近年、企業を取り巻く環境が大きく変化する中で、情報の流出や従業員による意図しない過失、サイバー攻撃などさまざまな経営上のリスクへの対策が重要性を増しています。この記事では、企業が直面する主なリスクとその対策方法について、実例を交えながら分かりやすく解説します。
目次
企業が抱えている主なリスク
企業経営において、起こり得る問題を事前に把握し、評価することは非常に重要です。そこでまずは、現代の企業が直面する四つの代表的なリスクについて、その特徴と影響を具体的に説明します。
それぞれのリスクをよく理解することで、効果的な対策を考えてみてください。
経営戦略リスク
経営戦略上のリスクとは、事業の方向性や重要な意思決定に関わる問題を指します。たとえば、顧客ニーズの変化に対応できない、競合他社との差別化が図れない、新しい技術やサービスの導入が遅れるといった状況が該当します。
実際の企業では、オンラインサービスへの移行判断の遅れや、新規事業の見通しの誤りなどが問題となっているケースがあります。
財務リスク
財務面でのリスクは、企業の存続に関わる重要な問題です。資金繰りの悪化や、予想外の出費の発生、投資の失敗など、お金に関するさまざまな問題に対するリスクを指します。
一例として、システム更新に必要な費用が予想を大きく上回り、経営を圧迫するケースがあります。これらの問題を防ぐには、計画的な資金管理、定期的な財務状況の確認、適切な予算配分が欠かせません。
また、急な出費に備えた予備費の確保や、取引銀行との良好な関係づくりも重要な対策となります。
サイバーセキュリティリスク
情報セキュリティに関するリスクは、現代のビジネスにおいて避けて通れない課題となっています。
悪意ある第三者による不正アクセスや、コンピューターウイルス感染、重要情報の流出など、デジタル化に伴うさまざまな危険が存在します。
特にテレワークが普及した現在、自宅など社外からの業務アクセスによる情報漏洩が深刻な問題となっています。
コンプライアンスリスク
コンプライアンスリスクとは、法律や規則、社内規定の違反によって生じる問題を指します。
例えば、個人情報の適切な管理を怠ることによる個人情報保護法違反や、労働時間の管理不備による労働基準法違反などです。
こうした問題は、企業の信用を大きく損なう可能性があります。対策としては、社内規定の整備と定期的な見直し、法令順守のためのチェックリストの作成、従業員への定期的な教育が重要です。
リスク対策の種類
企業が取り得るリスク対策には、主に4つの方法があります。以下では、四つの対策方法について、具体例を交えながら解説します。企業の状況や対象となるリスクの性質に応じて、最適な方法を選択することが重要です。
回避
回避とは、リスクの原因となる活動自体をやめる、または行わないという選択をすることです。
具体的には、リスクの高い取引先との契約を見送る、セキュリティ上危険な可能性のあるサービスの利用を控えるなどの対応が挙げられます。
ただし、リスクを回避することで、新たなビジネスチャンスを逃す可能性もあります。そのため、リスク回避を選択する際は、得られる利益とリスクのバランスを慎重に検討する必要があります。
企業の成長段階や経営資源を考慮しながら、適切な判断を下しましょう。
低減
低減とは、問題が発生する可能性や、発生した際の影響を小さくする取り組みです。例えば、情報セキュリティ対策ソフトの導入、従業員教育の実施、業務手順の見直しなどが該当します。
多くの企業で採用されている方法であり、実践的で効果的な対策といえます。
リスク低減を行う際は、費用対効果を考慮しながら、優先順位を付けて段階的に実施しましょう。また、定期的に対策の効果を確認し、必要に応じて見直しを行うことも重要です。
移転
移転とは、リスクに関する責任や負担を、他の組織に委ねる方法です。
最も一般的な例が保険への加入です。情報漏洩保険やサイバーセキュリティ保険など、さまざまな種類の保険が提供されています。
また、専門企業への業務委託も、リスク移転の一つとして考えられます。ただし、全てのリスクを移転できるわけではなく、移転にはそれなりのコストが発生します。自社で対応すべき部分と、外部に委ねる部分を適切に見極めることが重要です。
容認
容認とは、対策コストと比較して影響が小さいリスクについて、あえて受け入れる判断をすることです。
例えば、業務効率を優先して一定のリスクを受け入れる、または対策コストが影響額を上回る場合に容認するといった判断が該当します。
ただし、リスクを容認する場合でも、その影響範囲を把握し、定期的に状況を確認することが必要となります。また、事業環境の変化に応じて、容認の判断を見直すことも重要です。
リスクを管理するための具体的な施策
企業全体でリスク管理を効果的に進めるためには、組織的な取り組みが必要です。以下では、実際に導入できる具体的な対策について説明します。特に、IT専門部署がない企業でも実践可能な方法を中心に解説しますので、参考にしてください。
リスク管理の部署を作る
リスク管理を担当する専門の部署や担当者を設置することは、組織的な取り組みの第一歩となります。中小企業では、専門部署の設置が難しい場合でも、責任者を明確に定めることが重要です。
具体的には、部門横断的なリスク管理チームを作り、定期的なミーティングを実施することで、さまざまな視点からリスクを把握することができます。
また、外部の専門家に相談できる体制を整えることで、専門知識が不足する部分を補うことも可能です。リスク管理部署は、問題の早期発見と対応の中心となる重要な役割を担います。
社内教育を行う
従業員への教育は、リスク対策の基本となる重要な取り組みです。情報セキュリティの基礎知識、コンプライアンスの重要性、日常業務で気を付けるべきポイントなど、具体的な事例を交えた研修を定期的に実施することが効果的です。
研修方法としては、オンライン学習システムの活用や、小グループでの勉強会開催など、企業の規模や状況に応じた形式を選択しましょう。
また、新入社員研修や管理職向け研修など、対象者のレベルに合わせた内容を準備することで、より効果的な教育が可能となります。
リスク対策マニュアルを作成する
実際に問題が発生した際に、すぐに対応できるよう、具体的な手順をまとめたマニュアルの整備が重要です。
マニュアルには、日常的な確認事項から緊急時の対応手順まで、必要な情報を分かりやすく記載します。
特に、情報漏洩や自然災害など、重大なリスクについては、詳細な対応手順を定めておくことが必要です。テレワークを導入している場合、自宅やサテライトオフィスなど、働く場所ごとのリスク対策についても、マニュアルを作成しましょう。
作成したマニュアルは、定期的に内容を見直し、必要に応じて更新することも重要です。また、従業員がいつでも確認できるよう、社内での共有方法にも工夫が必要です。
リスクを管理して健全な経営体制を構築
適切なリスク管理は、企業の持続的な成長に不可欠な要素です。効果的なリスク管理を実現するためには、経営者の強い意志と、全従業員の協力が必要になります。
まずは、自社が直面しているリスクを正確に把握し、優先順位を付けて対策を進めていくことが重要です。
今後は、AIやクラウドサービスなど、新しい技術を活用したリスク管理の手法も増えていくことが予想されます。こうした技術の活用も検討しながら、自社の特性に合った対策を継続的に実施していくことが大切になるでしょう。
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著者情報
Watchy 編集部
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