働き方改革やテレワークの普及により、従業員の労働時間を適切に把握し管理することが重要な課題となっています。特に残業時間の管理は、法令順守の観点からも企業経営における必須事項といえるでしょう。本記事では、残業管理の必要性から具体的な管理方法、最新のITツールを活用した解決策まで、実践的な内容を紹介します。
残業管理はなぜ必要?
近年の労働関連法規制の強化により、企業における残業管理の重要性は増しています。従業員の健康管理やワークライフバランスの確保に加え、企業の生産性向上においても、適切な残業管理は重要な役割を果たしています。
残業管理の担う役割や必要性について、以下で詳しく解説します。
コンプライアンスを順守するため
労働基準法では、1日8時間、週40時間を超える残業には、従業員の過半数代表者との書面による協定(36協定)の締結が必要と定められています。
毎月の残業時間は、原則として月45時間以内、年間360時間以内に収める必要があります。このうち原則として原則として1日当たり8時間・1週間当たり40時間を法定労働時間といい、これを超える特別な場合でも年720時間を超えてはいけません。
このような法定労働時間を超えて残業をさせた場合、是正勧告や、最悪の場合は刑事罰の対象となることもあります。そのため、残業時間を正確に記録し、法定の上限を超えないよう管理することは、経営者の重要な責務といえるでしょう。
参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働 について留意すべき事項に関する指針 |厚生労働省
従業員のエンゲージメント低下を防ぐため
過度な残業は従業員の心身の健康に悪影響を及ぼし、仕事への意欲や満足度を大きく低下させます。
長時間労働は心身の疲労やストレスの蓄積を引き起こし、メンタルヘルス不調や離職の主要な原因となります。
適切な残業管理を通じて労働時間を適正化することで、従業員は仕事と私生活のバランスを保ちながら、高いモチベーションで業務に取り組むことができるでしょう。
また、従業員の健康管理は企業の法的義務でもあり、定期的なストレスチェックと併せて、残業時間の管理も重要な健康管理施策の一つとして位置付けられています。
生産性の低下を防ぐため
残業の常態化は、時間当たりの労働生産性を確実に低下させます。人間の集中力や判断力には限界があり、長時間の残業は業務効率の低下やミスの増加につながります。
また、残業を前提とした仕事の進め方は、時間内に終わらせようとする意識を弱め、結果として業務の効率化を妨げることにもなりかねません。
正確な残業時間の把握と管理は、業務プロセスの見直しや効率化の機会を特定する上でも重要な指標となり、企業全体の生産性向上につながります。
なぜ残業管理が難しいのか
デジタル化やテレワークの普及により、従業員の働き方は大きく変化しています。このような環境の変化に伴い、従来の残業管理の方法では十分な対応が難しくなってきているのが現状です。
なぜ残業管理が難しいのでしょうか。その理由は以下の通りになります。
人手不足で残業が常態化している
多くの業界で深刻な人手不足が続いており、既存の従業員への業務負担が増加しています。新規採用が思うように進まない中、急な受注や顧客からの要望に対応するため、残業で補填せざるを得ない状況が続いているというのが現状です。
特に専門性の高い業務や、特定の従業員にしか対応できない業務については、一時的な人員の補充や業務の分散が難しく、特定の従業員に残業が集中する傾向があります。
また、業務の繁閑の波が大きい職場では、繁忙期の残業を避けることが困難な状況となっています。このような状況下では、残業時間の削減目標を立てても、実際の運用面で苦慮するケースが多く見られます。
残業が当たり前になっている企業文化がある
長年にわたり残業を前提とした業務計画や納期設定が行われてきた結果、残業を当然とする企業文化が根付いている企業も少なくありません。
定時で帰ることへの後ろめたさや、周囲への気兼ねから、業務が完了していても職場に残ることを常習化している職場もあるでしょう。
また、残業代が基本給を補完する収入として定着している面もあり、残業時間の削減が給与の減少につながることを懸念する声もあります。
このように、そもそも残業自体が当たり前になっている風習があり、現場の一存では残業をやめることが難しくなっているケースもあるかもしれません。
従業員の管理が届いていない
コロナ禍以降、普及率が増加しているテレワークですが、その結果として従業員の管理が行き届かなくなっている職場もあるのではないでしょうか。
テレワークではどうしても、従来の目視による労働時間管理や、オフィスの施錠時間による間接的な管理が機能しなくなり、自己申告による勤怠管理に頼らざるを得ない状況が増えています。
しかし、自己申告制では実際の労働時間と報告された時間に差が生じるリスクがあり、特に深夜や休日の労働について正確な把握が難しくなっています。
また、チャットやメールでの業務連絡が増加したことで、業務時間外の対応が見えづらくなっており、実質的な残業時間の把握がさらに複雑化しているといった課題も、残業管理が難しくなっている原因です。
働き方の多様化で管理が複雑化している
昨今の職場ではテレワーク以外に、フレックスタイム制の導入や育児制度の導入など、従業員それぞれの勤務時間帯が異なるようになっています。
従来の一律の始業時刻・終業時刻を基準とした残業管理では対応が難しく、個々の勤務形態に応じた柔軟な管理が必要となっている現状があります。
また、業務の性質上、客先常駐や外回りが多い従業員の場合、実際の業務開始・終了時刻の確認が困難です。他にもスマートフォンやPCでの業務が一般的となり、業務時間と私的な時間の境界が曖昧になっているという課題も浮上しています。
