情報セキュリティの脅威は、大企業だけでなく、中小企業をターゲットにすることが増えてきています。本記事では、実際に発生している不正アクセスの手口とその被害内容を詳しく解説します。専門的な知識がなくても理解できるよう、具体例を交えながら見ていきましょう。
不正アクセスの主な手口
サイバー攻撃などによる不正アクセスの方法は年々巧妙化しており、その被害は企業規模を問わず拡大しています。特に近年は、大企業の取引先である中小企業が対象となることも多いため、中小企業にも一定以上のセキュリティが求められています。
セキュリティ対策の一環として、まずは現在確認されている代表的な攻撃手法について解説します。
システムの脆弱性を突く攻撃パターン
システムの脆弱性を狙った攻撃は、最も基本的な不正アクセスの手法の一つです。ソフトウェアやシステムに内在する弱点を探し出し、その部分を突破口として侵入を試みます。
具体的には古いバージョンのソフトウェアや、セキュリティの更新が行われていないシステムが主な標的となっています。
攻撃者は、公開されている脆弱性情報を基に、システムの弱点を自動的に探索するツールを使用します。発見された脆弱性を通じて、管理者権限を奪取したり、内部のデータベースに侵入したりすることが可能となります。
特に基幹システムの脆弱性が突かれた場合、企業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
パスワードを利用した不正ログイン
パスワードを悪用した不正ログインは、一般的な攻撃手法として知られています。攻撃者は、不正に入手したパスワードを利用し、企業システムへのログインを試みます。
こういった攻撃では、誕生日や名前などの安易なパスワード、あるいは複数のサービスで同じパスワードを使い回している場合が特に狙われやすくなっています。一度パスワードが突破されると、その認証情報を使って内部システムへの侵入や、別のサービスへの不正アクセスが試みられます。
偽サイトで情報を盗むフィッシング
フィッシング攻撃は、正規のウェブサイトを模倣した偽サイトを使用して、ログイン情報などを盗む手法です。攻撃者は、金融機関や大手企業のウェブサイトを精巧に複製し、本物そっくりの偽サイトを作成します。その後、メールなどで偽サイトへの誘導を行い、IDやパスワードの入力を促します。
最近のフィッシングサイトは、URLや画面デザインが本物とほぼ見分けがつかないほど精巧に作られています。
また、特定の企業や組織を標的にした「スピアフィッシング」と呼ばれる手法も増加しており、業務メールを装った巧妙な誘導が行われています。
なりすましを利用した侵入行為
なりすましによる侵入は、人間の心理を利用した攻撃手法です。攻撃者は、取引先企業や社内の役職者になりすまして、組織内部への侵入を試みます。
実在する企業名や個人名を使用し、メールアドレスやドメイン名を巧妙に偽装することで、正規の連絡と見分けがつきにくい形で接触してきます。
具体的な手口として、取引先を装って添付ファイルの開封を依頼したり、経営者になりすまして緊急の業務指示を出したりします。
また、SNSなどで得た情報を基に、社内の人間関係や業務フローを把握した上で、違和感の少ない形で侵入を図るケースも確認されています。
不正アクセスが企業にもたらす被害
サイバー攻撃による被害は、単なる金銭的な損失にとどまりません。ここでは、不正アクセスによって企業が直面する具体的な被害とその影響範囲について解説します。
顧客情報や機密データの流出
情報漏洩は、企業に最も深刻な打撃を与える被害の一つです。顧客の個人情報や、企業の機密情報が外部に流出することで、直接的な損害と信用失墜という二重の被害が発生します。
漏洩した情報は、闇サイトで売買されたり、さらなる犯罪に利用されたりする可能性があります。
特に注意すべき点として、一度流出した情報は完全な回収が不可能です。また、個人情報保護法の観点からも、情報管理の不備は法的責任を問われる事態につながります。
顧客への補償や対応費用など、想定以上の支出を強いられることも少なくありません。
システムやサービスの停止
不正アクセスによるシステム障害は、業務の完全停止という重大な事態を引き起こします。攻撃者がシステムを意図的に機能不全に陥れたり、重要なデータを暗号化して身代金を要求したりするケースが増加しています
特に基幹システムが攻撃を受けた場合、企業活動全体がまひする可能性があります。
