テレワークの普及で従業員が自宅から社内システムにアクセスするケースが増え、情報管理の課題に直面している企業も少なくありません。IT担当者が不在、もしくは少ない企業では、どのように機密情報を守ればよいのでしょうか。本記事では、人事部門や総務部門の担当者でも実施できる具体的な対策と、導入しやすい管理ツールをご紹介します。

「社内秘」の意味とは?社外秘との違いも解説

企業における情報管理の重要性が高まる中、適切な情報の分類と管理が求められています。特に「社内秘」という区分は、日常的な業務で頻繁に目にする機会が多いものの、その定義や取り扱い方法について正しく理解している従業員は少ないのが現状です。

社内秘の資料と社外秘の資料は、何が違うのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。

社内秘とは

社内秘は、企業内部で取り扱う機密情報の区分の一つです。取引先との契約内容、製品の開発情報、社員の個人情報など、社外はもちろん、社内でも秘密という情報であり、一部の部署や社員にしか閲覧できないケースが多くなっています。

社内秘の情報は、企業の日常業務を円滑に進めるために必要不可欠な情報であり、その取り扱いには細心の注意が必要です。

特に、デジタル化が進む現代では、データとして保管される社内秘情報の保護が重要な課題となっています。また、テレワークの普及により、社内秘情報を自宅で扱うケースも増加しており、より厳格な管理体制の構築が求められています。

社内秘と社外秘の違い

社内秘と社外秘は、情報の取り扱い範囲と秘密保持の対象に違いがあります。社内秘が主に社内で特定の人や部署に限定して共有されるのに対し、社外秘は社内では広く共有される場合もありますが、社外には絶対に漏れてはいけない情報を指します。

具体的には、社内秘は人事評価資料や社内の業務マニュアルなど、組織内部で完結する情報が該当します。

一方、社外秘は共同開発案件の仕様書や、取引先との守秘義務契約が必要な情報などが含まれます。管理の厳格さの観点では、一般的に社外秘の方がより厳重な取り扱いが求められます。

機密文書の種類

企業における機密文書は、その重要度に応じて複数の区分に分類されます。適切な情報管理を行うためには、それぞれの区分の特徴と取り扱い方法を正しく理解することが重要です。

以下では、「極秘文書」「秘文書」「社外秘文書」の3種類について解説します。

極秘文書

極秘文書は、最高レベルの機密性を持つ文書区分です。企業の存続に関わる重要な情報や、漏洩した場合に甚大な影響を及ぼす可能性のある情報が該当します。

経営戦略に関する重要文書、M&A関連の資料、重要な技術情報などが含まれます。極秘文書の管理は非常に厳格で、アクセスできる人員は経営や情報に関わる役員や一部の社員に限られ、専用の保管場所や特別な管理体制が必要となります。

具体的な管理方法としては、指紋認証付きの金庫での保管、閲覧記録の作成、複製の原則禁止、部外者の立ち入りが制限された専用の閲覧室の設置などが挙げられます。

極秘文書の存在自体も機密情報として扱われることが多く、その取り扱いには特別な注意と責任が必要です。

秘文書

秘文書は、機密情報に次ぐレベルで扱われる文書区分です。日常的な業務で発生する機密性の高い情報が該当し、社内でも限られた人物のみでの共有が想定されています。

具体的な例としては、新製品の企画書、販売戦略の資料、人事異動の計画書などが挙げられます。これらの文書は、アクセス権限を持つ従業員間での共有は認められていますが、部外者への開示は禁止されているのが一般的です。

社外秘文書

社外秘文書は、機密文書の中でも社内全体で閲覧できる文書です。取引先など特定の社外関係者との共有を前提とした機密文書です。一般的に秘文書よりも高い機密性を持ち、より厳格な管理が求められます。

取引先との共同開発契約書、価格交渉に関する資料、業務提携の計画書などが該当します。

社外秘文書の特徴は、文書の取り扱いに関して明確なルールが定められていることです。例えば、共有可能な相手先の特定、利用目的の制限、保管方法の指定、複製の禁止などが厳密に規定されています。また、多くの場合、文書の受け渡しの記録や、定期的な保有状況の確認が必要となります。

機密文書の流出を防ぐ対策

社内秘情報の漏洩を防ぐためには、技術的対策と管理的対策の両面からのアプローチが必要です。以下では、具体的な予防策について解説します。

アクセス管理を適切に行う

情報へのアクセス権限を適切に設定することは、社内秘情報を守るための基本となります。

「誰がどの情報を見られるのか」を明確にし、必要な人だけが必要な情報にアクセスできる環境を作ることが重要です。まずは、部署ごとに分けた基本的なアクセス権限の設定から始めましょう。

