働き方改革の進展や多様化に伴い、フレックスタイム制を導入する企業も増えています。フレックスタイム制は、柔軟な働き方を実現する一方で、適切な勤怠管理の実施にはさまざまな課題が伴います。本記事では、フレックスタイム制における勤怠管理の重要ポイントと、導入時の課題、その具体的な解決策について解説します。

フレックスタイム制への理解を深めよう

昨今では、テレワークの導入によって働き方を従業員が自由に選べる企業も増えています。時間に関しても同様です。フレックスタイム制により、労働時間を自由に選べる働き方を選択できる企業が増えてきました。

フレックスタイム制を導入するに当たり、制度の本質的な理解が不可欠です。そのためにもまずは、フレックスタイム制の基本的な仕組みと、関連する法的要件について詳しく見ていきましょう。

そもそもフレックスタイム制とは?

フレックスタイム制は、一定期間において総労働時間を定めた上で、従業員が日々の始業・終業時刻を自由に選択できる制度です。従業員は私生活と仕事のバランスを保ちながら、自身のパフォーマンスが最も高い時間帯に業務を行うことが可能となります。

例えば、育児中の社員であれば、子どもの送迎の時間は避けて、それ以外の時間に働くといった具合です。

一般的な運用方式としては、必ず勤務すべき時間帯(コアタイム)と、従業員が自由に選択できる時間帯(フレキシブルタイム)を組み合わせる形態が採用されています。

一例として、10時から15時をコアタイムとし、その前後のフレキシブルタイムを7時から10時、15時から22時といった形で設定するケースが挙げられます。

労働基準法における就業規則

フレックスタイム制の導入に際して、明確に就業規則に盛り込む必要があります。具体的には、以下のような要素を盛り込むことが望ましいです。

  • 始業および終業時刻(コアタイムとフレキシブルタイムについて)
  • 時間外労働について
  • 労働時間管理

またそれ以外にも、清算期間(労働時間の集計・調整を行う期間)、フレキシブルタイムの範囲設定、時間外労働の取り扱い、休憩時間の付与方法についても明確な基準を示すことが重要となります。

育児介護休業法の改正への対応も必要

2024年5月に、育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正されました。子どもの年齢に応じた柔軟な働き方の実現や、育児休業の取得状況の正確な把握などが求められています。

この改正により、労働管理も、より厳密に行う必要があります。テレワーク導入が努力義務になるなど、さらなる多様化に対応しなければなりません。

参考:育児・介護休業法について | 厚生労働省

フレックスタイム制の導入課題

フレックスタイム制への移行には、組織運営上のさまざまな課題が付きまといます。適切な対策を講じるため、想定される問題点を事前に把握しておく必要があります。

勤怠管理が難しくなる

勤務時間が従業員ごとに異なることで、勤怠管理の複雑さが増大します。特に問題となるのが、労働時間の正確な把握と、適切な管理体制の構築です。

従来の固定時間制と異なり、始業・終業時刻が従業員によってさまざまであることから、単純な出退勤管理だけでは不十分となります。

労働時間の集計においては、フレックスタイム制特有の清算期間における総労働時間の管理、時間外労働の適切な計算、休憩時間の確実な確保といった要素も考慮に入れる必要があります。

社内の連携に支障が出る可能性がある

勤務時間帯が従業員間で異なることにより、円滑な社内コミュニケーションを取ることが課題となります。部署間の連携や、緊急時の対応に支障を来す可能性も考えられるでしょう。

ある部署では朝型の勤務体制を取る従業員が多く、別の部署では夜型の勤務を選択する従業員が中心となった場合、両者の業務時間の重なりが限定的となり、必要な情報共有や意思決定に遅延が生じる恐れがあります。

生産性や顧客満足度の低下を招く恐れがある

フレックスタイム制の導入により、業務の継続性や顧客対応の質に影響が出る可能性があります。特に対外的な業務が多い部署では、取引先との時間的なミスマッチが生じやすくなります。