システム停止による影響は、売上機会の損失だけでなく、取引先との契約違反や納期遅延など、広範囲に及びます。復旧作業には多大な時間と費用が必要となり、その間の代替手段の確保も大きな課題となります。
企業の信用失墜と経済的損失
不正アクセスによる被害は、企業の評判や信用に深刻なダメージを与えます。特に個人情報の漏洩や顧客データの流出が発生した場合、その影響は長期にわたって続きます。
取引先からの信用低下、株価への影響、新規取引の減少などの損失が発生します。
信用回復には、広報活動や被害者への対応、セキュリティ体制の見直しなど、多額の投資が必要となります。
さらに、業界団体からの信用格付けの低下や、入札資格の制限など、事業機会の損失にもつながる可能性があります。
他の攻撃を助長する踏み台にされる危険性
不正アクセスを受けたシステムは、他の組織への攻撃の足がかりとして利用される恐れがあります。攻撃者は侵入に成功したシステムを利用して、取引先や関連企業への攻撃を仕掛けます。
これらが生み出す被害は自社にとどまらず、顧客やビジネスパートナーにも波及する事態となります。
踏み台として利用された場合、攻撃の発信元として特定される可能性があり、法的責任を問われるケースも出てきています。
また、取引先からの信頼を著しく損なう結果となり、取引関係の見直しを迫られる事態にも発展しかねません。
不正アクセスが起こった場合の対処法
サイバー攻撃は完全に防ぐことは困難であり、「起きてしまった場合にどう対処するか」という視点も重要です。ここでは、不正アクセスが発生した際の具体的な対応手順を解説します。
システムを遮断して証拠を保全する
不正アクセスを検知した場合、最初に行うべき対応は被害の拡大防止です。感染が疑われるシステムをネットワークから切り離し、被害の拡大を食い止めます。
その際、ログデータや通信記録など、デジタルフォレンジック調査に必要な証拠を適切に保全することが重要です。
システムの遮断は、業務への影響を考慮しつつ、段階的に実施することが望ましいとされています。完全な遮断が困難な場合は、最低限の業務継続が可能な状態を維持しながら、影響範囲の特定と証拠保全を進めましょう。
警察や関係機関への早急な報告
不正アクセスは犯罪行為であり、警察への通報が必要です。また、個人情報の漏洩が疑われる場合は、個人情報保護委員会への報告も求められます。
関係機関への報告は、事態の正確な把握と適切な対応のために重要な手順となります。
報告の際は、発見の経緯や被害の状況、既に実施した対策などを、可能な限り具体的に説明することが求められます。また、今後の捜査や調査に備えて、社内での情報管理を徹底することも重要です。
被害状況の調査と原因分析
不正アクセスの全容を把握するため、詳細な調査と分析が必要です。侵入経路の特定、被害範囲の確認、データの改ざんや漏洩の有無など、多角的な調査を行います。
この過程では、セキュリティ専門企業に依頼することで、より専門的な分析が可能となります。
社内システムの利用記録や監視カメラの映像、従業員の行動記録なども、重要な調査対象です。これらの情報を総合的に分析することで、攻撃の手法や目的を特定し、効果的な対策の立案につなげることができます。
再発防止策の検討と実施
被害の全容が明らかになった後は、同様の事態を防ぐための対策を講じます。脆弱性の修正、アクセス権限の見直し、セキュリティツールの導入など、技術的な対策を実施します。
併せて、従業員教育の強化や、業務プロセスの改善なども重要な再発防止策となるので、必ず行いましょう。
対策の実施に当たっては、優先順位を付けた段階的なアプローチが効果的です。特に緊急性の高い脆弱性から対応を始め、順次対策の範囲を広げていくことで、限られたリソースを効率的に活用できます。
不正アクセスを予防する方法
事後対応よりも予防が重要です。以下では、不正アクセスを未然に防ぐための具体的な施策を解説します。企業規模や予算に応じて、実施可能な対策から順次取り組みましょう。
多要素認証の導入と強化
パスワード認証だけでなく、指紋認証やワンタイムパスワードなど、複数の認証方式を組み合わせることで、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。
特に重要なシステムやデータへのアクセスには、必ず多要素認証を導入しましょう。
