果的に運用するには、情報セキュリティに関する基本的な知識が必要です。しかし、セキュリティに詳しい担当者がいないと、OSの更新管理やアクセス制御といった重要な作業が十分に行えないことがあります。

その場合は外部の専門サービスを活用する方法があります。ISMSの担当者がしっかりとしたセキュリティ知識を持っていなければ、十分な効果に期待ができないでしょう。

適用性がなければコストだけがかかる

ISMSのルールをそのまま取り入れると、会社の規模や業務内容に合わず、無駄なコストがかかることがあります。

例えば、大企業向けの厳しいルールをそのまま中小企業で実行しようとすると、手間ばかり増えてしまい、本来守るべき部分がおろそかになることがあるかもしれません。

また、業種や業態によっては、高いセキュリティ水準を必要としない場合もあるでしょう。

そもそもISMSが会社に合うかどうか、そして会社に合ったルールを作り、重要な部分に優先的に取り組むことで、無駄を省きながら効果的な運用ができます。

ISMS導入の効果を最大限にするポイント

ISMSを導入する際には、経営層や従業員が一丸となって取り組むことが大切です。特に経営層の関与やリスク評価、従業員への教育がポイントになります。これらの工夫によって、ISMSの効果を最大限に引き出すことが可能になるでしょう。

経営層の積極的な関与

ISMSをうまく運用するには、経営層が積極的に関与することが重要です。経営層がリーダーシップを発揮し、情報セキュリティの重要性を社内に示すことで、従業員も真剣に取り組むようになります。

また、必要なリソースや予算を適切に確保するためには、経営層の理解と支援が欠かせません。

経営層が現場の意見を聞きながらリスク評価や方針決定に参加することで、全社的にバランスの取れたセキュリティ対策を進めることができます。

リスクアセスメントの徹底

ISMSを導入する際には、リスクアセスメントが大切です。リスクアセスメントとは、会社のどこに危険があるのかを調べ、それに優先順位をつけ、リスクの除去や低減を検討、結果を記録しておく一連の作業のことを指します。

この作業をしっかり行うことで、本当に必要な対策が見えてきます。例えば従業員が自由に重要な情報にアクセスできる状態なら、アクセス権限を制限する対策が必要です。

このようにリスクに応じた対策を取ることで、ISMSの効果を高めることができます。

従業員教育と意識向上

従業員が情報セキュリティのルールを理解し、正しく守ることがISMSの成功につながります。怪しいメールのリンクをクリックしない、会社の情報を安全な場所に保管するといった基本的なことを全員が意識するだけでも、リスクは大きく減ります。

そのため、定期的な教育やトレーニングを行い、具体的な事例を使って分かりやすく説明することが大切です。従業員の意識が高まり、セキュリティ対策がより効果的になります。

ISMSを理解し全社で取り組むことが重要

ISMSが「意味がない」といわれる背景には、形だけの運用や知識不足が原因となっている場合が多いです。しかし、ISMSは適切に運用すれば、中小企業でも実現可能な有効な仕組みです。

経営層の積極的な関与やリスクアセスメント、従業員教育を通じて、情報漏洩リスクを減らし、会社全体の安全を守ることができます。全社で取り組むことで、ISMSは単なる認証ではなく、会社を支える大切な仕組みとなります。

今後のセキュリティ対策の一環として、ISMSの導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

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著者情報

Watchy 編集部

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