部署内での引き継ぎや情報共有が不十分な場合、顧客からの問い合わせに対する即応性が低下する恐れがあります。また、プロジェクトベースの業務においては、メンバー間の作業時間の調整が煩雑になり、進捗管理が困難になる可能性も考えられます。

社内環境の整備・ルール化が難しくなる

従業員の勤務時間が多様化することで、セキュリティ管理やオフィス環境の整備に関する新たな課題が発生します。特にデスクレス環境を導入している企業では、より複雑な対応が必要となります。

オフィススペースの効率的な活用、共有デスクの運用方法、セキュリティ機器の設定変更など、従来の固定時間制では想定されなかった運用面での調整が求められます。これらの課題に対応するため、明確なルールの策定と、それを支える技術的な基盤の整備が不可欠となります。

フレックス制の課題への対策

これまでに挙げた課題を解決し、効果的なフレックスタイム制を実現するための具体的な対策について解説します。導入時のポイントから運用上の工夫まで、実践的なアプローチを見ていきましょう。

コアタイムを適切に設ける

組織の特性に合わせた適切なコアタイムの設定は、フレックスタイム制を成功させる重要な要素となります。部署間の連携や顧客対応を考慮した時間帯の選定が求められます。

コアタイムの設定においては、社内会議や定例ミーティングの実施時間を考慮に入れることが重要です。社員全員が参加するイベントは、コアタイム時間に設定しましょう。

また部署ごとの業務特性や、取引先との関係性も加味しながら、柔軟性と効率性のバランスを取ることが求められます。

勤怠管理システムの導入

クラウド型の勤怠管理システムの活用により、複雑化する労務管理の効率化が可能となります。リアルタイムでの労働時間把握や、清算期間における総労働時間の自動計算機能によって、管理者の負担軽減が期待できるでしょう。

勤怠管理システムには、スマートフォンやタブレットからの打刻に対応し、位置情報との連携も可能な製品が存在します。

これらの機能を活用することで、リモートワークにも対応した正確な勤怠管理が可能です。

コミュニケーションツールを活用する

ビジネスチャットやグループウェアといったデジタルツールの活用により、勤務時間帯が異なる従業員間でも円滑なコミュニケーションが可能となります。

非同期型のテキストコミュニケーションを基本としつつ、必要に応じてオンライン会議などのリアルタイムの対話も組み合わせることで、効果的な情報共有を実現できます。

社内SNSやナレッジ管理システムの導入も、時間や場所に縛られない情報アクセスを可能にします。これらのツールを活用することで、業務の継続性を確保しながら、従業員の働き方の柔軟性を高めることが可能となります。

アクセス権や履歴の管理も重要

セキュリティ面での対策として、従業員の勤務時間に応じたシステムアクセス権の管理と、適切なログ収集体制の構築が求められます。特に、リモートワークとの併用を想定する場合、より厳格な管理体制が必要となります。

実際の運用では、多要素認証の導入や、アクセスログの定期的な監査といった具体的な施策が有効です。また、情報セキュリティポリシーの見直しと、従業員への教育・周知活動も重要な要素となります。

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適切な仕組みの導入で多様性に対応しよう

フレックスタイム制の成功には、適切な制度設計と運用体制の構築が不可欠です。従業員の多様なニーズに応えつつ、組織としての生産性と効率性を維持するためには、本記事で解説した各種課題への的確な対応が求められます。

導入を検討する企業においては、自社の特性や従業員の働き方の実態を十分に分析した上で、段階的な導入を進めることをおすすめします。また、定期的な制度の見直しと改善を行うことで、より効果的なフレックスタイム制の運用が可能となるでしょう。

人材の多様化が進む現代において、柔軟な働き方を支える仕組みの整備は、企業の競争力強化に直結する重要な課題となっています。本記事で紹介した内容を参考に、自社に最適なフレックスタイム制の構築を目指してください。

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著者情報

Watchy 編集部

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