このような働き方の多様化に対応した残業管理の仕組みづくりが必要となった結果、残業管理が難しくなっていることもあり得るでしょう。
残業管理を適切に行う方法
残業に関する問題を解決するためには、明確なルール作りと、それを実行するための具体的な施策が必要です。以下では、効果的な残業管理の方法について解説します。
残業に関するルールの明確化
残業管理を効果的に行うためには、まず社内の残業ルールを明確に定める必要があります。
36協定の内容を全従業員に周知し、残業が必要な場合の事前申請手続き、残業可能な上限時間、休憩時間の取り方などを具体的に示した社内規定を整備する必要があります。
また、残業時間の集計方法や、残業代の計算方法についても明確な基準を設け、従業員が安心して働ける環境を整えることが重要です。
深夜残業や休日労働に関する扱いについても、法令にのっとった基準を設定し、全社で統一的な運用を行うことが求められています。
無駄な残業をさせない文化づくり
効率的な業務遂行と適切な労働時間管理を両立させるためには、組織全体で意識改革を行う必要があります。
各部署の業務量や納期の設定を見直し、無理のない業務計画を立てることが重要です。また、定時退社日の設定や、ノー残業デーの実施といった具体的な取り組みを通じて、計画的な業務遂行を促進しましょう。
管理職向けの研修を実施し、部下の労働時間管理の重要性や、効率的なタスク配分の方法について理解を深めることも効果的です。
業務の優先順位付けを明確にし、締め切りに余裕を持った進行管理を行うことで、急な残業を防ぐことができます。
残業管理を行うツールの導入
正確な労働時間管理を実現するためには、適切なツールの活用が不可欠です。勤怠管理ツールの導入により、正確な出退勤の記録を取ることができるようになります。
また最新の勤怠管理システムでは、PCのログイン・ログオフ時刻の記録や、業務アプリケーションの使用状況の把握ができるものもあります。
その結果、従業員の実際の業務時間を客観的に把握するだけでなく、残業時間中に本当に業務に従事していたのか、また勤務時間中に余計なサイトにアクセスしていないかなどを監視することが可能です。
また、残業時間が一定の基準を超えた場合のアラート機能や、上長への承認依頼の自動化など、管理業務の効率化にも役立ちます。
テレワーク環境下でも、クラウド型の勤怠管理システムを導入することで、リアルタイムでの労働時間把握と適切な残業管理が可能となります。
適切な監視ツールの導入もおすすめ
労働時間の正確な把握と情報セキュリティ対策を両立させるため、PCログ管理ツールの導入が有効です。以下では、セキュリティコストを割くことが難しい中小企業でも手軽に導入できる「Watchy」について、具体的なツールの機能と活用方法を解説します。
従業員の業務経過を観察できる「Watchy」
Watchyは、従業員のPC利用状況を自動で記録し、業務時間の可視化を実現します。
具体的には、PCのログイン・ログオフ時刻やアプリケーションの使用状況を記録することで、正確な労働時間管理が可能です。さらに、一定時間間隔で従業員のPCの画面をスクリーンショットする機能もあり、労働実態を正確に把握し、本当に残業が必要なのかを判断することにもつながります。
同時に、業務に関係のないWebサイトの閲覧や不適切なファイル操作などのリスク行動も検知できるため、情報漏洩対策としても効果を発揮します。
このような二つの側面からの管理により、労務管理担当者の業務負担を軽減しながら、組織全体のコンプライアンス強化を図ることが可能です。
Watchyの監視機能
PCログ管理ツールの中核となる監視機能は、業務効率と情報セキュリティの両面で重要な役割を果たします。まず業務時間の記録機能では、従業員ごとのPC使用時間を正確に把握することができます。
また、アプリケーションの使用状況の分析により、業務効率化のヒントを得ることも可能です。Webサイトの閲覧履歴やファイルの操作ログを記録する機能は、残業管理だけでなく、情報漏洩リスクの早期発見に役立ちます。
ただし、これらの監視機能の導入に際しては、従業員のプライバシーに十分配慮する必要があります。導入の目的や収集するデータの範囲について、事前に従業員への説明を行い、同意を得ることが重要です。
適切な残業管理は従業員のエンゲージメントを向上させる
適切な残業管理の実現は、単なる法令順守にとどまらず、従業員の働きがいや生産性の向上にもつながります。
残業時間を適切に管理し、従業員一人一人の働き方を尊重することで、持続可能な組織づくりが可能となります。
また、「Watchy」のようなPCログ管理ツールの導入により、客観的な労働時間の把握と情報セキュリティの強化を両立させることで、企業価値の向上にも寄与するでしょう。
今後は、さらなるデジタル化の進展に伴い、より効率的で効果的な残業管理の手法が求められていくことが予想されます。経営者は、これらの課題に積極的に取り組み、従業員が安心して働ける環境づくりを推進していく必要があります。
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Watchy:https://watchy.biz/
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著者情報
Watchy 編集部
従業員が安心して働ける環境を提供するための、IT資産管理、情報漏洩対策、労務管理に関するコンテンツを発信しています。
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