例えば、人事部の給与データは人事部のメンバーだけが見られるようにする、営業部の顧客情報は営業部のメンバーだけがアクセスできるようにするといった具合です。

また、プロジェクトチームなど、一時的にアクセス権限が必要な場合は、期間を定めて権限を付与し、プロジェクト終了後は確実に権限を削除します。

特に重要な文書については、上司の承認があって初めて閲覧できる仕組みを導入するのも効果的です。

これらの権限設定は、3カ月に1回程度の頻度で見直しを行い、不要な権限が残っていないかチェックすることをおすすめします。

従業員への意識付けの徹底

情報セキュリティ対策で最も重要なのは、実際に情報を扱う従業員一人一人の意識です。どんなに優れたセキュリティシステムを導入しても、使う人の意識が低ければ情報漏洩は防げません。

そこで重要になるのが、定期的な研修や勉強会の実施です。研修では、「なぜ情報管理が大切なのか」「情報が漏れるとどんな問題が起きるのか」といった基本的な内容から、「社内秘情報を扱う際の具体的な注意点」「情報漏洩が起きそうになったときの対処方法」まで、実践的な内容を盛り込みます。

特に効果的なのは、実際に起きた情報漏洩事故の事例を用いた学習です。「こんな単純なミスで大きな問題になった」という具体例を示すことで、従業員の危機意識を高めることができます。

また、管理職向けには「部下への指導方法」「事故が起きた時の対応手順」といった、立場に応じた内容の研修も必要です。

持ち出し困難な環境をつくる

社内秘情報の持ち出しを防ぐには、システム的な側面と、管理運用的な側面の両面からの対策が必要です。まず、システム面では、USBメモリの使用制限を設定します。

社内で許可された特定のUSBメモリのみが使える仕組みにすることで、個人のUSBメモリへの無断コピーを防止できます。プリンターについても、誰がいつ何を印刷したのか記録を残す設定にしましょう。

社外へのメール送信時には、添付ファイルのチェックや警告メッセージを表示する仕組みも有効です。物理的な対策としては、重要書類を扱う部屋への入室制限や、シュレッダーの設置が基本となります。

また最近では、テレワークでの情報持ち出し対策も重要です。会社のパソコンの画面を自宅から安全に操作できるリモートデスクトップの導入や、暗号化された通信経路を確保するVPNの利用など、在宅勤務でも安全に業務ができる環境を整えることが大切です。

ログ履歴を監視する

情報の不正な持ち出しを防ぐには、システムの使用状況を定期的にチェックすることが効果的です。具体的には、「誰がいつどの文書を見たか」「誰がいつ印刷をしたか」「誰がどんなファイルをメールで送ったか」といった記録を確認します。特に注意が必要なのは、普段と違う時間帯のアクセスや、大量のファイルのダウンロード、不自然なファイル操作などです。これらは情報の不正な持ち出しのサインかもしれません。

こうした監視を効率的に実施するために、Watchyはおすすめのツールです。Watchyを活用することで、社内におけるファイルやフォルダに関するシステム上の全ての操作ログを一元管理でき、不正な行動があった場合には即座にアラートを受け取ることが可能です。

例えば、退職が決まった従業員が機密情報を大量にダウンロードするなどの異常な操作も、自動で検知し対応を促します。

さらに、Watchyは操作性に優れており、情シス担当者が不在または不足している企業でも導入しやすいのが特徴です。

ログの可視化機能を使えば、どのデータがどのように利用されたのかを簡単に把握できます。

Watchyを活用することで、企業全体で透明性の高いセキュリティ環境を構築し、不正行為を未然に防ぐ体制を整えましょう。

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社内秘の資料を適切に管理して流出を防ぐ

企業における情報管理の重要性は、デジタル化の進展とともにますます高まっています。特に社内秘情報の保護は、企業の競争力維持と信頼性確保の観点から、経営上の重要課題として位置付けられています。

効果的な情報管理を実現するためには、まず社内秘情報の定義と範囲を明確にし、それに応じた適切な管理体制を構築することが不可欠です。具体的には、アクセス権限の適切な設定、従業員教育の徹底、システムによる監視体制の整備など、複数の対策を組み合わせた多層的な防御が求められます。

特に昨今では、テレワークの普及により、社内秘情報が社外で取り扱われる機会が増加しています。情報漏洩が発生した場合、企業の信用失墜や経済的損失にとどまらず、取引先との関係悪化や法的責任を問われるなど、深刻な影響が懸念されます。

そのため、経営層のリーダーシップの下、組織全体で情報セキュリティの重要性を認識し、継続的な改善に取り組むことが重要です。

情報管理は「やりすぎ」ということはありません。情報セキュリティ対策は、決して負担ではなく、企業価値を高めるための重要な投資として捉えるべきでしょう。

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著者情報

Watchy 編集部

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