近年は、スマートフォンを利用した認証や、生体認証など、利用者の負担が少なく、セキュリティ性の高い認証方式が普及しています。導入コストと運用負荷を考慮しながら、適切な認証方式を選択することが重要です。
OSやソフトを常に最新の状態に保つ
セキュリティ上の脆弱性は日々発見されており、それらに対応するアップデートを適切に適用することが重要です。
特にOSや、ウイルス対策ソフト、業務アプリケーションは、定期的な更新が必要不可欠です。多くの不正アクセス事案では、既知の脆弱性が修正されていないことが原因となっています。
更新作業を確実に実施するため、自動更新の設定や、定期的な確認作業の手順化が効果的です。具体的には、毎週月曜日の始業時に更新確認を行うといったルールを設定し、確実に実施することが重要です。
また、サポートが終了したソフトウェアは速やかに新バージョンへの移行を検討する必要があります。古いバージョンの使用継続は、既知の脆弱性を抱えたまま放置することになり、攻撃者にとって格好の標的となってしまいます。
このような課題に対応するため、「Watchy」では、社内パソコンのOSやソフトウェアのバージョンを一元管理できる「ソフトウェア資産管理」機能を提供しています。この機能により、使用中のOSやソフトウェアが最新の状態かどうかを簡単に把握でき、管理の効率化を図ることが可能です。
さらに、PC1台あたり月額100円という低価格から導入できるため、コストを抑えながら効率的にOS・ソフトウェア管理を行いたい企業に最適です。
従業員への教育・研修の実施
技術的な対策と同様に重要なのが、従業員のセキュリティ意識の向上です。電子メールの取り扱い、パスワード管理、不審なサイトへのアクセス制限など、基本的なセキュリティルールを徹底することが必要です。
具体的には、添付ファイルの安全な取り扱い方法、フィッシングメールの見分け方、適切なパスワードの設定方法などを、実例を交えながら学ぶ機会を設けることが効果的です。
研修は一回限りではなく、定期的に実施することで効果を高めることができます。また、実際の攻撃事例を題材にした演習や、eラーニングの活用など、実践的な教育プログラムを取り入れることも有効です。
特に、新入社員研修や役職者向け研修など、対象者の役割や責任に応じた内容にカスタマイズすることで、より高い教育効果が期待できます。
監視体制を整え攻撃を早期発見する
不正アクセスの兆候を早期に発見するため、システムの監視体制を整備することが重要です。ログ分析ツールやセキュリティ監視サービスを活用することで、異常なアクセスや不審な通信を検知することができます。
Watchyは、情報漏洩や不正アクセスのリスクを軽減するために最適なクラウド型IT資産管理ツールで、企業のセキュリティ対策を効率的にサポートします。
異常なログイン試行や不審な通信、通常と異なるIPアドレスからのアクセスなど、不正アクセスの兆候をリアルタイムで検知できます。また、特定のファイルの大量ダウンロードや不自然な操作を即座に管理者に通知するアラート機能も備えています。こうした機能により、重要データの漏洩や業務停止を未然に防ぐことが可能です。
導入コストも安く、事業規模によっては数千円からの導入も行えます。監視体制をいち早く整えたい場合、Watchyの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
不正アクセス対策は企業の重要な経営課題
情報セキュリティ対策は、企業規模に関わらず、現代のビジネスにおいて避けて通れない経営課題となっています。
特に中小企業では、限られた予算とIT人材の不足という制約の中で、効果的な対策を実施することが求められています。しかし、完全な対策は困難であっても、基本的な防御策を着実に実施し、定期的な見直しと改善を行うことで、リスクを最小限に抑えることができます。
経営者は、情報セキュリティ対策を単なるコストではなく、事業継続のための重要な投資として捉える必要があります。本記事で紹介した対策を参考に、自社の状況やリスクの優先度に合わせて、適切な対策を計画的に実施していきましょう。
また、定期的な訓練や監査を通じて、対策の実効性を確認し、必要に応じて見直しを行うことも重要です。
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著者情報
Watchy 編集部
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